1.年齢ごとのスキンシップの効果
スキンシップは全年齢に有効と冒頭でお話しましたが、だいたいの年代別効果について紹介します。
1-1.スキンシップにより、幸せホルモン「オキシトシン」が分泌されるのが全効果の原因
泣いている赤ちゃんを抱っこすれば落ち着くのは動物の本能。
オキシトシンという脳内ホルモンが、信頼して安心している人に触られると出てくるのが、事実として分かっています。
オキシトシンとは・・
本来はママの母乳を出すためのホルモンですが、嬉しい、楽しい、気持ちいいと感じた時などに、脳で作られます。
分泌されると、やさしい気持ちになったり幸せな気分になるため、愛情ホルモン、幸せホルモンとも呼ばれます。
さらに繰り返し触れ合ったり、じっと見つめ合うことで、分泌量がアップします。
花王ホームページより引用
オキシトシンは脳内で働く神経伝達物質であり、人やグループとの絆・信頼・愛情といった感情や社会的行動に関わっています。
また全身に巡ると、内臓の働きを沈静化する働きもあるので落ち着きます。
端的に言えば、
✔興奮している状態での警戒感など、外に向けられたマイナス感情が薄れる
✔安心して人への「接近行動」がとりやすくなる
こんなホルモンが出てくるのが、スキンシップに色んな効果がある生物的な理由です。
1-2.スキンシップにより乳幼児〜小学生では外へ関心が向かうので、賢くなるサイクルに
オキシトシンによる闘争心を鎮めるのは子どもの探索行動を促すため、主に乳幼児の脳を育てます。
愛情を感じて安心すると、その人を"安全の基地"として外への関心に向けた探索行動が出やすくなり、
それが学びの土台となって子どもが賢くなるのは順当な流れ。
安心や信頼がない状態でも、好奇心を原動力に外への関心は広がりますが、
安心感や落ち着きなどの基礎的な部分がないとすぐにストレスを感じ、安心して逃げ込める場所がないという危機的状態と隣り合わせ。
学び要素は大幅に制限されます。
またストレスを感じた子どもは行動も荒れがちなので叱られることも増え、自己肯定感が低くなる等、マイナスダメージを受けやすくなります。
抱っこをせがまれる度に応じていたら「抱き癖」がつくと昔は言われていましたが、今は否定されていて、
今では放置する方の悪い面が明らかになっているので、時代遅れの考え方です。
間違えてる人いるけどね
子どもが求めてくるなら、特に乳幼児なら満足するまでやってあげたらいい。
大人にも状況や感情もあっていつでもWelcomeじゃないけど、できるときだけで良いのです。
子どもはそのうち親元から巣立って行くし、短期的にも充電できたら離れていきます。
出て行かないのは大人が子離れできず、引き留めている可能性が高いだけ。
(引きこもりなどは全く別の問題をはらんでいるため、当てはまりません)
【人に期待しないアドラー心理学】人間関係で悩まない重要マインド
1-3.小学生までにスキンシップが不足しすぎると愛着(アタッチメント)障害になるかも・・
愛着障害とは、信頼できる人との愛着が不十分なために起こるさまざまな不具合。
親など特定の人と幼少期に信頼関係を築けないと、その後の人生で困難が待っています。
愛着障害により出やすいパターンは
●いつもイライラし、かんしゃくを起こしやすい
●心から楽しんだり喜んだりできない
●パニックを起こしやすい
●人に対して攻撃的、挑発的
●衝動や欲求不満に自制がきかない
●人のせいにする
●誰構わず愛情を振り撒く
●人と距離が近く、距離感が分からず
●新しいことに挑戦できない
●忍耐力や集中力が低い
●自虐的で残酷
●因果関係が分からず、常識通用せず
●痛みに対して辛抱強い
●自分を悪い子だと思っている
ざっと挙げましたが、いいことがありませんね。
多少愛情が足りなくてもたくましく育つ子もいますが、愛着を育むに越したことはありません。
スキンシップは愛情を育てる、簡単かつ有効な方法です。
1-4.小学生以降は、「認められている、気にかけている」の承認欲求を体感する意味が強くなる
私が児童館勤務だった頃、普通にいい子な中1女子が、男性の私に急に後ろからおんぶしてきました。
中1女子はマズイでしょ
嬉しい反面、驚きと戸惑いがあった駆け出しの頃。
スキンシップは年齢が上がると恥ずかしさから言い出せないけれど、子どもは求めています。
元は承認欲求なので、スキンシップじゃなくても満たせますが、有効な手段に変わりありません。
児童館では多くの中高生に接してきましたが、「みんな何かしら認めてほしい、見てほしい」
一見不良っぽいヤンチャ系中学・高校男子も、スキンシップとして相撲を取ったり、冗談でくすぐったりすると意外に悪くない反応が返ってきたりしました。
「あなたの望み叶えます」みたいな昔見たテレビ番組で、高校生女の子が「お父さんにおんぶして欲しい」恥ずかしそうに言ってました。
👆年長以上の子でも、スキンシップは有効という話です。
※年齢や性差によって注意点や、守るべき節度もあるため、次章でお話していきます。
【マズロー欲求段階説】6段目まで理解して人も自分も動かすワザ
2.スキンシップの性差、年齢・関係による留意点
父親と母親のスキンシップが生み出すものの違い
母親とのスキンシップが多かった子は
- 情緒が安定
- 自信がつく
- 人を信頼できる
こんな傾向があったようで、一方父親とのスキンシップが多かった子は、
- 社会性
- 人と協調する力が高い
というデータを見たことがあります。
一概には言えないと思いますが、信頼関係がある人との関わりにより、悪いことが起こるということは無さそう。
おもしろいのは両親では触り方によって分泌量が異なることです。
母親は子どもに優しく触れたり抱っこで分泌しますが、父親の場合は優しく触れてもあまり出ません。
体を動かしながら少し刺激的な触れ方のほうが出るのです。「お母さんは優しく、お父さんは元気に」。
それぞれが自然なかたちで子どもと触れ合えばいいのです。
ボーネルンド、やまぐち・はじめ
桜美林大学リベラルアーツ学群教授の記事より
性差により親でもスキンシップで注意すべきこと。不快感を生むことさえあります
父親の場合は特に、思春期に差し掛かった女の子とのスキンシップには要注意。
父親からはスキンシップのつもりでも、子どもの方は嫌がっているケースや、
ひどい場合だと性的虐待にあたることすらあります。
思春期に入れば生理も始まって情緒的にも不安定だけど父親には分からず、思いが空回りすることも。
だからスキンシップにこだわらず、無理のない形で「存在として大切」を表していけば良いと思います。
女の子じゃなくても、多感な思春期だと
👆下手に触るとこんな反応も珍しくないこと。
「お互い無理なく」が一番だと思いますね。(具体的な取りやすいシーン別関わりは3章)
19歳の大学1年女子です! 父親のスキンシップが嫌で困ってます。
うちの父親はスキンシップが好きみたいで、おしりや足や手を触ってきたりハグしてきたりします。
ちょっと甘えた?みたいな小さい子に喋りかける感じの言葉遣いも付いてきます。 私はそれが本当に嫌です。
普段は冗談を言い合ったりすごくいいお父さんだと思うし感謝してるけど、もう19だし本当に嫌なんです。
(後略)
ヤフー知恵袋より引用
保育施設、小学生〜学童クラブ以上での男性は特に注意
この記事を読んでいるあなたが男性の保育者・教師など仕事として子どもに関わる立場なら、女の子とのスキンシップには要注意。
実際には女の子に限らずですが、無頓着でいるにはあまりに危険です👇
【男性指導員が学童で気を付ける事】女の子抱っこNG〜世間の目あり
3.スキンシップが自然にとれる場面10例
子どもは小学生になっても、中学生になってもある程度のスキンシップが必要で、求めています。
別に子どもに限らず生きている間、スキンシップは誰にでも心と体にたくさんのいい影響を及ぼします。
ホルモンが出るのは生物としての本能。
存在を認められている(自己肯定感)のを実感するにはスキンシップが一番簡単で基礎的なところです。
しかし幼児や赤ちゃんの頃は抱っこなどで機会はたくさんありますが、年齢が上がってくると減ってきます。
この節では日常のどんな場面で自然なスキンシップが取れるのか、お話していきますね。
出掛けるときに手を繋ぐ
手のひらだけのスキンシップですが、子どもは安心します。
咄嗟の危険からも守れるので一石二鳥、ハードルが高くない普通の行動です。
たまに「おいで」と抱き締める
呼びかけてみて、別に来なくてもいいんです。
「いつでも甘えさせてくれる」「困ったときは助けてくれる」と思ってもらえたらいいですね。
ただし、自分の気分次第でやっちゃダメ。
気分次第で怒鳴りちらし、そうかと思ったら甘えさせてくれる
DV男が女子を洗脳する構図、子どもだと大人の顔色をうかがって育っていくアダルトチルドレンに通じるものがあります。
アダルト・チルドレン | ||||
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甘えてきたら受け入れる
大人側の都合もありますが、その場では断っても、数分後には「さっきは無理だったから」と受け入れてあげましょう。
繰り返していれば子どもの側も、大人側にも都合があることを理解し、
タイミングが悪かっただけ
と分かります。
耳かき
子どものケアをしながらスキンシップをとれる良い場面。
耳そうじは気持ちが良いので、快の感覚をよけいに感じられますよ。
耳が痛くなるにゃ
歯磨き
歯磨きの仕上げ磨きは9歳くらいまで必要なので、こちらもスキンシップにもなる一石二鳥な行動。
子どもの歯の状態も分かりますね。
これをやるだけでも1日1度は触れ合える機会となるため、習慣にしましょう。
髪の毛
髪の毛や頭のマッサージは気持ちが良く、子どもも同じ。
女の子なら髪の毛を結わえてあげたり、ヘアピンを付けてあげるだけでもOK。
お風呂でシャンプーしてあげるのもあり。
背中をトントン
背中を大人の大きな手でトントンされるのは安心。
大人でも、落ち込んでいるときに背中をヨシヨシとされれば元気が出てきますね。
個人的に、大きな手を背中に当てられ温かくなって得られた安心感が、幼少期の思い出にあります。
寝るとき
寝るときに手を繋いだり、頭を撫でながらは子どもも安心します。
求めてきたなら少しの時間でも応じてあげたら良いと思います。
すぐ寝るしね(^^)
本読み
ある程度の年齢になるまで、本を一緒に読む時には大人の膝の上に乗ってきます。
子どもにとって共通の動きみたい。
特に拒否をする理由がなければ、そのままで良いでしょう。
小さいうちは本を仲介したやり取りなら、大人も「遊んでやろう」と変な気を張らずに関われますね。
ハイタッチ
何かを達成したときや、片付けが終わったときなど何でも良いのでハイタッチ。
これだけでも子どもは認められている感じがします。
その途中のやり取りがあればなお良いけれど、"終わりよければすべてよし"
気持ちよく次の行動に移れることになります。
4.場面や年齢ごとのスキンシップやり方まとめ
いかがでしたか?
スキンシップには良い効果がたくさんあります。
乳幼児には必須、だきぐせなんて心配ないのでできる限り応じてあげましょう。
保育園年長〜小学生、中学生にかけてもスキンシップは有効とはいえ、程度をわきまえるのが大切。
過度にやるのは良くないし、知らない間に不快感を与えかねません。
特に男の大人➞女の子へのスキンシップは要注意。
世間体もよくありませんね。
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