叱らない子育て 本当の意味〜 コントロールor放任の2大勘違いが多い
・叱らない子育てって、実際どうなの?
・注意しないのが叱らない子育てなら、私はやらないわ
すでに思い込んで実行し、聞く耳持たない人は読むこともないと思いますが、
叱り方、伝え方について迷ってる保護者の方、または学童クラブなど保育関係者に向けてお話できればと思います。
東大出身 理系保育士ジャムです。
「叱らない子育て」は、
ちゃんとした子どもを育てる目的
のために取れる方法の一つですが、うまくいくかどうかは2つの要素
✔「叱る・叱らない」の線引をどのへんに考えてるか?
✔その子が理解できて、その方法が合ってるか?
によってOK/NGが決まります。
単に方法の一つに過ぎないのに、「叱らない」事自体が目的になっていると、諭したところでダメ行動を止めない子を放置し、
割り込んでくる子を注意するだけで直させない、迷惑な親だ!
みたいに世間の批判の的になってますよね・・
叱らない=放任
となっている方がたくさんいます。
だから本当の「叱らない子育て」の意味を知ると、子育ての本質や親としての行動が分かってきます。
特に私のウェブサイト対象の学童クラブくらい低学年は、親の影響が大きな時期の最終段階、
それ以降は友達関係が大切になってくるので、子育て方針を修正するチャンスです。
とるべき行動をキャリア20年以上の視点から理由付きでコツも書いているので、方針がハッキリとし、あなたの悩みが解決に向かうと思います。
目次
1.子育ての目的は「まっとうに育つよう必要なこと教える」、叱る・叱らないは単なる方法
1-1.叱る・叱らない子育て前に、子育ての目的は?
1-2.「叱る」の程度が弱いと効かない子は、学童児だとたくさんいます
1-3.叱らないを意識しすぎると危機介入が疎かに!
1-4.叱らないけど不適切な育て方はいくらでもありますよ
3.大人の行動を自制する意味で「過度に叱らない」を心に留めるのは大事
4.「正しい叱らない子育て」は、叱る・叱らないに囚われないこと
5.まとめ
1.子育ての目的は「まっとうに育つよう、必要なことを教える」、叱る・叱らないは単なる方法
この章では叱る・叱らないは単なるやり方なので、こだわりポイントじゃないというお話をしますね。
1-1.叱る・叱らない子育て前に、子育ての目的とは
子育ての目的は、
✔子どもをまっとうに育てること
✔そのために必要な事項を教える
だから
叱る、怒る、諭す
すべて方法論、どの方法でも子どもが社会の中で生きていく力を身につけ、真っ当に育てばいいんです。
その中で「怒っちゃダメだけど、叱ることは必要」みたいな通説があります。
●怒る = 大人の感情をぶつけるように接する
●叱る = 厳しさの程度はさておき、教えて諭す感じ
こんな区別をすれば、たしかに上から大人の力でねじ伏せる傾向になる「怒る」はよくありません。
「叱らない子育て」は本来、この意味での「怒らない」を目指し、更に「叱る」で厳しさを抑えた伝え方を目指すやり方。
・・でも、うまくいくケースは限られています。
1-2.「叱る」の程度が弱いと効かない子は、学童児だとたくさんいる
親戚に一人息子を怒らない、叱らないで育てた人がいます。
親戚で集まった際は、その子がお菓子を独り占めして言い合いになっても「うちの子は体が大きいから多めにもらうのが当然」。
テーブルに乗ったり他の子に乱暴しても叱らずに知らんぷり。だんだん集まり自体に呼ばれなくなりました。
発言小町
多少話したところで、こんな状態の子は聞く耳持ちません。
そして学童の小学生になると、よほど信頼されてても叱るべき時に対応しないと、すべての指示が通らなくなります。
学童クラブで20年以上働いてきましたが、一度言って理解したように見えても繰り返すのが子どもの本質。
何度も何度も伝え続けて学ぶのですが、同じ伝え方を毎回していても聞かなくなってくる。
その中で取れる方法が「叱らない、諭す」だけというのはあまりに粗末。
- 怒鳴るだけ
- 諭すだけ
- 説得するだけ
取れる方法が少ないほど、俗に言う「なめられた」状態になり、言うことを聞かなくなってくる。
親が子どもの奴隷みたいな家がたまにあるけど、親の言うことを聞かない点では似たようなものです。
1-3.叱らないを意識しすぎると危機介入が疎かに!
危機管理の場面では、ビシッと叱るのが必要かつ有効です。
ある行為が本人や周囲の人に危険な場合は、
バシッと言ってすぐにやめさせる
諭す言い方でものらりくらり止めるかもしれない、だけど「すぐに」は無理。
だから一瞬の厳しさを示すのです。
「怒る」に近い感じで叱られると、子どもはビクッとします。
とりあえず行動が止まるから、瞬間の危険は回避できる。
でもこれ、一瞬の身の危険、苦痛の回避の防御システムを働かせただけなので、学びや成長とは違うメカニズム。
「ビックリさせる」だけでは学びや成長は期待できません。
だからその後に、諭す言い方などすれば良いのです。
ちなみに「ビクッとさせて止める」方法ばかり使っていると、子どもの脳がおかしくなります。
ストレス優位な状況=防御システムの作動中は知的能力が下がるので、頻繁にさらされると脳の発達にダメージを与えるという話。
目的は「必要な事項を教えること」
怒るとか、叱るとか、厳しくするとかやり方はいろいろあり、
虐待や体罰はダメだけど、ある一つのやり方が効かなけりゃ、特に学童児以降では別の方法を取る必要があります。
虐待は脳を変える
1-4.叱らないけど不適切な育て方はいくらでもありますよ
叱らないで諭す方法は理想的、親も怒りたくないからね。
でも叱らなくても不適切な子育て・保育はいくらでもあります。
✔過干渉で口出しすぎ
✔先回りして用意しすぎてしまう
✔圧をかけて子どもを思い通りにする
✔条件付き愛情
条件付き愛情というのは、
褒めてあげるよ
とか行動した結果に、無条件で受けるべき愛情を対価にする感じ。
子どもをコントロールする意図がある場合、不適切な子育てになりやすい。
諭してるつもりで自己満足、子どもは一切伝わってないし理解できてないという状態にもなります。
私が児童館勤務一年目、どうやって子どもたちを叱るか思い悩みながら色々試していた頃。
ダメよ〜って言いながら、声かけた以降の子どもの様子に構わずにさっさと進める方法を編み出しました。
自分では
と思って数日使ったけれど、よく考えてみたら
「自分の声かけによる子どもの変化にはお構いなく、自己満足の言葉をかけてるだけ。」
ということに気づきました。
対応も何もしてない、一応言葉は発してるけど全く響いておらず黙ってるのと同じ。
それどころか、自分がいても居なくても同じ。👈完璧に放任ですね。
こんなのも害は与えてないけど、不適切な育成に含まれると思います。
2.叱る・叱らないの境い目をどの程度に考えてますか?
叱らない子育ての要素にあるのが、
叱る・叱らないの境目をどのへんに考えてるか。
叱らないを、
●「あらあらイケないわね」と諭す以上のことをしない
と拡大的に考えてる方もいれば、
●頭を強く叩いても「これくらい、叱ってるうちに入らない!」
大人によって都合よく解釈されます。
優しく諭されて、その人を100%信頼してる子どもがダメな行動をすぐ止める状態👈これが理想形。
でもそんな状態は幼児ならまだしも、学童くらいの子だとほぼあり得ないことです。
本人の気質、親への信頼、親の性格すべてが揃った、ごく限られた大人ー子どもの関係でのみ可能だから。
結果的に叱る必要もない「いい子」はいます。
いるけれど、私が学童クラブで何百人も接してきた親子のうちの数%、本当に数えるほど。
優しく諭すだけで理解し、ダメな行動をやめ、真っ直ぐ育つ子はほとんどいません。
表面的に厳しく叱ってないけど、何故か子どもが親に従うケースで多いのは
優しい口調だけど逆らったときに叱られる以上の罰が待ってるとか、圧をかけられてるとか、さっきお話した「不適切な子育て」とセット状態。
優しく諭すのみ👈を叱らない子育てと考えてる場合、理想的には存在するけど、多くの親子では現実味がない幻想です。
一方で「叱らない子育て」を、
●必要な注意はして、ダメなことはすぐにやめさせる。
●その時に感情を直接ぶつけるようなことはしないで、冷静に話をする。
●「これは叱ってるのでなく、正しく教えてるだけ」
こんな感じで捉えているなら、良い結果が得られるでしょう。
放任や不適切保育と
隣り合わせです
3.放任じゃなく、大人の行動を自制する意味で「過度に叱らない」を心に留めるのは大事
叱らない、を大人が自制のために意識するのは大切。
なぜなら・・
人を叱ったり処罰すると
>>> 「快楽」を感じる
実はこんな研究があって、大人は子どもを叱って満足する側面があるからです、
叱って子どもが反省したように見える。
子どもの行動を変えたんだ!
これを何度か繰り返すと、大人に行動パターンができる。
そんな人が叱っても反省しない子に出会うと、さらに強い叱り方になる。
👆自然な流れですね。
参考PRESIDENT 大人はなぜ叱ったあとに子どもに「ごめんなさい。もうしません」と言わせたがるのか
「あのとき叱られて成長できた」
「昔はコレが普通だった」
という主張を持つ方は、特に陥りがち、繰り返しがちです。
叱られたことを感謝できる人はたしかにいるけど、「あの毒親のせいでこんなに苦労してる」みたいな人もいる。
叱ることに快楽を見出すのは人間の性質なので、理性で自制しないといけませんね。
我慢して叱らなかった、自分偉い!
となると別の問題が出てくるけど。
叱らない子育てへの盲信です。
4.「正しい叱らない子育て」は、叱る・叱らないに囚われないこと
ここまでお話したように、子育ての目的は
まっとうな人間に育てること。
そのためには必要なことを教えないといけません。
叱る・叱らないは単なる方法だから、
●叱っても効かない子
●叱らないで諭しても効かない子
いろんな子がいる中で、その子に合う方法で伝える必要があります。
万人が優しく教え、諭されたら理解して行動できるわけじゃありません。
叱らない子育てで失敗しました。 今、小学生の子供が二人います。
叱らない子育てがブームで、私も叱らず諭す方法で育ててきました。
自分で言うのもなんですが、それは徹底していて、 お友 達を叩いたり石を投げつけても、「なんでそんなことしたの?痛いでしょう?」といったかんじで、諭してきました。
ヤフー知恵袋
・教えたことを本当に理解したのか?
・この関わり方で、この子に響いたのか?
この問いを大人はしていきます。
ただし、子どもの成長は行きつ戻りつ、いけないことも繰り返すので、何が効いたのか分かりにくいのがネック。
学童クラブで20年以上働いてきた私でも、
この子はこんな傾向だから、この方法が効くかもしれない
と当たりをつけてやってみても、外れることがたくさんありますよ。
だからこそ一つにこだわらず、色んな方法を試すのがベスト。
家では多くても兄弟2〜3人の子育てするだけなので、全く手探りになります。
そして手探りしてる間に、子どもは大きくなってしまう。
だから「叱らない子育て」みたいな、たった一つの方法だけ盲信し、こだわって取り組むのはとても危険なのです。
効けばいいけど私の経験上、学童児以降では効かない子ばかり、叱らないと増長するばかりなので、
さっきの「叱らない子育てに失敗しました・・」みたいな残念な結果が、多くの家庭で待っています。
一番良いのは方法にこだわるより、子どもに信頼されるのを目指すこと。
極端な話、あこがれてるレベルの人の言うことは無条件に聞きますよね。
野球好きな暴れん坊が、憧れのプロ野球の選手を目の前にしたら「ハイ、分かりました!」
叱る・叱らないとか、こだわる必要がなくなります。
【子どもとの信頼関係の築き方】 憧れさせるより楽な5つの超具体的方法
5.「叱らない子育て」が効かない子は学童児にたくさん、じゃあどうする?まとめ
叱らない子育て
一時はブームでしたが、今やネガティブワードのように使われる場合もあります。
特に諭すことだけにこだわり、明らかな子どもの迷惑行為を優しげな声をかけるだけで「やめさせる」ことをしない親は、世間から批判の的。
叱らない = 放任と同じと気づかず、「これが正しい」とASD的に思いこんでしまうと
子どももダメだわ
みたいになります。
叱らない子育ての本質は
「子どもがまっとうに育つよう、必要な事項を教える方法の一つだけど、合わない子には効果がない」
特に学童児だと、叱らないことで聞き分けが良くなるどころか、逆に増長して好き放題になります。
1人や2人の子を家で育てる分には、「叱らない」にこだわらずに色んな方法を試すのが大切という話でした。
ありがとうございました
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本の紹介👇️
大人の接し方が子どもの脳を変えてしまう話。叱らない子育ては「放任=ネグレクト(虐待の一形態)」と背中合わせなので、この本を紹介しておきます。
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