子どもがアレルギー発症した時の対応
この記事では具体的なエピペンの使い方など、アレルギー症状を発症した子どもが出た場合、
家庭や保育園・学校などの子どもを預かる現場でできる対応をお話していきます。
学童クラブなどの施設なら、普通は全ての職員が研修などで取得しておくべきもの。
ですが学童クラブ業界というヤツは、そういった機会のない方も多いので、
私がいくつも研修に出たり、実際に現場で遭遇して得た知識を盛り込んでいます。
研修受けてる方も確認の意味で読んでみて下さいね。
はじめましてジャムと言います。
もともと私は東京大学の大学院で
理系の研究をしていたのですが、
子ども達との出会いにより、
全く畑違いの保育業界へ転身を決意。
以来20年以上、
主に学童クラブで小学生と関わり、
様々なことを学んできました。
そこで得たものを使い、
保育士はじめ保護者の方々、
子どもに関わる大人の
- 疑問
- 不安
- 分からない
を解決することでアナタが幸せになり、
子どもに良いものが帰ることを願い、
このブログを運営しています。
現在は今までの経験を元に、
主に講演・執筆活動を行っています。
家では2人の子どもを育ててますが、
とっても安定してますよ(笑)
ツイッターやってます(@jamgakudo)
インスタグラム(@jamgakudo)
目次【本記事の内容】
- 1.アレルギー対応準備の前提
- 2.アレルギー症状かどうかの判断
- 2-1.アナフィラキシー
- 2-2.緊急時チェックリスト
- 3.明らかに発症している場合
- 4.薬とエピペン
- 4-1.薬の種類
- 2-2.エピペンの使い方
- 5.マニュアル作成とシミュレーション
- 6.まとめ
1.アレルギー対応の前提〜いつ発症するか分からない
アレルギー反応に気づくため、全職員が知っておくべき事項
アレルギーの発症について、もともと食物や動物などにアレルギーがあると分かっている子は、
日頃からマークしているので、症状が出たら
アレルギー反応かも
分かりやすいかと思います。
しかしアレルギー症状で救急搬送されるような人は、それまでアレルギーと診断されておらず、六割が初発(初めて発症)とのこと。
蜂毒もアレルギーですが、刺されてアナフィラキシーショックとなり搬送されるような場合もあります。
このため、アレルギーの子がいないとされている施設でも
- 一定の知識
- マニュアルの整備
- シミュレーション
などの備えが必要になります。
学童クラブ職員は医療関係でないので、「これ、アレルギーかも?」知識があっても疑えない。
だからこそ必要なのが、知っていて気づく可能性のある人の目。
パート、学生アルバイト含めて全職員が研修を受けるべき理由です。
アレルギーはいつ発症するか分からないし、症状も決まってない
元々アレルギー持ちの子でも、発症の仕方はその日の体調や状態により大きく異なります。
アレルギーが初めて確認されるのは1~2歳が7割とのデータがあります。
ですが私が勤めていた頃、小学生になってから初めて症状が出て、
年度途中に対応が変わる子を、何人も見てきました。
症状も一定しないので、
✔ボツボツが出てから全身に広がる
✔咳がまず出る
などの発症の傾向は子どもによるけど、次は分かりませんよ。
施設では保護者から、「この子のアレルギー反応は、まず咳が出ます」などの情報が来ますが、それに囚われてはいけないということです。
ではどうしたらいいか?
次の2章で示すチェックリストを活用する事になります。
厚生労働省のアレルギー対応ガイドラインがいいのですが、文字ベースで分かりにくい面もあるため、「知識」の面ではこのような本も参考になるかと思います↓
2.学童でのアレルギー症状かどうかの判断
2-1.アナフィラキシーとアナフィラキシーショック
よく聞く言葉ですが、定義についてお話していきます。
アナフィラキシー
アレルギーにより、多臓器に症状が出ている状態
アナフィラキシーショック
血圧が急に下がることで意識レベルの低下やショック状態(脳や臓器に血液が行かない)になっている、命に関わる危険な状態。
「救急車を呼ばれるのがアナフィラキシー」という勘違いがよくありますが、実際には
- 咳をしながら
- ボツボツも出てる
👆など、呼吸器、皮膚、循環器などどれか2つ重なった状態を「アナフィラキシー」と呼びます。
2-2.アレルギー判断に有効な「緊急時チェックリスト」
子どもは体も小さく、体調が急に変わりやすい特徴があります。
そしれアレルギー症状自体も「咳、皮膚の赤み、発疹、ぼうっとする」など、
他の「てんかん、風邪、疲れただけ」でも普通に出る状態で区別しにくいもの。
出た症状がアレルギー反応によるものか、単に体調が悪いのか素人だと判断できないことが多いです。
食べた直後にアレルギーなわけでもなく、3時間前の給食が原因とか、よくある話(私も現場で遭遇しました)
その際に活用できるのが、下のようなチェックリストです。
これは東京都が出しているもので、定期的に改訂されています。
リンクはこちら 東京都保健福祉局 東京都アレルギー情報ナビ
右の青の領域は様子を見る段階で、最初の一時間は5分ごとに様子を見ておく状態です。
ずっと軽い咳しか出ないなら風邪か、一時的なムセ込みか?など5分で区切りをつけてしまう判断となります。
黄色はより悪い状態にならないか注意深く備える段階で、様子を見て記録し、医療機関を受診します。
赤の状態は誰でもわかる緊急の段階、救急搬送やエピペンを打つ、場合によってはAEDを使うような状態です。
基本的には赤の項目のどれかに当てはまるかから順に青の項目の方向へチェックしていくのが使い方。
しかし怪しいなと思う程度なら、青の項目からでもよいとされています。
これらの症状をいちいち覚えておくのは不可能なので、施設職員なら紙にコピーして名札ケースに入れたりで携帯推奨。
チェックリストを取りに行く
わけにはいかず。
3.明らかにアレルギー発症している場合の対応〜薬やエピペンも
基本は動かさない
青のアレルギー症状を疑っている状態なら、本人に動けるか確認して別室に動くなどの対応も取れます。
しかし明らかにつらそう、チェックリストで黄色に該当する場合はその場での対応。
特に施設では、周りにいる他の子を動かす方向で対応します。
野次馬は邪魔なのと、子どもには他の子が苦しんでいる姿、場合によってはそのあと亡くなった場合などは相当のショックを残します。
「子どもに見せるべきでないものを見せた」という、管理責任も別件で問われます。
本人の姿勢は、呼吸が苦しければ座っていてもいいですが、基本的には横にするのがよいです。
アナフィラキシーショックの場合は血圧が下がり、頭や末梢まで血が巡っていない状態になります。
血は重力に従って淀むことになるため、足を上げて頭を下にする姿勢がショック体位です。
吐き気がある時は、ショック体位を取らせるとともに顔を横にします。
一度決めたら体位を変えないようにしましょう。
ショック状態で体位を変えると、急に体内の状態が変わり、数分など短時間で亡くなる場合も事例としてあります。
危険な状態へ移行した場合
更に進んだ赤の項目に、「ぐったりしている」があります。
気づくのが遅れた以外、初めからそういう状態にいることは稀。
怪しいなと思い黄色から観察し、
内服薬を飲ませたりしてると「ぐったりしている」状態になります。
実はこの状態、薬を飲んで落ち着いたと同時に寝てしまうのと区別がつきません。
呼び掛けを続けること、赤を疑ったら薬を飲んだとしても5分以内にエピペンを打つことが必要になります。
エピペンは主成分がアドレナリンで、もともと体内にある物質なので、間違って打ったとしても特に子どもには副作用はほとんどありません。
※高血圧の高齢者などは別ですが、ここでは無関係。
判断をあやまり、正常化バイアスが働き、打つべき時に打てなかったとなる方が危ないです。
4.エピペンの使い方や、学童クラブでの薬の扱い
4-1.アレルギー関連の薬とは
アレルギーに処方される薬には、いくつか分類があります。
塗り薬 貼り薬 | 持続性長時間、 速効性なし |
内服薬 | 30分後 ~ 持続性数時間 |
エピペン | 即時効果 持続性20分 |
効果が緩やかな塗り薬、飲み薬
塗り薬、内服薬については、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンを抑える薬、ステロイド系の時間をかけて出てくる症状を抑える薬が出ます。
貼り薬は塗り薬と同じ、皮膚からゆっくり浸透していくので、持続的に緩やかな効果があります。
内服薬は飲めば効くのですが、ヒスタミン系だと30分程度は効果が出るまでかかるため、
即時性のアレルギー症状の場合はそれよりも早く進行する事もあります
👆薬を飲んでもエピペンが必要になる理由
また効果は数時間しかもたないため、やはり受診が必要です。
即効性があるエピペン
エピペンは体内にあるアドレナリンを増強する薬品。
アドレナリンは血管を細くすることで血圧の上昇させるホルモン、日常的にも作用しています。
これを注射で取り込むことで、アナフィラキシーショックで下がりきってしまった血圧を急に上げる薬理効果。
効果は急ですが短時間しか持たないので、打っておしまいの対応は有りえません。
あくまでも、救急車がくるまでの繋ぎです。
アナフィラキシーショックが進み心肺停止状態になってしまったら、
血流が止まっているので血管を細くするアドレナリンを取り込んでも無意味。
エピペンはもはや効かないので、AEDを使い蘇生法を行うしかありません
4-2.エピペンの使い方
エピペンを処方されると、練習用トレーナーもついてきます。
説明書きもあるため、それに沿ってやれば問題なし。
でも緊急時にその説明書が手元にないと、けっこう慌てますね。
打つのもためらいます。
そうならないために、必要なものをすぐ取り出せるよう説明書やマニュアル含めて、1つにまとめておくのが大切です。
また説明書には載っていないけれど、研修などで話がよくある事についてお話していきますね。
エピペンは医療行為かどうか
エピペンは「医療行為か?」の心配はしなくていいです。
医療行為と認定されるには「反復する意図がある」ことがありますが、エピペンは単発で頻度も多くないため、それには当たりません。
そもそも、緊急時における救命活動は医療行為にはあたりません。
また仮に対応を失敗したり、相手の経過が悪化しても、善意で動いた人は罪には問われないとなっています。
【学童や保育士の医療行為】爪切りに目薬や絆創膏 どこまでがダメ?
エピペンを持つ方向
持つ方向は気を付けないと、自分の方に針が出てきます。
安全装置はある程度固いのですが、慌てている時ほど落ち着きましょう。
エピペンを打つときは相手を固定
エピペンの針は太めなので、針で指すときには相手は暴れます。
針が通常の注射より太いのであまり折れないようですが、
皮膚を横滑りに裂いてしまうことはあり、研修では縫う怪我をさせた事例写真を見せてもらったことがあります。
エピペンもダメになり、その時は打てなかったという話です。
説明書にあるように、
✔膝と足の付け根の二関節固定
✔上から腕をまっすぐ伸ばして体重をかけて固定すること
✔真上から太ももに打つ
👆のが大切です。
経過記録はエピペン以前から行う
短時間しか効かないため、救急車が来たら◯◯時◯◯分に打ったと正確に伝える必要があります。
エピペンを打つ前から記録は必須なので、やはり前章で紹介したチェックリストは常に携帯しておきましょう。
エピペン二本目を打つ可能性あり
普通はすぐに効果がでて20分は持続するはずが効果出ずの場合、2本目があればは打っても大丈夫という話です。
ですがエピペンが言われるようになり、見かけるようになった2005年くらい〜
私が以降見てきた中で、アナフィラキシーショックで救急搬送された子でも1本しか処方されず、
使用期限で入れ替えるケースのみでした。
2本処方され、しかも学童クラブで対応するのは稀かと思います。
5.エピペンやアレルギー対応の、マニュアル作成とシミュレーション
厚生労働省からアレルギー対応のガイドラインが出ていますが、それにしたがって活用している施設は75%と統計があります。
保育所におけるアレルギー対応ガイドライン (2019 年改訂版) 厚 生 …(PDF)
実際に現場でうまく対応できなかった原因を見てみると、
- マニュアルがなかった
- 訓練していなかった
この2つが上位に来ています。
特に保育園では搬送された子どものうち、家ではなく保育園て初めて発症したのが6割、3割は誤食によるもの。
いつ起きるか分からない事故に対して、マニュアルすらないのは危険極まりない。
危機管理が出来てないと言えます。
またマニュアルがあってもシミュレーションをしていないと、本棚に内容不明粉読まない本があるのと同じ。
訓練してみないと分からないことって、たくさんあります。
●チェックリストを携帯しておけば良かった
●エピペンの打ち方や体温計・時計など必要物まとめておけばよかった
●人の動きが分からなかった
施設職員なら名札はつけているので、名札ケースと一緒にコピーしたチェックリストを入れて携帯しておきましょう。
人の動きとしては、役割を振る役目の人(発見者)が指示しますが、
施設責任者が到着した時点で、指示は責任者が出すようにシフトするのがスムーズで、責任の所在も明確になります。
そうすれば、一般職員は落ち着いた行動が期待できますよね。
家などで1人で打つ場合は、記録や経過観察~救急要請・エピペンを打つまで全部やらないと行けません。
抜けがないように、見やすい所に掲示しておくのがよいでしょう。
6.アナフィラキシー・アレルギー対応~エピペンの使い方まとめ
いかがでしょうか。
エピペンに限らず大切なのは知識・準備・シミュレーションの三点です。
知識は言うまでもなく、準備は物の準備やマニュアルの整備まで。
シミュレーションはそれを元に実際に動いてみて、マニュアルの見直しを行っていく作業となります。
職場で研修がなかったとしても、あなたは必要な知識を得て大切な子どもの命を守ってください。
厚生労働省のアレルギー対応ガイドラインがいいのですが、
文字ベースで分かりにくい面もあるため、「知識」の面ではこのような本も参考になるかと思います↓
アレルギー一般の知識も大切です👇
こどものアレルギー基礎BOOK 心配になったら一番最初に読む本/今井孝成 | ||||
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学童クラブ職員の悩みはだいたい
● 職場の人間関係で悩む
● 子ども対応のノウハウを知りたい
● 収入面や将来性に不満や不安あり👆これらを解決するには転職かスキルアップ。
転職に関しては、私も登録してみた信頼できる転職サイトがあるのでこちらから。
【はじめての学童指導員】登録した感想はかなり好印象、相談のみでもOK
スキルアップに関しては、
子ども心理/一般知識/事例/管理ポイント・・
個別にいくらでも学ぶことがあるので、それらを網羅して私ジャムがたくさん記事を書いています。
でも実は個別知識ばかり増やしても、根本的なものが足りないんです。
人間そのものを毎日相手にする学童クラブの仕事には、別次元のスキルや知識が必要、
というのが20年以上の経験と理系的思考による結論です。
・・では何が根本的に足りず、どうすればいいのか?
根本的に足りないもの
➔経営的な視点での基礎的な考え方、真の人間理解などのビジネススキル。
どうすればいいのか?
➔人に物を売るマーケティングを学ぶことで可能。
と思いましたか?(^^)
分野が全く違うように思えますがマーケティングを学ぶとは、人へ物を売ったり価値提供のために
✔ 人間を真面目に理解して読み解き、
✔ 発生した問題へどう対処すればいいか、
✔ お金/時間/情報/人材資源をどう使えばよいか?👆こんなのを学ぶ事になるので、結果的にあらゆる仕事に通じるスキルが身につきます。
これらが保育現場でも必要と言うのは、賢明なあなたには理解していただけるでしょう。
つまりマーケティングを学ぶと、どんな仕事にもつぶしが効く知識やスキルが身につくので、
保育に活用できるのはもちろん、ついでに副収入を得る程度は容易になり、収入面の不安もなくなってきます。
保育業界は価値観が偏りがちで、経験を積めば積むほど一般常識から離れてしまうジレンマがあります。
(経験が浅いと実感がないと思いますが、真面目に保育現場だけで経験を積むと必ずぶち当たる壁です)
特に現場リーダーや管理職になった時、一般的なビジネス知識やスキル有り無しは非常に大きな差となります。
良い主任や施設長は長い経験によって、自覚なしに身に着けているのですが、
あなたはその正体がマーケティングにより得られる知識やスキルということを知ったため、
それを学ぶことで、真面目に取り組めば1年ちょっとで10年以上の時間をショートカットして身につけられるわけです。
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