1.子どもがお金や物を盗む理由と心理・簡単な対処方針
盗癖のある子ども、たまにいます。
盗癖とまではいかなくてもつい人のものを盗ってしまう、店のものを持ってきてしまうなどがありますが、
物を盗んでしまう心理は以下が考えられます。
①物の所有の概念がない(低年齢や自閉など)
②クレプトマニア(病的な窃盗癖)
③脅されているなどでお金がいる
④衝動的にとってしまう
⑤単純な物欲、欲しい物へのこだわり
⑥無意識にでも大人の気を引きたい
⑦日常の中でのストレスの反動
順に見ていきましょう。
①物の所有の概念がない
特に説明の必要はないでしょう。
3歳くらいから「これは私のもの」という感覚が出てきますが、発達には個人差や家庭環境から大きく影響を受けるため一概に言えません。
単に年齢が低い場合は発達を待つ必要があるため、繰り返し教えていったうえで待つことが必要です。
この場合は盗癖ではなく、他の子が遊んでいるのを興味本意に取ってしまうのとさして変わらない行為。
悪気なく家まで持ってきてしまうのを、大人が見て「盗んできた!」と思っているだけです。
対応としては保護者が物の管理を行い、見慣れないものが増えていないか見ておく必要があります。
年齢が上がっていても、自閉症スペクトラムなど発達障害により、自他の区別がつかない場合も保護者の管理が必要になります。
②よくある相談「財布からお金をとる」「万引き癖」などのクレプトマニア(病的な窃盗癖)
よくネット上である相談として
親の財布からお金を抜きます。厳しく叱っても繰り返します。どうしたらいいでしょう。
というのがあります。
私がこの記事を書いている関係上、似たような相談をいくつか頂いています。(コメント欄参照)
小学5年の時に、財布から32,000円を抜き取り気が付いた時には、16,000円をカードゲームに使い学校の先生からも、親からもかなり怒られました。
その2か月後には、お父さんの財布から16,000円を抜いてまたカードゲームに8,000円使っていました。
お金の大切さ等を教えかなり怒りました。
今度は、今年の9月に2万を抜き取り翌日気が付いたので使っていなかった。(略)
ヤフー知恵袋
似たようなケース👇
最近では、学童に場をうつしただけのようです。
学童の落し物やお友達の物を盗っては自分の物のようにしたり隠したりしています。
ヤフー知恵袋より引用
「単なる物欲」によって自制が効かないとか、ゲームの課金のためにお金を少額ずつとっていく、また愛情不足や認めてほしい反動など、
きっかけとなる理由は様々ですが、盗むことが習慣化してしまったものがクレプトマニア。
日本ではまだ認知も低く、まして治療法などは確立されていません。
クレプトマニアには不適切な家庭環境や、摂食障害などの併発も少なくないとのこと。
習慣化してしまったら、ネットの情報ではなく通院をお勧めします。
"投稿に対する答え"として"半殺しにして分からせたらいい"とか適当な事ばかりか書いてあって全く参考にならないからです。
どんなアプローチでも効果がないのなら、もはや薬物依存とかアルコール依存などの依存症の類い。
ピアカウンセリング(同じような悩みを持った人の集まり)なども地域によってあるかもしれません。
またこんな専門書も出ており、とても勉強になります。サイトでさらっと知識を得るというには向かない内容なので、興味のある方はじっくり読んだ方がよいでしょう。↓
③イジメや脅しなどの理由からお金が必要になり、盗んでしまう
いじめなどが理由でお金がいる場合も子どもは盗みを働きますが、「イジメられている」という本当の理由を子ども自身が隠すことが多いです。
なぜなら、
- 子どもが罪悪感を感じていたり
- 恥ずかしいと思っていたり
- 親に迷惑をかけなくないと思う
ためです。
小学校3年生くらいでお金の価値がわかってくると、反抗しない子に対して金銭を要求したり、
悪いケースだと
なんて命令する子も出てきます。
さらに悪い子ども関係だと、
と言って店のものを盗らせ、ばれると命令した子は隠れてしまうといったケースすらよくあります。
※善良な世界の住人には信じられないかもしれませんが現実。しかも私の経験談です。
お金がいるのは、この要求された側の子ども。
小学生も中学年~高学年になってくると、親との関係よりも子ども同士の関係がより重要になってきます。
その狭い関係のなかで「金銭の要求」があった場合は、罪悪感や仲間を守るという感覚、ばれたら親に迷惑がかかる、恥ずかしいなど様々な感情が混ざり、親に相談せずに盗みに走る事になります。
など可能性を感じたり、子どもの異変に気づいたら、まず本人に理由を聞いてみること。
親に心配をかけたくないとか、命令した子に仕返しされるなどを案じて、すぐに本当のことを聞き出せないかもしれません。
しかし
もしそんなことがあったら
絶対なんとかしてあげるわ
など言っておけば、何回目かに打ち明けてくれるかもしれません。
いじめ被害は中学年過ぎると子ども自身が隠すから、なかなか気づきにくいところ。
繰り返す盗癖の原因が、このような"金銭要求をされてる"場合も少なくありません。
【子どものいじめに親はどうする?】被害を受けた経験者が教えます
④衝動的に人の物を盗ってしまう
発達障害などで、目の前の欲しいものに対して理性を抑えられない、衝動性から盗んでしまうのは低年齢の子に多いです。
癖になってしまうと高学年過ぎてもつい手にとって、後で後悔するパターンもよくあります。
理性を育てるために、自分の身に置き換えて問いかけてみるのがよいでしょう。
あなたが遊んでいたのに、急に取られたらどう思う?
などです。
なにも考えずに
👆など言ってきたら、
急に取るから
いまのことを思い出してね
とか言ってみれば
👆なんて言うかもしれません。
低年齢なら"物をとられて嫌な思いをした"、という題材の絵本を読んであげるのも手です。
衝動性を発揮させないため、お金を見えるところに置いておかないことも大切です。
家でも親の財布は然るべき所にしまっておきましょう。
私の昔いた学童クラブは管理が悪く、私が働き始めようとする見学段階で、手の届くところにばら銭があったり、預かった育成料の封筒が無造作にポンと置いてありました。
その気がなくても変な気になってきます。案の定、子どもがお金の在処を知っているため、お金の価値を知っている3年生の子が隙を見て棚を開け、バラ銭をポケットに入れるのを見つけました(^^;)
👆非常に管理が悪いのが子どもに悪影響を与える例ですが、家でも同じこと。
衝動的に取ってしまう場合には管理的な側面がまず大切、次に長期的な目で理性を育てるアプローチが大切です。
人が犯罪に走らないのは理性で行動をコントロールできるためなので、人を育てる意味で理性を育てましょう。
⑤単純な物欲、欲しい物へのこだわりで盗る
これは物を自分の一部と同一視することで、その物が取られたり壊れたりするときにこだわりを見せるようなものです。
赤ちゃんの安心毛布と同じで、特定のものに対して出てくることが多いです。
誰でも大切なものが壊れたら悲しい。。
無意識にその大切なものを自分の体の一部だと思うほどになると、それが起こります。
その感覚が拡大して、「きれいなビー玉はみると欲しくなってしまう」ような感覚。
とは言え我慢できずに取ってしまうのは問題なので、理性を育てることが必要になります。
発達障害からくるこだわりの場合、教えるよりも「目に見えるところに置かない」など環境整備が必要になります、
⑥寂しさから無意識に大人や友達の気を引きたくて盗みを働いてみる
親に構ってもらえない寂しさなど、子どもの満たされない思いを、物を盗むといった行動で表現することもあります。
高学年になってくると、自己肯定感の低さから友達に認めてもらいたいという、親ではなく友達の気を引く行動になる場合もあります。
私が小学生のころ同級生にいたのは、万引きしたものを人に配ったり売ったり、自慢げに話したりして、かえってバカにされていた人。
当時は分かりませんでしたが、もともと自己肯定感が低い子が、なんとか逃れようと間違った手段をとるケースと言えます。
寂しさきっかけでも盗みが常習化しては、本人の自己肯定感も低くなり、クレプトマニアにもつながりかねず、よい影響はありません。
盗んだからと言って、寂しさも癒えることもありません。
どちらにしても罪悪感と理性で、盗みを止めるのを教えていくのと同時に、
子どもなら誰でも感じる「甘えたい思い」を適切に満たしてあげる必要もあります。
甘えは他の大人でも代替可能ですが、できれば親が満たしてあげたいですね。
⑦日常の中でのストレスの反動で、問題行動の1つとして出てくる盗癖
⑥では寂しさというストレスをお話しましたが、何らかのストレスがかかっていれば本質的には同じ。
寂しさだけでない様々なストレスを、問題行動として発散させます。
少し考えただけでも、
- 友達とうまくいかない
- 勉強がついていけない
- 馬鹿にされる
- 遊びたいのに遊べない
👆子どもながらに、満たされない思いはたくさんあります。
これは原因を何とかしないと、盗癖がなくなっても違う問題が出てくるパターン。
問題行動については盗癖だけでなく暴力・暴言・悪い態度など様々な行動が出てきます。
詳しくはこちらの記事を参考にして下さい。