学童で子どもが膝の上に乗ってくるのは?
抱っこやおんぶ、膝の上に乗ってくる、手を繋いでくるなどスキンシップを求める子や、大人を独り占めしたがる子も少なくないですね。
座ってると、学童クラブだと3年生でも平気で膝の上に乗ってきて本を読み始めたりして。
「安心、信頼してくれてるんだな」と嬉しくもあるけど、そのまま膝の上に乗せたままでいいのかな?
自分で疑問に感じたり、他の支援員から言われてモヤモヤしたり、この記事に引かれたあなたには経験あるはず。
東大出身 理系保育士ジャムです。
保育園や学童クラブで巻き起こる「子どもを膝の上に乗せていいのか?論争」
👆あるあるですが、議論している人の多くは根拠が「自分の思いだけの感情論」しか言わないので、出てくる答えもマチマチ。
ヤフー知恵袋の回答欄などにある
「人の膝の上に来るなんてマナー違反だ」
「ただの甘えだ!」みたいな書き込みは参考になりません。
「甘えたい気持ちを適切に満たすのに、この行為は良いのか?」という悩みは、現場指導員は頻繁に考えてると思います。
独占欲の強い子や、愛情が足りてないようにみえる子への支援とも関わってくる問題・・という点も答えを難しくしています。
この記事の結論としては
基本的に学童クラブでは抱っこ/おんぶ/膝の上などはNGだけど、場合により甘く見ることもある
という話を、学童クラブ経験20年以上の知見と理系思考により、論理的にお話していこうと思います。
目次
理由①〜そもそも物理的に危険
理由②〜男性指導員は特に世間の目が厳しい
理由③〜動けなくなるのは事実、仕事の不公平感を生む
理由④チームワークにヒビを入れる可能性もある
2.意図したスキンシップとして一時的に膝の上に乗せるのはOKだが、OK:NGラインは必要
2-1.チームワークが必要な仕事なので、チームとしてのラインを決めておく
2-2.個人的にも行動をきめておくことと、ジャムの取ってきた方法
4.まとめ
大人を独り占めしたい子へ、おんぶや抱っこ、膝の上に乗せるのは基本NG
「おんぶ・抱っこ・膝の上など身体的接触は完全に禁止」な議論の余地がない施設もあります。
学校や学童でも職員が多すぎて、多様な価値観を持つ人達の管理が無理な職場だと、
校長先生としては逮捕されるほどバカなロリコン教師がどこにいるか分からないので、仕方ないとでしょう。
そんな職場なら従うほかはないので、議論の余地がある学童クラブ限定ということでお話を進めていきますね。
学校管理職です。
身体接触は基本NGです。
子供の心理とか考えなくていいです。だっこ、おんぶ、膝枕全てダメです。
自分を守る、つまり訴えられないように、誤解される行動は慎んだ方がいいと思います。
ヤフー知恵袋
理由①1.おんぶ/抱っこ/肩車などは物理的に危険
良い悪いかの話の前に、NGとされる理由に物理的な危険性があります。
肩車は素人でも危ないと分かりますが、おんぶや抱っこ、膝の上でも落としたりブツケたり危ないです。
実際に私は身長180近く、体格が良い方の男性指導員でしたが、それでも
おんぶしてた子どもが手を滑らせ、後頭部から落としたり
いつも抱っこをしてたら、こちらが構えてないタイミングで子どもが抱きつこうと飛び込んできて失敗し、思いっきり顔を床にぶつけたり、
膝の上に乗せてたら、他の子も群がってきて潰れたり。
子どもの楽しみに対して多少のリスクは取るべきですが、おんぶや抱っこなどに対するリスクは、
子どもも大人も怪我や危険の程度をコントロールできない「ハザード」に近いもの。
その一点でもNGという十分な理由になります。
OKだった施設でも、ひとたび事故が起きれば禁止にせざるを得ませんよね。
【責任はどこに?】学童クラブにいる時の事故/ケガ/子ども同士トラブル
理由②.男性指導員は特に世間の目が厳しい
男性指導員は女の子とのスキンシップについて、世間の目は思っている以上に厳しいです。
保育園でも、
オムツを替えさせないで!
みたいなズレたクレーム意見が来る時代、学童クラブでも似たようなものです。
小学校教員ですらわいせつ行為で捕まるバカが紛れてるし、私もロリコン系の職員を排除したことがあるくらいなので、
親の心配は低確率とはいえ、杞憂じゃなく的を射ています。
【独自】わいせつ処分歴隠し学童再就職、児童にまた被害…情報共有の仕組みなし読売新聞
特に子どもが幼児の保育園とは違い、学童クラブは小学生。
体も大きく女の子なんて3年生にもなれば胸が出てくる子もいるのに、膝の上に乗せたり抱っことか、不適切と思われても仕方ない。
それを
①本人は気にしておらず膝の上に乗せ、子どもも喜んでるけど、気にする保護者もいる
②それを知ってる同僚が注意をする
③本人なりに「甘えを満たしている」という理由があれば、表面的に注意されたと思い反発する
👆お決まりのパターン。
こんなのは余計な職員間のイサカイを生むので、ルールとして一律NGとされることもあります。
禁止とされていなくても公園遊びなど世間の目のある場所、お迎えの多い時間帯などは特に気をつけたほうが良いでしょう。
【男性指導員が学童で気を付ける事】女の子抱っこNG〜世間の目あり
理由③.動けなくなるのは事実、仕事の不公平感を生む
膝の上に子どもを乗せて、動こうとしない気になる職員を注意するのに、
「とっさの時に動けなくなるからダメ」と端的に説明するのが多いです。
と内心反発しますが、文字通りの意味ではなくて「周りを見ろよ」って言いたいのを遠回しに言っているのです。
子どもを見るスキルは人それぞれですが、子どもを膝の上に乗せて座ろうものなら、
●アルバイトの職員は完璧に動けなくなり、よほどのことがない限り自分からも動こうとしなくなる。
●常勤職員でも動きにくくなり、視野もかなり狭くなる。
これらは他の子を見なくなるのと同じ意味です。
そのしわ寄せは他の支援員に行きますね。
そもそも学童クラブ指導員はよほど経験を積んだ職員じゃない限り、かなり視野が狭いもの。
遊んでいれば目の前しか見れず、他の職員がどこを見て、今どんな対応をしていて、大人はたくさんいるけど死角が出来てることにも気付けない。
おんぶや抱っこ、子どもを膝の上に乗せると狭い視野が更に狭くなり、
精神的にも「今はこの子を見てるから、私は動けない、他の支援員に他の子は任せましょ」自分を正当化する理由になります。
【人の印象付けや評価する時にハマっちゃダメな心理】保育士の心理知識⑦
子どもの安全第一に保証する学童クラブでは、職員個々の視野が狭くなるのは死活問題。
目の前しか見てない職員が増えると、全体的に見る職員への負担は半端ないし、なにか起これば主任や施設長、いなければ先輩の責任になる。
当然ながら保護者からのクレーム、管理監督責任も問われます。
「膝の上に乗せない」を表面的に注意、
👆裏の意味をちゃんと伝えない先輩も良くないけれど、実際に反感を持ってる場合じゃないのですよ。
いろいろ気づく職員ほど動き回り、
"あの人、なんにもしないのに何で私と給料が同じなの!"と不公平を感じる
これを危惧して「子どもと遊ぶの禁止!」と馬鹿なルールを作る学童クラブもあるくらい。
職員の負担に偏りはあるけれど、子どもを膝の上に乗せて固定されてる職員がいると、確実に別の職員の負担は増える。
その子がマンツーマン対応で目が離せない子を、野放しにしておく方が手がかかる、確実に見るために膝の上で落ち着かせてるのはOKとか、本当にケースバイケースですが。
理由④.チームワークにヒビを入れる可能性もある
価値観が異なる職員が多いのが、学童クラブという職場の特色です。
なぜなら保育園は保育士資格所持者でほぼ統一されているのですが、学童クラブは
- 元保育士
- 元教員
- 一般会社員
- 他分野からの転向
- 元学童クラブ利用者
- 子育て終えた主婦
いろんな業界からやってくることが多いためです。
ただでさえ連携を取りにくいのに、チームワークを乱す行為は直接的な子どもの不利益につながる。
しかも膝の上論争が起きるのは、意見が統一できないことを意味しています。
OKとするのは
●A ①〜③の理由を一つも感じない人
●B リスクを知ってるけど、次章でお話するOKな理由と天秤
経験少なめな人はA,思慮深い人はBですが、大きなクレームなど経験したり大炎上事例を知ればBの人が増えます。
2.意図したスキンシップとして一時的に膝の上に乗せるのはOKでも、OKとNGのラインは必要
2-1.チームワークが必要な仕事なので、チームとしてのラインを決めておく
学童クラブで働くのに、「子どものために〜してあげたい」という思いは大切です。
抱っこくらい親ならやってくれるけど、してくれない子もいて、そんな子は特に愛情を求めてる。
やってあげようと思う。
これは必要な子へ必要な支援をするのが学童クラブで、愛情が足りなさそうな子に手をかけてあげるのは仕事のうち。
それを「他の子がみたらズルいと思うじゃない?」
👆よくある反論ですが、それを盾に言い争っていてはチームワークもクソもないし、施設としての支援の質も上がりません。
支援の目的を確認し、同じ絵を見た上で、
状況 クソ忙しい時はダメ
時間 せいぜい数分
相手 ◯ちゃんなら大目に見る
こんな確認をしておけば、大切なチームワークにヒビを入れず、大人が足の引っ張り合ってるダメ学童にせずに済みます。
思いを伝えきれても合意が得られないチームもあるので、その場合は一人プレーしないのが身のためです。
2-2.個人的にも行動を決めておくのと、ジャムの取ってきた方法
チームで「多少は大目に見ましょ」となっても、あなたが一人にかかりきりになれば、他の職員へ仕事のしわ寄せがいくのは事実。
だからいくら許されたからと言っても、無制限にマンツーマン対応はできません。
自制が必要なのと、自分でも子どもへ説明するスキルが大切になってきます。
子どもも中途半端に対応されて突然切られたら、愛情を感じるどころか「都合よく突き放された」となって逆効果。
線引きは自分で考えたほうが良いけれど、私が取ってきた方法を参考程度に紹介しておきますね。
☑個人的に無理なことはしない
私の働いていた学童では、いくら甘えさせると言っても
肩車、おんぶ
は物理的な落下リスクを考えて完全に禁止でした。
そうでなくても、体力的に無理な要求には応じないようにしましょう。
両手を向き合って高くジャンプさせる遊び、子どもは大好きですが、列をなして一回やった子も無限に並び直すので体力がもたない。
一回ずつね、とか区切ってやってました。
ロケットジャンプ👇
☑時間的に長くて3分
膝の上3分はやってみれば分かるけど体感で結構な長さなので、子どもも満足します。
これ以上放置しておくのは、よほど子どもが少なくて10人を大人二人で見るとかならいいですが、
あまり体制を固定してると、動きが鈍くなってくるのでオススメはできません。
☑無理なときの断り方フレーズ
・腰が痛い
・膝が痛い
・お仕事あるからここまでね
・今はダメ
痛い系は離れたあと再チャレンジしてくる子に自制してもらえる、一緒に遊ぶにしても適切な距離感をとれるのでオススメな言い訳です。
また帰りの会など全員で並んで座ってるような時、一人だけ膝の上に乗せるのは贔屓に見え、場をわきまえない行為、見た目も良くない
「今は帰りの会の最中だから、ちゃんと参加しましょう」と分かりやすく伝えて応じない、
しつこいようなら立ち上がって、物理的にアタックされない体勢を取ってましたよ。
☑TPO
チーム内では許容されても、保護者からはどう映るかわからないので、
・外遊びなど他人の目があるときは避ける
・保護者のお迎えの多い時間帯は避ける
・お迎えの保護者が急に来ても、見えにくい位置で応じる
こんなことには気をつけてました。
☑構ってほしい欲求を無下にせず、応じるライン
子どもがたくさんいるのに、特定の子が「私とだけ遊んで!」とばかりに他の子を排除するケース。
構ってほしい明確なサインなので無下にはせず、時間を区切って約束をしてました。
次の子がやってきたら「これが終わるまでね」と伝えて、その約束を守る。
区切りがないといつまでも相手をすることになり、結果的に他の仕事全て他の職員がやることになるので、気をつけたいところです。
気をつけてましたね。
3.独占欲の強い子への対応として裏の意味を汲む
抱っこや膝の上など、別に家で親の愛情が足りてない子が求めてくるわけじゃなく、安心して信頼してくれれば誰でもやってくるんですが、
やはり愛情を求めてる子が来る比率が高いです。
普段は悪態をついて口も悪い高学年男子、家では家事など頑張っているけど少しのことで親に怒られまくって、本当は年齢相応に遊びたいのに制限される、
親からも時折突き放されて、仕事休みなのに土曜学童に来させられるとか。
そんな子が不意に膝の上に乗ってくるのを
と突き放すのは学童クラブの仕事じゃないと思いませんか?
まあ保育所保育指針にも
甘えたい欲求を適切に満たし・・
という一文があるけど、どの程度が適切なのかは子どもによって違うのが難しいところですが。
特に愛着障害っぽい子には、公平性に見えず贔屓に見える対応も時に必要になってきます。
【独占欲の強い子どもの心理】おもちゃ貸せない4つの原因/対応2つ
【男性指導員が学童で気を付ける事】女の子抱っこNG〜世間の目あり
4.子どもを膝の上に乗せるのは?対応や考え方のまとめ
いかがでしたか?
子どもがおんぶや抱っこ、膝の上に乗ってくるとか、安心して信頼してくれているからこその行動なので無下にできない反面、
基本的にはNG行為という話を4つの理由でお伝えしました。
ですが甘えたい欲求は小学生相手の学童クラブでも満たす必要はあり、対面で遊び相手をするばかりでは難しい場面があります。
なので「これくらい良いかな?」という行動はチーム内での合意と、個人的にもラインを決めておくのが大切というお話を2章でしました。
ジャムの気をつけていたことも参考程度に紹介しています。
☑個人的に無理なことはしない
☑時間的に長くて3分
☑無理なときの断り方フレーズ
☑TPO
☑構ってほしい欲求を無下にせず、応じるライン
また愛着障害が疑われるようなケースは、個別対応やむなしなので、公平性ではなく公正か適切なのか考える必要もあります。(3章)
よく起こる「膝の上に乗せてもいいか?問題」は、個人の価値観を元に議論しても答えが出ません。
かと言って個人プレーに走ると学童クラブの職員集団としては致命的になりかねないので、よく考えて行動してほしいと思います。
ありがとうございました
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