1.学童クラブとは
まず学童クラブについて軽く解説します。
👆という方は、3章〜の放課後児童育成支援師の資格説明へ
学童クラブ事業とは、児童福祉法第6条の3第2項の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない都内小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業です。
東京都保健福祉局ホームページより引用
学童クラブには公的な施設と、塾などが子どもを預かるという意味で「学童クラブ」と名乗っているものがあります。
簡単な区別は利用者の支払う料金が週5回通ったとしても、月額1万円前後程度なら概ね公的な施設です。
学童クラブで働くのに資格は必要か?
仕事をする場合、塾などの民間学童では資格不要。
習い事系の施設は、名前に「学童」が付いてるけど税金も使われてない独自施設だから、決まりがないんです。
一方の公的な学童クラブで関係するのは「保育士」「放課後児童支援員」などの公的資格のみ。
その他の民間資格があれば採用担当の目に留まるかもしれないけど、学童クラブは基本的に人手不足の業界です。
アルバイトするなら、公的な学童クラブでも無資格OKな施設ばかりです。
正規を目指していて資格が心配なら、放課後児童支援員資格さえあれば問題ありません。
だからよく分からない民間資格を「就職に有利かも」の目的で検討してるなら、時間の無駄なのでやめた方がよいでしょう。
「知識を得たい」、「他の人よりも質の高い知識や技術を目指すために自分にお金と時間を投資するんだ」👈なら意味があります。
民間資格についてはこちらの記事をどうぞ
学童クラブの教科書とでも言うべき放課後児童クラブ運営指針でも、常に自己研鑽に励むことと明記されています。
仕事をする上での勉強する姿勢は、子どもに返っていくため必須。
そのスキルアップのために整ったカリキュラムの研修を受けるのは効率的です。
次章からまずは放課後児童支援員について触れたあと、学童クラブの職員向け民間資格、
- 放課後児童育成支援師
- 放課後児童専門育成支援師
- 放課後児童高度育成支援師
についてお話していきますね。
これはNPO日本放課後児童指導員協会が独自に設定している民間資格です。
2.放課後児童支援員
放課後児童クラブ(厚生労働省の管轄している学童クラブ)で働ける公的資格です。
実務経験か、学歴等の要件で研修を受講して取得します。
一時期「学童クラブの子ども何人に対して放課後児童支援員を必ず何名配置する」といった基準がありましたが、2022年現在では必須ではなく推奨となっています。
基準が緩和されたのが2018年とまた新しいので、自治体によってはまだ必須としているところも数多くあります。
実務経験によっても受講資格が得られるので、パート職員として無資格で働いていてから取得するというのもできます。
そのため公的資格ですが、なければ働けない訳ではありません。
子ども施設で働ける万能資格、保育士についてはこちら
3.放課後児童育成支援師〜NPOの認定しているスキルアップ研修
NPO日本放課後児童指導員協会が認定している放課後児童支援員のステップアップ研修です。
これを放課後児童支援員を持っている方が受講することで認定され、さらに「高度」「専門」の支援師研修を受けるための条件になります。
イメージとしては、支援員資格を取ったときの研修の発展版。
協会ホームページに募集要項が出てきますが、毎年開催ではなく年度ごとに「支援師」「高度支援師」「専門支援師」どれかに限定される傾向です。
2021年度の募集要項 👈11月に募集が出ました。
子どもたちの育成支援について実践的に学びたい方のための資格です。
放課後児童支援員認定資格取得者が、4科目24時間の講習会を履修し、より高度な実践的知識と技能を修得することで取得できる資格です。
NPO日本放課後児童指導員協会
カリキュラム(放課後児童育成支援師)
4科目で合計24時間(4日)の研修
※4日集中や、長期に少しずつやれる場合もあります
1.育成支援計画論
- 育成支援計画の意義
- 育成支援目標と内容
- 育成支援計画の作成と評価
2育成支援実践論
- 活動論
- 育成支援実践の原則
- 個別支援と集団作り
- 遊び・文化活動の創造
- 遊び・文化活動の実際
3育成支援実践論
- こども論
- 児童期低学年の発達の特徴
- 児童期中学年、高学年の発達の特徴
- 障がいのある子どもの理解
- 障がいのある子どもの育成支援
4育成支援研究論
- 育成支援の記録
- 育成支援の省察
- 育成支援の事例検討と実際
- 育成支援研究の意義と基本的な方法
ほぼ講義形式ですが、講師によっては参加者同士のワークを取り入れている場合もあります。
放課後児童育成支援師について一言
学童クラブは働いてる人数は施設単位では少ないため内部研修ができる施設は少数。
クラブの質を一人ひとりの職員が大きく左右するけど、ステップアップは厳しい業界です。
支援師の研修は放課後児童支援員(リンク)に追加で行われる内容のため、
ろくに勉強する機会もなく、日々悩みながら働いている職員にはとても役に立つでしょう。
コスパも24時間で2万円テキスト代込みはタダなようなもの。
講座はレアなので、機会があればぜひ受けてほしいと思います。
4.放課後児童専門育成支援師
協会ホームページに募集要項が出てきますが、毎年開催ではなく年度ごとに「支援師」「高度支援師」「専門支援師」どれかに限定される傾向です。
「専門」は年度ごとに開催科目も違い、2020年度に「衛生・安全管理コース」が出たのが最新。
子どもたちの育成支援についてひとつひとつを専門的に学びたい方のための資格です。
放課後児童育成支援師®の資格取得者(見込含む)が、特定の分野について2日間12時間の講習会を履修し、その分野の専門的な知識と技能を習得することで、その分野についての資格を取得できます。
NPO日本放課後児童指導員協会
受講要件と取り方
✔放課後児童支援師を取得済
✔2科目12時間(2日)の研修
※科目は下記に掲載しておきます
費用
20000円
カリキュラム(専門)
以下の中から2科目(年度により異なる)
- 遊び指導
- 生活指導
- 発達障害育成支援
- 高学年育成支援
- 健康・保健
- 子育て支援
- 組織マネジメント
- 地域コーディネート
放課後児童専門育成支援師について一言
4つ目の「高学年育成支援」などは特に価値のある内容で個人的に受講機会に恵まれませんでしたが、ぜひ受けてみたいものです。
他には組織マネジメントや地域コーディネートなど、現在の福祉的視点の内容は価値が高いと思います。
5.放課後児童高度育成支援師
協会ホームページに募集要項が出てきますが、毎年開催ではなく年度ごとに「支援師」「高度支援師」「専門支援師」どれかに限定される傾向です。
2022年度の募集要項👈5月に出ました。
前回は2020年度だったので、2年おきベースかも。
自らの理論と実践を結びつけることで、単なる経験だけではない高度な実践力を身につけたい方のための資格です。
放課後児童育成支援師®の資格取得者(見込含む)が、1日のセミナーを履修したうえで、実践研究報告書を作成し、
育成支援の質的向上や職員研修の企画・実施に求められる、育成支援実践を研究的な視点で省察し言語化する能力を修得することで取得できる資格です。
NPO日本放課後児童指導員協会
受講要件と取り方
✔放課後児童育成支援師を取得済
✔600日以上の勤務経験かつ現場職員であること
✔一日のセミナー(90分×2)を受けた後で個別指導を受け、研究報告書を作成。提出して合格する。
※放課後児童指導員上級を取っていたら、支援員資格を取って申請したら振替できる
費用
15000円
カリキュラム(高度育成支援師)
セミナー
- 実践研究とは何か
- ライティング研修
- 実践研究の原則及び方法に関する内容
- 実践研究報告書の書き方に関する内容
個別実践研究
- 仮説の設定と検証に取り組む
- 報告書を作成し指導教員から助言・指導を受ける
- 実践研究
- 報告書提出
実践研究報告書を完成させて提出する
(2月中には、審査委員会による審査が行われ、審査結果が通知される。なお、この際に、修正が要求された場合は修正の上で再提出し、再審査を受けることができる)
実践研究発表
審査により合格した者のみが対象となり、研究発表を行う。
放課後児童高度育成支援師について一言
とても高度な内容にみえますが、現場で働きながら試行錯誤~実践、一定期間実践してどうなったかなどは日々のルーティンの延長です。
それを人に発表できる形の研究としてまとめるだけなので、敷居は高くありません。
この団体が出している他の二つの資格はインプットが中心ですが、こちらはアウトプットを中心とした非常に実践的な内容となります。
仕事のなかで企画書~終わったら報告書や記録を日常的に行っている施設の職員なら大丈夫です。
ただ実践が含まれる以上、現場の理解が必要なので、受講~取得に当たってはちゃんと相談しましょうね。
6.放課後児童育成支援師などの資格まとめ
いかがでしたか?
児童育成支援師関連の資格は、就職に有利になるなどの次元ではなく、完全に現場職員のスキルアップのための研修です。
コストもタダのようなものですが、受講機会が少ないのがネック。
年に一度、しかも育成支援師・専門・高度のどれかしか募集されないので、機会があればぜひ受けてみて下さい。
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