行事企画書・提案書・報告書の書き方と重要性~学童/保育など子ども施設
子どもの施設では行事やイベントがたくさんあります。
しかし学童クラブや園によっては引き継ぎや記録がろくにない、思い付きでやるようなイベントばかりのところがあります。
そうかと思えば毎年レベルアップしていくような行事をしているところもあります。
その差は何か、気になりませんか?
新人で施設に来て、
- 「去年の様子はどうだったか知りたいけど分からない」
- 「経験者もろくに教えてくれない」
なんて思わせる施設がよい形ではないことは分かりますか?
はっきり言えばその状態は家族経営で従業員も家族のみといった例外を除いて、職場として成り立っていません。
何年も運営していても、毎年ゼロから立ち上げているのと同じです。
働いている人が変わらなければいいのですが、そういうわけにもいきませんし、人の記憶のみではよくありません。
試行錯誤は基本ですが、正しい手順でやらなければ施設としてレベル1のままです。
ですが正しい手順を嵌めればすぐにでも改善できるものです。
大切なのは
- 企画力
- 実施後の振り返り
- 使える形で記録しをしていること
この記事では企画の立て方や記録の取り方について詳しく書いていきます。

働き方、仕事のしかたについての記事たちはこちら👇️
1.イベントや行事の種類
立ち上げならまだしも、一年も過ぎればいろんな記録がたまってきます。
イベントにはこの季節にはこれというある程度決まった行事と、思い付いたアイディアを形にしたいアグレッシブ系がありますね。
1-1.季節の恒例行事
- お花見
- 春の遠足
- 七夕
- 川遊びやキャンプ
- スイカ割り
- お月見
- ハロウィン
- クリスマス
- もちつき
- スキー
- 節分
- お別れ遠足
地域や施設によってやれるやれないはありますが、季節によってだいたい決まっているのはこんなところでしょうか。

1-2.挑戦系のイベント
- 1日宿泊
- スポーツ大会
- 運動会
- 親子交流
- 食育活動
- 映画を作ろう
- 野外炊飯
- 音楽会
アイディアと仕事次第ですね。

2.企画以前の問題と記録~本当にやれるの?
行事を思い付いたり、その行事をやる時期が迫ってきたとします。
時期が来たから自動的に「やる」でいいでしょうか?👇️
見落としがちですが恒例行事ほど、そのイベントは本当にやる意味があるのと、本当にやれるかを考えましょう。まあ新規イベントも同じですが。
楽しそうでやりたいからやるのはモチベーションが上がっていいのですが、単発の日常活動とは違い確実に仕事が増えます。
仕事の範囲内でやれるかやれないか。
日常で手一杯なのにイベント企画はできません。
持ち帰り仕事やサービス残業が普通な職場は「おかしな職場」か、「働き方の考えが間違っているか」どちらかなので改善したほうがよいでしょう。
いろいろ考えて、企画準備にとりかかってから
「やっぱりやれないわ」
「サービス残業しないと日常仕事が追い付かない」
となれば時間のロスであるのと、仕事に対する考え方が正しいとは思えません。。

企画しようと思って調べたけど、調べないと分からなかった理由が判明したとか、恒例行事だけどこういった理由で辞めた、などがあるなら記録として残すのがいいですね。
転んでもただでは起きない。
例えば
DVDを借りてきて地域の人をたくさん呼んで上映会をやろうとしたけど、会場費がかかるから料金を取ることにした。だけどそれだと著作権法にひっかかるようだ
キャンプ企画しようとして場所探ししたけど、三月からじゃないと予約が取れないようだ。
など
アイディア段階~立案へ至るなかで知ったことは個人の経験にはなります。
しかし施設の経験として蓄積するなら記録や、軽微なことならミーティングで他の職員へ話すなどが必要になりますね。
その他で企画以前の問題としていくつか挙げておきますね。
- また年間スケジュールとの兼ね合い
- 外との交渉はアポ取ってからやる
- 持ち帰り仕事がない前提(業務内容と負担)
- 季節によりできるか?

持論ですが、学童クラブ運営は暇なくらいでちょうどいいのです。
子どもと話したり遊んだりと日々関わるのが基本なので、ルーティンワークは連携含めて時間通りに終わるようシステム化されている状態を目指したいところです。
毎日持ち帰り仕事やサービス残業ではアイディアも出ないし、やりたいこともできないですね。
特に仕事では
- "やらなくてもいいことはやらない"
- "やらなくてもいいことを、効率よくやるほど無駄なことはない"

毎年遠足に行ってるから今年も何となく行く、ならやめてもいいでしょう。
昔からやっていたけれど、時代に合わず役割を終えた行事は少なくないと思います。
父母会主体でやっている行事も、今の時代は保護者も忙しく価値観の多様性、他の地域ではこんなことやってないなどの情報がどんどん入ってくるので時代に合わなくなっている感があります。
やれば子どもはだいたい楽しみますが、職員が無理してまでやる必要がある行事はほとんどありません。
ねらいや目的が明確でも、それが他のところで達成されるなら行事にこだわる必要もありません。
3.学童でやるイベントや行事の目的・職場のコンセンサス
企画をするには、これやったら子どもたちが楽しそうだななど思いながら考えると思います。
楽しいことは子どもの日常の安定や刺激にもなるため、保育・育成の大筋から外れることはあまりないと思います。
それでも考えておくこととしては
目的、ねらいは単に面白いことをすればいい家ではなく仕事、さらに言えば専門職なのでいつも考えておく必要があります。
ねらいは施設の指針や保育指針、放課後児童クラブ育成指針などの上位のものに沿っているか?伝統的な季節行事ではその本来の意味に沿っているのかも目安となります(必須ではないと思いますが)
とにかく適当な個人的な思いから勝手に設定するのはダメです。
思いを持っていて、上位の方針に沿うように考えればok

また実施により近いレベルだと職員間のコンセンサスとるなどが必要ですね。
いいことをやってるんだから、他の人は従うべきだ!という考え方には誰もついてこないか、面従腹背です。
準備を始めてから、「なんでこの人手伝ってくれないの?」となるのは職員間で協力体制が整っていないからです。(普段から勝手なことばかりするなど、個人的な資質の問題もたまにあります)
同じ方向を向いていないと、"ただでさえ忙しいのに、余計なことをして"など思う人もいるかもしれません。

なにも言わないで企画書を急に出すと言われた方も面食らうでしょう。
日常の会話のなかで「○○したいねえ」「今度こういうことやりたいけどどうかなあ」なんて話しておいて、少し経ってから企画書を出して、「この前の話からこんなの作ってみたけどちょっと見て?」などの演技力。
それから「今度の話し合いで出そうと思います」などの仕事としての手順をほんの少し広げて踏むこと。
残念ながら保育園や学童クラブなどでは、職場の人間関係によるところが大きいですね。
事務的な手順だけをを踏んで、間違いではないけれど同僚からは受け入れられないとなれば、自分がやりにくくなるでしょう。
「一人でやって」とならないよう、こんな感じの立ち回りや根回しが時には必要かもしれません。
そして正式な場で提案をして決定事項とすること、決まったことややること、手順やスケジュールなどを紙に書いて配布する、掲示しておくなど明示することが職場のコンセンサスをとるために必要な要素となります。

4.保育園・学童クラブイベントの企画書作り
4-1.企画書の意味と書く準備
企画書の意味は
- 書きながら考える
- 人(管理者など)に見てもらって穴を確認する
- 記録を残すことでの引き継ぎ(報告書とセット)
企業のプレゼン用のパワーポイントで作るような提案をして広く知ってもらって通すことが目的のデザインされた企画書とは違い、学童クラブや保育園での企画書は、書いている時点で通る(実施される)のが前提です。
2章と3章の内容を踏めば、通る企画書だけ実施手順などを確認するために書けばいいことになります。
だから細かい点の修正は入るのは別としても、デザイン要素は時間の無駄なのでいりません。
(アイディアを残す意味の最悪通らなくてもいいものや、上司を説得するために自分で作る提案書は別です)
年一の行事は特に記録の意味が強くなります。
分量としてはA4の紙で1枚か2枚くらいが適当です。
何度かやっているなら前年度の記録を読んで、検討事項などを頭にいれておきます。
出来る限りパソコンで作るのが直しの手間を省くためによいでしょう。
デザイン性は
いりません必要項目を
シンプルに
4-2.企画書に書く内容
項目を挙げておきます
- 目的・ねらい
- 企画経緯
- 日程と時間
- 場所、雨天時は
- 対象と人数
- 必要人員
- 予算
- 物品
- 当日のタイムテーブル
- 準備するものや作業
- 準備日程
- 申し込みと例外規定
- ねらい達成のための留意点

準備日程
3章で書いたような【仕事の時間内で終わるかどうか】に大きく関わってくる事項です。
下見や、打ち合わせ日程、作るものの量や見込み、担当者(仕事の割り振り)なども含めて考えていきましょう。
外注イベントは打ち合わせ必須なので、アポイントをとることも必要ですね。
参加者を集めるときは、知らせる期間と申し込み期間、返金可能期間などもスケジュール化しておきます。
事務的な作業
公園占有許可や、保健所へ届け出など、何が必要か調べておきましょう。
申し込みと例外規定
例えば遠足を企画したとして、行かない子はどうする、キャンセルがあった場合の返金などについて決めておきます。
料金をとる企画はキャンセル料などお金でもめるので、しっかり決めておきましょう。
書いてみて分かった確認、検討事項
企画書を書いている段階で、一人では決められない事項が普通は出てきます。
その場ですぐ決められればいいですが、決まらない場合はここに記載して後程解決していくでもよいでしょう。
想定事項
動物園に行くなら「動物アレルギーの子はどうするか?」
外で何か買ったものを食べるなら「食物アレルギー対応はどうするか?」
自転車でのお出かけ企画なら「パンクしたときにどうするか?」
など企画に応じての想定されることを考えて書いておきます。
当日に想定外のことで振り回されるのは、このあたりが足りないときに起きます。
留意したところと理由
企画で一番大切なのは目的とねらいです。
これを達成のためになにをするのか?についてよく考えておきましょう。
当日や準備段階での職員の動きや協力体制に大きく関わってくるためです。
遠足に行くなら「交通機関でのルールを教える」をねらいに含めておいて職員間でコンセンサスをとっておけば、
この職員は電車内で子どもがうろうろしたり騒いでいても注意しない、なんで?などの問題は減っていくだろうと思いませんか?
一つでも企画書を作ったなら、ある程度のテンプレートにしておいていろんな企画へ流用するのが時間のせつやくになります。

5.学童クラブ行事/企画書の例~遠足編
例として学童クラブで電車に乗って比較的近場の公園に行く場合の企画書の項目を書いてみますね
これらをA4一枚か2枚でまとめて書くわけです。👇️
企画名【秋の遠足~○○科学館に行こう!】
2020.7.1
ねらい
・日常とは違った環境で過ごす
・交通機関や公共場所でのルールを守る
・新人職員に引率のしかたを教える
・科学に対しての興味を育てる
経緯
秋なので公園で当初遠足の行き先を考えていたが、
- 時期的に雨天が多いこと
- 公園は普段から行けるが科学館などは家庭によっては行けない子もいること
- 普段の活動では運動が多く文化的活動が足りないこと
- 狭い学童クラブ内では分からない公共ルールを伝える機会を作りたい
- 育成指針には文化的な経験についての記載があるが、科学に興味をもってもらえる活動が日常では乏しい
これらの理由から公園ではなく雨天でも行き先が変更せず、館内でも一般客がいる環境の中で公共ルールを学べ、科学に対しての興味を育てられる科学館とした。

場所
△△科学技術館
※経路
学童クラブ~徒歩で□線○△駅~20分~徒歩10分~現地
徒歩経路は下見で決定
(雨天時も同じ場所)
対象と人数
学童クラブ在籍児30人
当日職員は~さん(リーダー)、ーさん(サブ)、~さん、ボランティアの~さん
日程
2020年10月1日(日)
9:00~17:00
スケジュール
6月 | 職員ミーティングで概要決定 |
7.1 | 企画書提出 |
7.12 | 下見、科学館で手続き |
8月 | チラシ、しおり作成 |
9月 | 一週目 チラシ配布 |
9.25 | 申し込み締め切り、科学館へ連絡 |
9.26 | 最終打ち合わせ |
9.30 | 前日準備 |
10.1 | 当日~振り返り・会計 |
10.7 | 報告書提出 |
- (当日プログラムは詳細別紙)
- 8:30出勤
- 9:00子どもに説明、出(徒歩~○○駅~現地)
- 11:00現地(昼食、おやつ)
- 15:30現地出発(時間は行きでかかった時間から計算して前後する)
- 17:00学童クラブ到着

予算
大人の交通費250円
子どもの交通費500円
入館料大人1000円 子ども200円
物品
チラシ、名簿、携帯電話、現金、救急セット
子ども持ち物
弁当、水筒、タオル、着替え、雨具、(リュックで)
費用・参加費
450円(子ども交通費+入館料)
大人の費用は行事費で補填1000円×4名~4000円
留意点
早く帰る子は個別相談
行かないで学童クラブに残る子はいれば個別相談
検討事項・確認事項
科学館での昼食場所
経路
おやつは持参か現地調達か
子ども引率のコツの記事👇️
6.イベント・行事の報告書の書き方
企画書は練って考えて作るものですが、報告書は記録としての意味合いが強いため、行事か終わったらすぐ(一週間以内)作るのが基本です。
振り返りの時間が取れないなどの場合でも、どんなに遅くても一ヶ月以内には書きましょう。

報告書に書く項目
- 参加人数
- かかった経費(会計精算書を別でも可)
- 実際のタイムテーブル
- ねらい・目的が達成されたか
- 当日のようす
- あれば想定外の事項
- 翌年への引き継ぎ
次年度この記録を見返した時にどこを見るでしょうか?
だいたいの予算、だいたいの人数
タイムテーブルなどは基本的なところですね。

それよりも特に見るところは、
想定外の事項、特に気を付ける点など、計画段階ではわからなくてやってみて初めて分かったような情報です。
担当した人が来年も企画するとも限りませんし、残留していても一年前の記憶などあてになりません。
来年同じ行事をやる見込みがある場合は、一年前の記録は読むけれど2年も3年も遡って調べる人はあまりいないと思います。
そのため一昨年までの留意点などは引き継ぎとして書いておくのがよいでしょう。
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