1.靴隠し・もの隠し・盗むの原因となる3つの子ども心理
まずはどんな気持ちや心理状態で、人のものを隠したり盗ったりするのか?
隠す(物へのイタズラ)と盗むではちょっとだけ違い、原因はそれぞれ3つあります。
1-1.もの隠し・靴隠しをする子どもの心理
A.ストレスの表現
B.本人と持ち主との関係の問題
C.魔が差しただけ
A.物隠しの原因1~ストレスの表現
日常や家庭などでストレス溜まり、発散できる場がなかったり、そのストレスが過剰な場合、子どもは時に「問題行動」といった形で表出します。
早い話が物を隠すのは、
- 暴力や暴言、
- 盗癖、
- おねしょ、
- 赤ちゃん返り
などと同列の行動で、たまたま物を隠す行動になっただけです。
だからその行動だけ対処しても、原因を押さえないと違う困った行動が出くる理屈です。
様々なものがありますね。
何がストレス源なのか?
探ることが必要です。
私の経験上、物を隠すといった行為に走る場合はいろんなストレスのうちでも
- 甘えたい
- 認めて欲しい
- 見て欲しい
これ系の満たされない思いを、直接の暴力や暴言など激しい問題行動に出さず、本人の性格も関係してひっそりとぶつけている感じがします。
そして周りの困っている様子を見て、
という歪んだ自己有能感を感じます。
罪悪感の程度は様々ですが、
罪悪感
VS
手軽さ + 得られるメリット
ストレスを抱えた状態だと、両者を比べて誘惑が勝つ感じです。
B.物隠しの原因2~本人とその子との関係の問題
相手の子との関係が悪いけれど、面と向かってやりあえない。
面と向かってもやり合うけど、それだけでは気がすまない。
こんな状態が「もの隠し」の原因になり、うっぷんを晴らすための行動と言えます。
単に気に入らない相手への意地悪、相手によってはイジメに近くなるかもしれません。
もの隠しの中でも特に靴隠しは、靴を隠すことで相手が動けなくなるので、
「邪魔な相手を、動けなくしたい」無意識の心理もある、と何処かで聞きました。(ソースは分かりません。。)
そして相手が困っている様子を見てカタルシス(気が晴れる感じ)を得るので、メリットの誘惑に負けていることに変わりありません。
C.物隠しの原因3~魔が差す
単なる思い付きや、
と靴隠しについて全体に周知した後、知った自分も面白半分についやってみるという、同調行動による愉快犯。
また低学年くらいまでの子どもは気分と衝動の生き物なので、興味本意でもやってみる。
このときに自分だとバレなかった場合は、味をしめることもあります。
同調について👇
【子どもの同調圧力と集団心理】みんなでする悪い行動への対応策3つ
1-2.物を盗む心理は?
「隠す」と「盗む」は少し毛色が違ってきます。
盗むの方が隠すより罪悪感を感じますが、それにも増して誘惑が勝ってしまう程ストレスが高い状態と言えます。
盗むの原因心理👇️
A.ストレスの表現
B.物欲
C.相手をよく思っていない
瞬間的な物欲が、A・Cにより増幅されるイメージです。
A.盗むの原因1~ストレスの表現
物隠しの場合と同じ理由ですね。
隠す場合はそのもの自体は欲しいわけではないのですが、盗む場合は物欲も絡んできます。
対象物が靴とかだと、取ってもどうしようもないですよね。
だけど「消しゴム」とか小さいもので、持っていってしまえば分からない。
しかも自分でも使えそうな物の場合は、「隠す」でなく「盗む」に変わることがあります。
対象物とストレスの度合いによって、そして気分や罪悪感の程度によって「盗む」←→「隠す」をいったり来たりします。
人のものについてはこんな感じ。
だけど自分の家のお金を盗むような場合、親にかまって欲しい、分かって欲しいって思いが特に強いようです。
B.盗むの原因2~単なる物欲
欲しくなってしまい、つい魔が差すという場合も含みます。
お金が見える場所、手の届く所に置いてあったら大人でも変な気分になりますね。
「子どもが簡単に開けたりできる棚のようなところに保管してて盗られた」ってのも、子どもの施設ではたまに聞きます。
大人側のガードが甘いってわけ。
子ども同士の環境でも同じことで、みんなが魅力的に見えるキャラクター消しゴムを放置してたら、
チョイって持ってポケットに入れたら分からない。
一時間くらい違うところで
遊んでた。
魅力的に見えるのを放置してたらそうなる。
C.盗むの原因3~相手をよく思っていない
隠すと同じ理由ですが、盗んでしまうような場合には相手に対して「うらやましい」などの妬み感情もあります。
相手が困っている様子を見てカタルシスを得るのは同じです。
そして自分にない、相手に対してうらやましいと思っている部分を、相手の物を手に入れることで埋めようとします。
目の前で取って
って言ってるのに持ってっちゃうの。私が関わったケースでありました。
盗みってよりは取り上げですよね。
相当ストレスをためてる子どもでした。
こんな感じだけど、「盗む」まで行っちゃう場合は3つの原因それぞれをちょっとずつでも要素として含むことが多いですね。
原因へ対応と言うより、その子へ総合的にケース対応する感じになります。
この記事は「隠す」にフォーカスしているので、「盗む」についてはこちらをどうぞ。
2.靴隠し・もの隠しの隠す場所から分かる本人の状態
もの隠しの場合、本人の心理によって隠す場所がちょっと違ってきます。
日常的なストレスの反動の場合
なぜ隠すのか子ども自身に理由は分からない無意識状態なのに罪悪感も意識されている、
心と行動が不一致なので複雑なことはできず、探せばすぐ分かるような場所に隠すのが多いです。
満たされない思いを満たす目的の場合、自分で隠して自分で見つけて注目されることもあります。
愉快犯の場合も、そんなに困らせようという意図はないので簡単な場所が多いです。
特定の相手への感情がある場合
相手を困らせようという意図を始めから持っているので、相当探さないと分からない場所に隠す傾向です。
ケンカの直後など怒っている場合は短絡的な行動になりやすく、
隠すというよりは憂さ晴らしのために、その辺に放り投げるだけもあるし、
衝動的にゴミ箱に捨ててしまうことも、少なくありません。
絶対ではありませんが傾向なので、
✔簡単に見つかればストレス反動
✔難しければ個人的なしがらみ
と逆に隠した子の心理を推察できます。
だいたいは、比較的すぐに見つかる場所に隠してある。
個人的な憂さ晴らしだと、捨てたり、見つかりにくい。
3.盗難/盗みや靴隠しの予防と必要なルール
3-1.予防①整理整頓・管理
家庭でも乱雑になっていて、物がどこにあるのか分からないことはありますね。
子どもの施設でも結構あり、特に学童クラブは「整理されてない意味での汚い施設」が多いです。
保護者対応や育成を頑張ってるのに、見た目が乱雑で汚いとかザラ。
そんなところでは
- 本当に誰かが隠したのか
- 本人が適当な所に置いたのか
- なくなったのか
それすらも分からないので、「これはここ」としっかり整理されていることは、もの隠し予防の第一歩。
子どものロッカーや荷物も、
- 出しっぱなしにしない
- 落ちたら拾う
- 必要ないのは持ってこない
たくさんの子どもがいる場所では必要なルールで、子どもに言うと同時に大人も守らなくちゃダメ。
3-2.日常的な道徳的な教育を全体へ向けて行う
人の心を推し量るような取り組み、何がよくて何がいけないのか道徳的な教育を、集団全体へ向けて日常的に行っていくことも予防になります。
小学校低学年くらいだと理解力にも大きな差があり、道徳心獲得も発達的には途上ですが、基本的には素直だからです。
大事なことは
「全体の雰囲気、風土を作る」こと。
人の心に気づいてもらう教育方法は「誘導的しつけ」と呼ばれています。
他人への思いやりの心を育てることは、物を隠したり盗んでしまうことに対して自制心を育てる上で有効です。
3-3.靴隠しが起きる前の普段の関わり
物隠しでやった子がわかれば、不満やストレスを抱えていたことが分かりますね。
だけどその前兆は、普段関わっていれば普通に感じると思います。
物隠しや靴隠しは場合によって「やったのが誰か分からない」という匿名性に隠れてしまうので、直接の支援ができない場合もあります。
しかし本人が抱えているものに日常的に気づいて、必要な働きかけをしていくのも大切なことです。
犯人が特定しにくいと言っても、普段からの関わりと行動から状況的に疑わしい子に当たりも付けられます。