1.幼児自慰は珍しくない
このページを見ているあなたは、我が子や関わっている子が自慰行為してるのを目撃し、
まさか・・
といった感覚になっているかもしれません。
でもそれ、そんなに珍しいことではないようです。
現在1歳5ヶ月になる娘のママですが今、大変悩んでいます(中略)お座りをしてお尻を床につけ、両手を前について擦っています。
しかもウツロな表情になり汗ばんでいるのです。この行為は家に居て気がつけば耐えずやってます。
子育てクリニックQAより
3歳3ヶ月の男の子の母です。
うちの子も1歳過ぎ頃から性器いじりをする癖があって悩んでいます。うちも直接触れるわけではなく男の子なのでうつぶせになって脚をピンとのばしておちんちんを床にこすりつけています。
子育てクリニックQA
うちの子も小児自慰をしてたのでスレ主さんの気持ち分かります。
初めて見たときは衝撃と、親として恥ずかしい気持ちになりました。
womensparkの質問より一部抜粋
👆️なぜ恥ずかしい気持ちになるのかは、大人の先入観によるもので、3章に書いていきますね。
日経デュアルが行った2016年の記事に、性教育についてのこんな調査がありした。
アンケートの標本
147人(女性111人、男性36人)の回答を得た。回答者の平均年齢は41.5歳。
子どもの性別は男の子のみ35.9%、女の子のみ27.6%、男女両方36.6%。
子どもの年齢(複数回答)
0~2歳が33.8%、年少~年長が35.1%、小学1~3年生が49.7%、小学4~6年生が31.0%、中学生以上が17.9%。
日経デュアル
左から8番目の自慰については回答者の15%程度が「悩んだりした」ってことです。
つまり8人に1人くらいの子どもを持つ親は、我が子のマスターベーションの対応に困惑したことがあるということ。
そんなに珍しい悩みではないですね。
恥ずかしいってのは、
勝手な先入観によるものです。
2.子どもがマスターベーションをする原因は?
子どもがマスターベーションをする理由は、思春期以降の性的な意味ではないもっと単純なもの
●自慰で安心感を得るため(代償行為)
●気持ちいい感覚を発見しただけ
●自分の体への興味
自慰で安心感を得るため(代償行為)
男の子に多いですが、手持ちぶさたになると手で性器(おちんちん)を包み込むように握ったりすることがあります。(父親なら必ず経験があり、分かると思います・・独自調査(笑))
日本語の言い回しでも、男の子は怖いものに接したら「金玉が縮みあがる」と言います。
本能的に敏感なところを、不安があるときに庇おうとするのは自然な反応。
単に暇になるとおちんちんをいじったり、握ったりすることもあります。
手持ちぶさたなときの手慰み、本能的に弱い部分を庇うと安心するなんて感覚があるのかもしれませんね。
女の子にもあるようですが性的な意味ではもちろんなく、安心感を得るためだけです。
代償行為
ある目標がなんらかの障害によって阻止され達成できなくなったとき,これに代る目標を達成することによってもとの欲求を充足するような行動。
コトバンク
マスターベーションが気持ちいいって感覚を発見しただけ
赤ちゃんや3才以前の幼児は、パンツやオムツの中は蒸れやすいのと、神経が集まっているのも相まって、
股間に刺激を与えると、単に気持ちいい。
その行為自体は、「たまたま床に性器をこすり付けたら気持ち良かった」なんて発見がきっかけです。
欲求不満のサインなこと(代償行為)もありますが、偶然心地のよい感覚を子ども自身が見つけ、不安になったときにその感覚に浸って不安をなくす程度の行為です。
本当に不安なら、より強い行動や情緒不安定、かんしゃくを起こすなど目立った行動を起こすことが多いから、自慰行為はよほど弱い反応。
だから幼児自慰があったからといって、不安の現れだ!って構えることもありません。
【不安定/不安を感じている子どもへの対応】心のケアのための理解
自分の体への興味
年齢が小学校入学前の小さいときは、特に女の子などはお股によく見えない穴があるので、前屈みになって覗き込んだりします。
男の子なら"なんかぶらぶらしてて、さわるとフニャフニャしてる。なんだこれは!?"
興味がない方がおかしいって話。
自分のからだの感覚を自分でわかること。
これが自分の手、こっちが自分の足、と同じように確かめている行為と言えます。
どこも大切なのよ
3.自慰行為を親や大人がやめさせたい理由は、親が恥ずかしい課題の分離不足
自慰行為は子どもが安心感を得たり、自分の体に興味を持っているだけ。
しかしこれを裏返して、不安への対抗手段としての「構って欲しいのに構ってもらえない」など愛情不足と結びつけられやすい行為とも言えます。
まあ不安の表出って理由がないこともないんですが、自慰行為で出てくる不安は、
✔単にやることがなくてフワフワしてる
✔知らない場所に行って一時的な怖れ
みたいな軽い不安です。
でも見ている大人が「自慰行為を含め、性に関することは恥ずかしいもの」といった感覚が日本人は特に強いため、どうしたものか、と困ってしまう。
性教育もまともに受けたことのない人が多いため、時に大きな「問題行動」のように扱われてしまいます。
しかし他の「問題行動」とされる他人への攻撃や暴力・盗癖や自傷行為などと比べれば、よほど人に迷惑もかけず、軽いもの。
だから自慰行為そのものは、心配はほとんど要らない行為なんです。
※心配な場合もありますが、それについては5章へ
子どもの問題行動とは何かについてはこちらの記事をどうぞ↓
【子どもの問題行動】原因はどこに?困ってる子どもの無意識サイン
幼児自慰をとらえる側の、大人に問題があることも
ここまで書くと、子どもの自慰行為は何ら不自然でも不思議でも珍しいことでもないことが分かっていただけたと思います。
ましてやマスターベーションくらいは、大人でも隠れてくらいなので悪いことではありません。
それでも悪いと感じる方は、それまでの経緯や生育歴に関係あるかもしれません。
記事の冒頭で紹介したヤフー知恵袋などの質問には、"我が子がやっていてショックを受けました"などの書きこみもありました。
・・では、なぜショックなのでしょうか?
性的なものを神聖不可侵のようなものに感じているとして、それはなぜでしょう?ご自身に性的なトラウマがあるのでしょうか。
一番問題なのは、それを我が子に移すこと。
性的なことに対しての嫌悪や罪悪感などを、無意識にでも大人側が持っている場合、その感覚は子どもにも移ります。
性的なものが神聖不可侵のようなものに感じているとしたら、幼児期などに教えられたのかも。
日本人の受けてきた昭和の教育なら十分あり得ることです。
自分を見つめ直して、改めて何がよくて何が悪いのかを考えていくと、自分自身も解放されるかもしれません。
どうしても気になって仕方がないなら、医療機関にかかって母子カウンセリングを受けるのもいいかもしれません。
そこから派生して「父親が育児をせず自分ばかりが抱え込む混んでいることがストレスになっている」など、自慰行為とは全く別のところに大元の原因があることも少なくないためです。
冒頭で引用した3つ目の書き込み"親として恥ずかしい"、これだけ見ると子育てに責任とプレッシャーを感じている発言に思います。
また子どもとはいえ別の人間がやっていて、自分が恥ずかしいと思うのは精神的にひっつき過ぎと言えます。
【人に期待しないアドラー心理学】人間関係で悩まない重要マインド
子どもに自慰をやめさせたい世間的な理由
自慰行為をやめさせたい大人側の「自慰行為は汚らわしいもの」みたいなネガティブなもの以外の理由は
●やり過ぎて傷になるのが心配
●悪いことじゃないのは分かったけど、見た目がよくないから外ではやめさせたい
●ガードが緩いと思われると、性犯罪に巻き込まれるかもしれない
特に乳幼児の場合は全体的に皮膚も薄く、特に性器はデリケートな部分なので簡単に傷つきますね、"オムツかぶれ"なんかがあればなおさらです。
見た目がよくないと言うのは、ここまで書いてきたように子どもからしたら興味や快楽・安心感を得ているだけ。
それに対して、大人側が性的な意味を勝手に想像しているだけで、本来は放っておいてもよいくらいです。
しかし世の中にはいろんな人がいて、子どもの巻き込まれる性犯罪も頻繁にある。
報道されるのは氷山の一角といった状況なので、親の心配は募ります。
一般的な幼児自慰をやめさせい理由でしょう。
4.幼児自慰は学童期に自然消滅~それまでにもやめさせたい時の4つの対応
結論からいうと、幼児自慰は年齢があがると共に自然になくなります。
羞恥心や道徳心の育ち、人からの目を気にするようになり、少なくとも人前ではやらなくなります。
しかしそれでも外でやるとか、保育園でやってるとか、人前でもしてしまうと気になりますよね。
対応方法によっては、子どもの心の成長に大きく影響することもあるため、以下では正しいとされている対応についていくつお話していきます。
4-1.幼児自慰へ叱るのはNGです
マスターベーションは一種の癖と考えると、鼻をこするとか、口癖などと同じレベルで行っている程度のものです。
それを親などの大人が見て、「なにかいやらしい」とか、「見た目が良くない」と言った、子どもからしたらよく分からない理由で、急に怒られたらどうでしょう?
子どもは訳もわからず叱られると、自己肯定感がまず下がります。
✔叱られたくない一心で嘘をつくようになる
✔叱られるストレスを外で発散
✔暴力や暴言が出る
✔人をバカにして発散する
✔物を盗る
✔大人の目を気にして行動するようになる
こんな感じの「問題行動」へ発展することも少なくありません。
👆️自慰行為より厄介で大問題だと思いませんか?
また自己肯定感に関連して、自分の体の気持ちのよい部分を否定されることは、将来的に性に対する罪悪感を植え付けてしまう可能性が少しだけ増えます。
【学童の子どもの叱り方】ベテラン指導員が教える外せない10要素
強く叱らないこと、についてはどの文献を読んでも記載がある一般的な対応です。
「性はいやらしいこと、恥ずかしいこと」というような気持ちから、子供の性に関する行動を叱ったり、制止することはしないでください。
「大事なところだからみんなに見せたり、触ったりしないでね」と、優しく諭してあげてください。
また、他に熱中できるものをみつけてあげる/安心感を与えてあげるようにしてください。
家庭でできる性教育サイトより、池田 匠美先生
助産師さんの記事から引用👆️
4-2.自慰を人前ではやめさせたい時の効果的な声かけは?
「問題はない」と言われても、外でやると親の目からはやはり気になりますね。
癖と言っても鼻をほじったりするのと同じように、やっぱりやめさせたいと多くの保護者は思います。
●痛くなっちゃうからやめようね
●そこは大事な部分だから、いじっちゃダメだよ
●人に見せちゃダメな大切なところだからやめようね。
●変な人が寄ってきちゃうよ。ママ心配だな
これらを子どもの理解力などによって伝えていきましょう。
"さわりすぎると痛くなるからやめよう"などでもよいかもしれません。
年長くらいになれば、人前ではやめなさいと教えるのが一番シンプルで効果的。
理解が追い付いてくるためです。
世の中には子どもを狙うダメな大人が、残念ながらたくさんいます。
その子が理解できるようになるまで待ってはくれず、早めの防犯的な教育がとても必要です。
こんな絵本も出ているので、読み聞かせもいいと思います。低学年までは学校では教えてくれないので、このくらいがちょうど良さそうです。↓
気をそらせる
行為を始めたら違うことに気をそらせるのがよいと、いろんな本に書いてありますね。
いずれにしても、6歳~などで個人差はありますが、だんだんと羞恥心が育ってくると、自然に人前ではやらなくなります。
マスターベーションは成長の過程の、一過性のものと考えておいてよいでしょう。
成長には個人差がありますので、小学三年生くらいの女の子でもスカートでパンツ丸出しで逆立ちなどしてたりと、気にしない子もいて、
学童クラブで働いていると、よくある光景です。(指導はしますが、本当に本人が理解するには時間が必要です)
ただ私の経験上、三年生がその羞恥心のラインのようです。
友達から言われたりすることでも、自然と隠すようになってきます。
小学校中学年~高学年にかけての、親などの大人との関わりよりも友達との関わりがより重要になってくる時期に、他の子から学ぶこともあります。
4-3.自衛の意味でプライベートゾーンを教えること
性についての意識を育てるには、プライベートゾーンについて日常的に話して聞かせたり、掲示をしておくなどの取り組みもできます。
プライベートゾーンとは、原義としては「自分だけの領域」である。そこから転じて、みだりに他人に見せたり触らせたり、他人が見たり触ったりするのをはばかるべき、特定の身体部位を意味する。
ウィキペディア
最近は10才以下の子が、親の目が離れた隙に狙われて体をさわられたなどの事件の報道が頻繁にされてきています。
男と子だからと言って油断はできません。
プライベートゾーンとは、唇や水着で隠れる部分と分かりやすく教え、そこは他の人に見せたり触らせたりすることは絶対にダメだと言うことを教えていきましょう。
また断り方についても、
- 「ついていってはいけないと言われてるから」
- 「見せたり触らせたらいけないと言われてるから」
具体的に教えておくのも効果的です。
このサイトでは子どもが犯罪に巻き込まれないような防犯教育についても記事を書いています。
読むことで、子どもの年齢に応じて具体的に何を教えたらよいのかわかると思います↓
【子どもの安全教育-防犯編】/女の子でも、自分の身は自分で守る☆7つの行動☆
4-4.性教育を正しくする
性に関することを恥ずかしいこととか、ダメと教えるのは、将来的に性に対しての嫌悪感にもつながりかねません。
また性器も自分の一部なのですから、否定的なアプローチは自己肯定感にもいい影響は残さないでしょう。
自慰行為を心配するのは、世間体や犯罪へ巻き込まれること・子どもの心の成長に対しての心配から来ているのが普通です。
そのため教えるべきは"人前ではしないこと"、
公共の場(家族の前でも)と、プライベートの区別を教えること
プライベートゾーンについてもお話しました。
人には秘密にすることや、人には触れられてはいけないことがあるのを成長と共に知ります。
小学校も低学年になれば分かってきますが、幼児でも「内緒」とか"大事なものを大切にする、場合によっては隠しておく"などの感覚は育ってきます。
そこで、「そこ触るの気持ちいいの?」「でもこれは人のいるところではやってはいけないよ。」と伝えるのです。
こんな感じなので、隠れてしているところまで探し出して注意するのはやり過ぎ。
万引きなどの犯罪行為や、隠れて弱い子を脅すなどの行為なら別ですが、自慰行為については何度も言っているように悪いことじゃなく、我が子といえどもプライベートな領域です。
トイレに入ってるのを急に覗くようなものです。
親と子どもは別の人間ですよ。
これは他の行動への教育や促しでも同じです。
ダメダメばかりでは、悪いことを知りつつ隠れてやりたくなります。
発散されない衝動を、内面にくすぶらせ続けるかもしれない。
それが思春期以降に爆発するかもしれない。
いつまでも騒いでいる子達に「静かにしなさい」と言いたいのを、「10秒だけ思いっきり大声を出したらスッキリして静かになりましょう」などの方法、聞いたことがあるでしょうか?
禁止ばかりでなく、逃げ道を与えるのは大切という話です。
親としての責任感や何かの理由からでも、注意しなくてもいいことまでやるというのは、
- 過干渉
- 子離れができない
- 共依存
など様々な言葉で形容されるので、思い当たれば調べてみるのも良いでしょう。
まとめておくと、公共の場(家族含めて他人がいるとき)とプライベートの区別を教えるのは、その後の人生にも通じる大切なものということでした。
共依存者は、相手から依存されることに無意識のうちに自己の存在価値を見出し、そして相手をコントロールし自分の望む行動を取らせることで、自身の心の平穏を保とうとする。
ウィキペディア
5.子どもの自慰行為がダメなパターン
ここまでで自慰行為は悪いことでもなんでもなく、特に気にする必要はないと書いてきましたが、ダメなパターンがあります。
それは子どもが性について、環境として良くない晒され方をしている場合です。
子どもは善悪の区別なく、興味あるものはどんどん吸収していきます。
今は子どもが大人を対象としたような性についての情報に晒されやすい世の中です。
✔お父さんのアダルトビデオが、その辺に放置してあったり
✔スポーツ誌によく出ている女性の裸の写真などが転がっていたり
✔ネットのアダルト広告などに無防備だったり
こんな環境は、明らかに良くありません。
家で家族がお風呂上がりに、素っ裸でうろうろしているなどの環境も、まあよくありません。
そのような家の子は、「お父さんが裸の女の人に暴力を振るっている映画を見ていて気持ちが悪かった」みたいなことを素直に学童クラブ職員へ言ってきたりします。
「恥ずかしいもの」と教えようにも、そういった家庭環境にある子どもは、自然と自制しにくくなります。
そういった事を制御されずに育った子は、とても偏った物の見方をしたり、犯罪的な行為(ストーカー)などに陥りやすいという研究もあるようです。
問題行動の「問題」とは、社会的に受け入れられない行動だから問題なんです。
それが、子どもの「甘えたい、親の気を引きたい」など別の欲求の代償としてではなく、単に間違って学んでしまってその行動をとっているのは、環境を整備する側の大人の無責任。
それは小さい頃から泥棒するのを悪いことでなく普通だと思って育った昔のスラムの子のように、環境が悪いということです。
性について言えば、性的虐待のグレーゾーンにいる子もいるでしょう。
子どものおかれている環境には特に注意が必要です。
子どもに対する性的虐待は、統計上では数こそ少ないものの、とても深いダメージを子どもの心に負わせることになります。↓
【児童虐待で通報~勘違いかもってまだ悩んでる?】189で間違いなし
6.幼児自慰への対応についてまとめ
ここまで読んでいただいたあなたは、幼児自慰は悪いことでもなんでもないことを知りました。
またその対応についての考え方と共に、具体的な対応のしかたも知りました。4章
大切なのは性的なものがプライベートな領分ということを教えていくのがよいということです。
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