1.子どもがいじめ被害を隠す3つの心理状態、理由
いじめ問題、「被害受けて困ってるなら、言えばいいじゃん」と普通は思います。
でもこの記事を開いたあなたは、そう単純じゃないと知ってますね。
実際に困って人に相談する子もたくさん、小学校低学年だと言わなくても
ある意味分かりやすいです。
今は「悩んだら電話して」って啓発もよくされてるので、相談の敷居は昔よりだいぶ低くなりました。
でも依然としていじめ被害を隠す子もいて、その心理は
●プライドが高く、被害者だと認めたくない
●自分で消化しようと頑張っている
●相談による報復や、事態の悪化を恐れる
「隠す」を助長する要因
- 相談の経験がない
- 相談する人がいない
- 集団心理の影響
- 日常が流れてしまい行動できない
特に最後の「いじめがある・嫌なことをされても我慢する状態が普通」になると、変化には相当なエネルギーがいります。
取り立てて大事件でも起きなきゃ変化のキッカケを掴めず、ズルズルと日常を苦しみながら過ごし続ける訳です。
2.自分で解決・消化しようと、いじめ被害を隠す〜理由①
- 親に心配させたくない
- やられている自分が悪い
- 自分さえ我慢していればいい
- いつか自然に好転するのを期待
嫌な思いをしてるのは自分のせい、身から出た錆と思い、自分のせいだから親にも迷惑をかけずに自分で何とかしようと閉ざしている状態。
この思いを持って日常を重ねていると、この状態が普通になります。
またクラス替えや夏休みなど、外部の状況で、いつか好転することを期待して我慢します。
無事に時間が過ぎて解決した場合、親すらも知らず、やり過ごした経験を積んでその子は大きくなりそう。
次に同じようなことがあれば、多分間違いなく「我慢」を繰り返すでしょう。
ちなみに、高学年でなく幼児のほうが素直、怒られた経験から被害側に回っても隠すことがあります。
幼稚園のお友だちをたたいたり、お返しもダメよとママと約束し、それを守った結果、つねられても、かまれても反抗できず、毎日のようにそのいじめっ子がそれを楽しみに近くにくるようです。
家ではその出来事や傷も隠すようになってしまいました。
ベネッセ教育サイトの相談より
3.報復など相談による悪化を恐れたり、友人への変な気遣いでいじめ被害を隠す〜理由②
年齢が高くなると、いじめている方はほぼ確信犯
- 暴力を振るうけど分からないよう、顔は殴らず腹パンする
- 金持ってこい、あれを盗めと人にやらせて自分は出てこない
- 恥ずかしいことをわざとさせるなど
確信的かつ逆らえない状態だと、口止めされてることもあります。
※私が中学生時代、経験した内容です。
【子どものいじめに親はどうする?】被害を受けた経験者が教えます
でもだいたいは口止めされてるわけじゃなく、言うことでの状況悪化を恐れて被害者自身が言わずに隠す。
いじめている方には友達が多く、いじめ仲間が多い場合も。
被害者側にとって、単純な数の恐怖です。
口止めされてなくても空気を読んで、「チクったな!」なんて感じの報復を恐れる。
または高学年〜高校生まで、特定の仲間だけで過ごす狭い世界の住人は、仲間はずれになることも恐れます。
被害を隠したくなるプラス要素は、
✔「人に助けてもらった経験がないこと」
✔「相談して何とかなった経験がない」
被害を訴えると聞き取りが入りますが、いじめ仲間の証言が多いので先生も
思い込みだよ
言っても何にもしてくれない、むしろ自分が悪いんでしょって言われた。
そして加害者から後ほど「よくも言ったな」と脅される。
一度でもこんな経験をすると子どもは、いじめ被害を隠すようになります。
・なんとかなるかもしれない 期待
➞ ちょっとの期待
・言ったらもっとひどくなる不安
➞ かなりのリスク
2つを比べたら、「言わないでおこう」に傾きますよね。
先生からの性的虐待、親からの虐待まがいの行為など大人からの被害も、「自分さえ我慢してれば、これ以上の悪化はない」の心理で隠すことが多いです。
4.プライドが高いため、自分をいじめ被害者と認めず、結果的に隠す形になる〜理由③
いじめられてることを「恥ずかしいこと」と捉えて、言い出せずに隠す子もいます。
要はプライドが高いのです。
「どうせ自分なんか」的に弱くてネガティブな感じとは真逆で、例えば成績が良い子がターゲットにされてると、
内心は反発し、「あのバカが!」いじめ加害者を見下しているけど、現実的にはいじめ被害者。
👆こんなアンバランスな状態になることもあります。
経験しないと分かりにくいけど、「認めたくない心理」(否認)は、詐欺にあった大人の心理に似ています。
被害者の多くは、これだけ世の中で注意喚起がされているにもかかわらず騙された自分を愚かであると恥ずかしく思い、この被害の事実を隠そうとする傾向が非常に強いといえます。
そして、この詐欺被害を隠すという態度は、社会やコミュニティに対する範囲にとどまらず、自分の家族や配偶者に対しても、向けられることに注意が必要です。
2019 架空請求・詐欺情報サイトより引用
弱い自分を認めたくないし、当然人にも知られたくない心理。
いじめられてるなんて、恥ずかしい!カッコ悪い!と無意識に思っていれば、
とてもひどい扱いを受けているのに
訳じゃないんだ
・・と無意識に思い込む。
仲間意識も関係し、一員だから孤立するよりも今の状態の方がよほどいい、という選択を自分で納得しようとします。
5.追加要因、思春期の「大人への反抗心や仲間意識・集団心理」
子どもは大人になる途中で自分自身を確立するため、親から離れて友達や仲間と交流する時期があります。
ちょうど小学校高学年~高校生くらいまでの時期では、子どもにとって親よりも仲間の方が大切です。
良くないことに誘われて1人ではやらないようなことをしたり、例え嫌なことをされても「大切な仲間」。
そこから抜けるのは生活の基盤を失うことに匹敵し、大人だったら「職場を失う」のに似てるかもしれません。
こんな外部要因からも、子どもはいじめ被害を隠す方向に傾きます。
いじめの集団心理については別の記事👇
6.年齢や性別でも、いじめ被害を隠すなど傾向が違う
小学校高学年のいじめを隠すことについて、
性差や年齢差の研究があります。
なぜ子どもは自分のいじめ被害を隠すのか−規範意識および友人認識との関連(PDF)
「被害の否認」➞"いじめられてる訳じゃない"が一定数あります。
男女差については女子の方が友人関係に敏感と言うのがあります。
性別の要因については、男子より女子のほうが「問題悪化を恐れての隠蔽」「友人関係維持のための隠 蔽」「相談行為自体のデメリットによる隠蔽」の得点 が高かった。
(中略)。いじめ被害を他者に相談する上での不安を減じるための支援が、特に女子に対しては重要であろう。
あくまでも傾向しか捉えられず、「いじめ被害の子ども自身の隠蔽」について感覚的に理屈は分かっても、心理学的な定量的研究は見つけられませんでした。
よい資料があれば是非教えて下さい。
7.いじめ被害を隠す原因を知っての対応策
大人がいじめに対応したくても、被害者に隠されていると対応できません。
だから困ったときに言ってもらえる環境を少しでも準備しておくような、日常から予防的対応が始まっています。
それは子どもが小さい頃からの積み重ね、大きくなってからでも修正はできるけど時間が倍かかります。
(それまでの積み重ねを戻す時間+新しいものをいれる時間)
大人との信頼関係という話で、結ぶ相手は親に限りません。
学童クラブの職員や学校の先生、場合によっては塾の先生や近所の人なんて場合もあります。
予防策はズバリ
言えば何とかしてくれる感覚を持ってもらう
相談はマイナスにならない感覚も
嫌なことは仲間でも拒否して良いを教える(規範意識)
子どもが結構大きくなっても同じで、「もう中学生だから自分で何とかしなさい」的に全ての面で自立を期待していると阻害されます。
大人は子どもに自立を促しつつも「まだ子ども」という認識は忘れないよう。
場合によっては大学生もまだ子どもです。
✔依存させ過ぎるのも問題
✔全て突っぱねるのも問題
バランス感覚が必要になってきます。
普通はわが子が自分で決めたから「自殺もあり」とはなりません。
でも自立を促しすぎて、助けもしないとそうなるかも・・
口で言えなくてもSNSなど文章、顔の見えない相手への電話、アンケートなど、
子どもが隠しても、大人からは手を差し伸べる姿勢を取っていれば、不意に隠すのをやめてくれる可能性が高くなります。
8.いじめを隠す子どもの心理のまとめ
子どもがいじめ被害を隠す理由を3つ挙げました。
- 自分で何とかしようとする
- 相談による状況悪化を恐れる
- プライドが高い
関係する要素として
- 高学年から出てくる仲間意識
- 相談しても解決しないって思い
があることもお話しました。
いじめ被害を隠す認識を持ちつつ、隠さないで切羽詰まってからでも相談してくれるために、
- 相談したら解決する姿勢をとる
- 仲間でも悪いものは悪い規範意識を育てる
いじめは自殺にも繋がりかねない、深刻な問題。
日頃の積み重ねで、親も周りの大人が気づけず、本人だけが悩み続けるような状態を回避してほしいと思います。
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