1.世間の子どものおこづかい事情から、学童期からあげ始めるのがオススメ
世間のおこづかい事情
今の子どものおこづかいはどうなっているのか見てみましょう。
小学生白書WEB版より引用です。
【昨今の小学生がもらうおこづかいは、どれくらいだろうか。
毎月のおこづかいの平均金額は、小学生全体で407.1円であり、小学1年生は249.8円、小学4年生は398円、小学6年生は732.5円と、金額は学年と共に上がる傾向が見られた。
また、小学2年生から3年生、4年生から5年生に進級するタイミングで約10ポイントずつおこづかいをもらう子が増えていることが分かる。
「なし」と答えた子は小学生全体で約60%と過半数を占め、ここ3年間の調査では変わらない傾向である。
一方で、全体のおこづかいの平均金額は毎年30円ずつ減少している。】
小学生白書WEB版 より引用
このデータは「毎月の自由に使えるもの」ということで、しかも子どもがアンケートに答えてるので傾向しか分かりません。
しかしそのつもりで見ても月当たりでは、数百円くらい自由なお金があるようです。
右端のグレーの部分が「決まったおこづかいはなし」の割合。
なしって答えてても、その都度もらってるとか、買い物にくっついてった時に一緒に買ってもらうのも大きな意味でのおこづかい。
だから全くなしは、割合として上の表よりは少ないと思います。
また使い道についてはこちらのデータ(同サイトより引用)
日常的なお菓子や食べ物が2位。
貯金が1位で3〜上の方に使い道にはおもちゃやゲームがあるので、
貯金をして高いものを買うと言う使い方もしているのが予想できます。
定額あげても貯金して欲しい物を買う、堅実で計画的なに使える子も多いということは、親としては安心材料でしょう。
学童期から試験的にあげ始めて練習し、退会する頃には任せられるのが理想
決まった自由なお金はなしが60%と言っても、裏を返せば40%の半数近くは「もらっている」
また貯金して計画的に使う子が多いデータがあるとしても、練習なしではじめからは無理。
だから学童クラブを退会して自由に過ごし始める少し前から徐々にあげて練習し、
3年生~4年生あたりでは、安心しておこづかいをあげられるように準備するのがいいと思います。
3年生くらいからは親との関係よりも友達関係がより重要になり始める時期。
おやつを買える程度の自由なお金があることで、友達と一緒に駄菓子を買って食べておしゃべりしたり。
逆に自由なお金がないと、毎回友達におねだりして、自分は惨めな思いをすることになります。
携帯ゲーム機やスマホなんかは、依存したり目が悪くなったり、デメリットが大きいですが、
おこづかいには次章からお話していくルールを決めて守ってもらえばさしてデメリットはありません。
それでもおこづかいなしを貫くというのは親のエゴで、自立を妨げるかもしれませんよ。
2.「おこづかい」をあげないのは発達的にNGな理由
高学年になると大事になる友達関係に関わってくる
さっきチラッと「おこづかいなしってのはデメリットが大きい」と話したけど、具体的にしていきます。
この記事では学童クラブに通う小学校低学年~の子対象ですが、そのあたりの子どもは保育園と思春期にいたる過渡期。
保育園的な「みんなで仲良く」
から👇️
思春期の「特定の信頼できる友達を作っていく」
途中の段階です。
また親や学童クラブで囲われている状態から、世界を広げていく段階とも言えます。
3~4年生で成長の節目があり、
家庭で多くて2~3人くらいの我が子を見てても分からないし、分かったときには過ぎてるけど、「明らかに」存在します。
➞発達の節と呼ばれています。児童期の発達段階と9,10歳の節(外部リンク)
そのような環境で自由に使えるお金が全く無いとどうなるか・・
友達が駄菓子屋さんで
「私もそれにする~」
👆みたいのに、高々数十円を持ってないだけで参加できない。
家からおやつを持って来る子どもなんて、今どきいませんよ。
人との比較に敏感な時期に、これは大人が思うより大きなこと。
子どもながらにプライドはあり、こんな小さなことでも積み重なっていき、自己肯定感が低くなるってことです。
・・たかが数十円で。
早いうちからお金を使う練習する
お金を自分で使うと
✔ほしいものに使って満足する
✔欲しいものを見越してためる
✔同じものを買うことで、仲間意識が芽生えたりする
それができないとストレスがたまってきて、どこかで発散するわけですが、
自由になるお金を手に入れたとたん、普段の鬱憤を晴らすがごとく散財する子もいます。。
だから散財しないよう、小学校2年生とか3年生くらいからあげて、練習しとくんです。
私の家庭ではお金に触れる機会を低学年のうちから増やしていますが、初めのうちは分かりません。
というのも、保育園児の頃は親の私がお店に行って、値段を言わずにお菓子などを買っていました。
お遣いに行けるようになり、
と伝えたところ、500円分買ってきて母親に「買いすぎだ!」と怒られていました。
初めはそんなもんですが、その程度のことでも経験しなくちゃ分かりません。
お話だけ言って聞かせたり、お店やさんごっこみたいな疑似体験ではダメなわけです。
3.お手伝いをしたときだけあげるのNG
働かざる者食うべからず、お金はお手伝いをした時だけあげるのは、
考え方が古い!
とFPの視点から断言できます。
今の時代は古い考えに縛られてると確実に損をしてしまう、世知辛い世の中。
だから「投資的な考え方」や、「貢献の結果として予想外の対価をもらってうれしい」、みたいな感覚を育てる必要があります。
「働かざる~」という価値観を子どものうちから植え付けてしまうと、労働者の子どもは労働者になってしまうというわけです。
また報酬がいつも出るお手伝い、普通に考えて
- やるべきことを普通にやる
- 奉仕的な心
から出たものじゃなく、報酬目当てになっちゃうと思いませんか?
特に心理的には
やる気をもってやってたのに、報酬が支払われた途端に「やる気がなくなる」
アンダーマイニング効果が知られています。
✔やる気もなくしてしまう、
✔奉仕的な心も育たない
✔打算的な性格になり
✔労働者を育てるだけ
と言ったところで、「お手伝いをしたとき"だけ"おこづかいをあげる」はNGとなります。
例外はイベント的に使う場合。
例えば
普段からお手伝いとか普通にやってるけど、本人の希望で「ちょっと高価な物が欲しい」となったような時。
普段やらない上乗せのお手伝いでポイントをためて、追加のご褒美をあげる感じです。
やってくれてるけど当然の事に対しては、ごほうびはあげないのがいいでしょう。
いや、あげてもいいけど
気分がいいから特別ね
みたいに単発で急にあげないと、アンダーマイニング効果が発動します。
4.おこづかいあげ過ぎはNG
ほんとにたまに、年齢にそぐわない大金をもらってる子がいますが、普通に考えてよくないですよね。
- 自分の能力でもない
- 与えられたものを自分の力と思い込み
- 下手するとそこに依存する
友達に振り向いてほしくて、お菓子を大量に買って配ってみたりするわけ。
そんな子がどういう目で友達に見られるか?
一緒にいようぜ。
金の切れ目は縁の切れ目になりかねない人間関係を、子どものうちから築きかねません。
お金なしで、どうやって人との関係を作ったらいいのか、本当のところを分からずに育っちゃいますよね。
不自由しないようにお金や物だけ与えられた子どもは「寂しいんじゃないかな」って私は思います。
私の親戚にも金持ちの子どもがいたけど、やっぱり金づるに見られてバカにされてましたよ。
とても残念なことに、その親戚は大学に入ったものの拠り所がなくなって引きこもり、ついに命を自分で絶ちました。
いろんな要素があって、おこづかいの話だけじゃないけど、やっぱり全部つながってると思うのね。
大金持ってる子は児童館に来てた子にたまに居ましたが、大人の目のある場面でキャッチできるので見守れました。
明らかに異質に見えます。
5.おこづかいのメリット~交渉力、予測する力も育つ
自由に使えるお金を、小学校低学年くらいから持ち始めるメリットはたくさんあります。
・友達関係をつなぐ潤滑油になる
・計画的に使うと、見通す力や自制心が育つ
・こうしたらこうなる、経験値がたまって予測力がつく
・自己肯定感が上がる
・物を大切に扱い、人の気持ちも分かるのが早くなる
さらにあげかたに工夫もすれば、
- 奉仕の心も育つ
- 交渉力も育つ
おこづかいをもらったその日に使いきったらどうなるか?
こんなのは経験と学習の繰り返しでしか習得できないことです。
あらゆることを吸収するのが子どもですが、経験してないことは吸収できません。
当然、お金を使うのも経験に含まれます。
欲しいものがあって交渉してお金をもらうとか、お店の人に話をして取っておいてもらうとか、普段使わない頭も使います。
おこづかいをツールに見立てた学習というわけです。
6.おこづかいのルールとバリエーション~我が子の性格に合わせて
この章では、おこづかいとして現金のあげかたを紹介しておきますね。
- 月額の定額
- 欲しい時にその都度
- 手伝いなどをして
- 特別なごほうびとして
どれでも良いけど、やって当然の手伝いをしてもおこづかいには結びつけない方がいいのは、3章で話した通りです。
親がおこづかいを通して教えたいことを念頭に、それに合った渡し方を、
我が子の性格によって考えましょう。
おすすめは
定額制+追加ボーナスをお手伝いや頑張りに応じてたまにあげる方式。
報酬目当てに頑張るもいいんだけど、報酬があると思って頑張ったのに実はナシってのはけっこう落胆する。
逆にないと思ってる時に急にもらえるとかなり嬉しい。
そんなのを狙った、おそらくベストな方法。
日頃のおやつ程度を買えるおこづかいは、月の定額で渡して計画的に使ってもらう。
お菓子を我慢しておもちゃを買うでもよし。
さらにたまに頑張りに対しての「ごほうび」
言葉だけでも嬉しいんだけど、ごほうびをもらうとそれが倍増しますね。
ただ「今回は特別ね」って言わないと、「同じことをしたら次もごほうびがあるかも」って次も期待しちゃう。
そしてもらえなかったら落差が大きいから、必ず「今回は特別ね」を言うのは忘れずに(笑)
番外編~電子マネーおこづかい
家族のお財布アプリってのを見つけました。
何に使ってるか分かるし、落として無くさない良さそうだけど、時代がまだ追い付いてないかな?って感覚です。
・駄菓子屋なんかで対応してない
・スマホが必要
中学生とかになればいいと思うけど、小学校低学年のうちはちょっとハードルが高いですね。
子どもは現金でOKでしょう。
外部サイト
家計やおこづかいはキャッシュレスで管理。家族で使える「かぞくのおさいふ」
7.おこづかい使い道、自由の範囲についてのルール
低学年くらいで初めておこづかい制にするとき、先に決めておくルールを挙げてみます。
ルールを決めておくことは、やっかいなお金の絡んだ余計なトラブルを防ぐ事にもつながります。
①欲しいものや必要なものを買う
②必要でないものは買わない
③人にお金をあげない、買ったもの全部をあげない
④貸し借り・友達にお金を払わない
⑤おごる・おごられるの禁止
①と②は基本的な使い方です。
教えなくても徐々に学んでいくと思いますが、せっかくもらったおこづかいを気持ちよく使えるために、先に教えてあげましょう。
あげないからね。
はじめの数回は練習のために許しても、それ以降は「あげないと言ったらあげないようにする」のが必要な態度です。
ルールは親も守ります。
③④⑤は人とのやりとりについて。
買ったものやお菓子をちょっとならまだしも、お金をあげる・もらうとなると、相手方の保護者も巻き込みます。
やっぱり返して
なんてことになったり
おごって
など、子ども同士で解決できるレベルを越えちゃいます。
おごるの範囲が分かりにくいんだけど、「一緒に食べよう」ってシェアする感じならいいと思います。
要は買ったのを全部あげちゃうとかをダメとする感じですね。
8.「おこづかい」で買えるものについてのルール
おこづかいは子どもの自由といっても、親としては小遣いで買える範囲もルールとして伝えておきましょう。
いつもは文房具を親が買ってあげてるのに、たまに親の気分で「おこづかいで買いなさい」とか、子どもは混乱します。
また好きに使っていいといっても、買えるものやダメなもの(家庭の方針も含めて)はあると思います。
ガムは買っちゃダメ
みたいなハウスルール(笑)
それこそ家庭の価値観なんだけど、よくあるのは「トレーディングカードは買っちゃダメ」みたいなのも多いですよ。
文房具でよくある「練り消し禁止」とか。
まあ、親としてどうしても譲れないのが、あれば先に伝えてあげましょう。
9.親の態度として、ルール以外のことには干渉しない
おこづかいをあげる時の大切な親の態度は、始めに決めたルール意外には干渉しないこと。
それでも想定外は起きるので、良く考えておきましょう。
子どもの判断力や、迷ったら聞く態度を育てるのも必要ですね。
それにあれこれ干渉しすぎ、子離れできないのは親の問題。
自立できない、依存的な人間になっちゃうとか長期的に問題が出てきますよ。
ちなみに多くの親がおこづかいで心配するのは「無駄遣い」
無駄遣い?いいじゃないですか。
決めたおこづかいがなくなっちゃって、困るのは子どもです。
それで追加であげちゃ駄目だけど、「子どもは経験をして学ぶ生き物」
一度じゃ学ばなくても、何回も繰り返してたら身に染みるってものです。
たかが数百円を無駄にしても、生きていく上での大切なものを学べるなら安いもの。
それを学ぶために、おこづかいをあげるんですよ。
お菓子は買うけど
本は買わない
ってのと同じことですね。
こんな感じで
ルールなど一度決まったら、使い方にいちいち干渉しないようにするのがコツ。
お金がらみのトラブルで、人に巻き上げられてる可能性や、相手の家庭を巻き込むトラブルもあるから完全に放任して無関心ってのもダメ。
だけど、ルール以外の事には干渉しないこと。
①欲しいものや必要なものを買うよう
②必要でないものは買わないように
③人にお金をあげない、買ったもの全部をあげない
④貸し借り・友達にお金を払わない
⑤おごる・おごられるの禁止
これにほとんど守ってほしい要素は含まれてるから、子どもに分かりやすく伝えればOK
使い方について、「こうすればいい」みたいなアドバイスはしても、子どもが自分で学ぶのを待つ姿勢です。
いけないにゃ
何に使っているのかどうしても気になるとか、子どもには計画的に使ってほしいなどの理由なら、おこづかい帳をつけるのもいいかもしれません。
例えばこういうの↓
商品が出ているというのは需要があるということでしょう。
こんな本も出ているので参考に↓
子どもにおこづかいをあげよう!
10.学童くらいの小学校低学年のおこづかいまとめ
いかがでしたか?
1章では世間の小学生のおこづかい事情を紹介しました。
月当たりに数百円の自由に使えるお金があるかないか?程度。
ない子は半数を越えるけど、もう半分は自由に使えるお金があるって状況を話しました。
半分はおこづかいあり、学童クラブを卒業して友達と自由に過ごすようになったらおこづかいは必要です。
特に3年生以上では大きな意味があって、
おこづかいあげないのは発達的にNGの理由(2章)でお話しました。
あげ方についても
3章 お手伝いした時だけあげるのはNG
4章 あげ過ぎは特にNG
5章ではおこづかいをうまくあげたときのメリットをお話しました。
メリットを生かすためのあげかたはルールを決めること。
具体的には
①欲しいものや必要なものを買うよう
②必要でないものは買わないように
③人にお金をあげない、買ったもの全部をあげない
④貸し借り・友達にお金を払わない
⑤おごる・おごられるの禁止
です。
最後の9章では親の態度として見守る姿勢が大切という話もしました。
「無駄遣いしかしないから」
「心配だから」
みたいな理由だけで、子どもにおこづかいをあげないのは、
なんでも吸収する子ども時代に、親のエゴで経験の機会を奪ってしまう行為と言い換えることもできます。
お金とは一生付き合っていくもの。
子どものうちからお金の大切さやありがたみについて教えていきたいですね。
こうはいっても、おこづかいをめぐるトラブルは多いので、トラブル対応は別記事で書いてます。
気になる方はこちらもどうぞ。
ありがとうございました。
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