子どもへの見守りと介入の線引き~学童クラブなどでの判断
子どもの仕事に就いている方も親子を持つ親でも、子どもに対してはどの程度まで見守りをして、どの程度から口出しなどの介入をしていったらいいのか初めのうちは分からないですね。
大人側の個性や考えもあり、すぐ口を出してしまいがち、頼まれてもいないのに手伝いをしてしまう、片付けをしてしまうなどもあります。
しかし子どもの成長や、日々の安定を考えた時、過干渉はお互いによくない結果を生みます。
この記事を読むと分かること
- 見守りとはなにか?
- 介入のしかたやタイミング
- 介入したら見届けることについて

目次【本記事の内容】
- 1.見守りとは
- 2.注意深く見守る時
- 3.ここが介入のタイミング
- 4.介入の仕方
- 4-1.介入のレベルや関わり
- 4-2.年齢によって違う介入の仕方
- 4-3.幼児
- 5.見守りも介入も結果を見届ける
1.見守りとは見てるだけではないこと
見守りとよく聞きますし言うこともあると思いますが、「見守り」とは保育など子ども現場で使う場合、「ほぼ放置してたまに関わる」とか「入退室を管理して居場所を把握する」ようなことではありません。
総務省の児童見守りシステム←これは「管理する」だけの意味で使われる「見守り」の例となります。
ただニコニコして見ているのは、"見ているだけ"であって見守りではありません。
通学路の見守りなどは、交通整理をしたりあいさつや声をかけたり、危ないことをしていたら注意したり、そこに見ている大人がいるというのをアピールしています。
大人がそこにいるというだけでも犯罪などの抑止力にはなりますが、子どもの成長にとっては意味はあるのかと言われれば、ないでしょうね。
見守りとは、子どもの育成支援の視点をもって、タイミングよく関わる前提でタイミングを図っている状態が「見守っている」ということになります。

必要な関わりをもち、必要のないところではなにもないか様子を見て、必要(子ども側からの需要だけでなく)になったらアクションを起こす準備をしておくことです。
いるだけで声もかけない、いけないことをしても「どうしたものか」と結局なにもせず放っておくのは、いないのと同じです。
介入しようかどうか迷っているのなら、"大丈夫?"の声かけくらいいつでもできるように心づもりをしておきましょう。
しかし子ども同士で解決しようと頑張っているときや、何かに集中している時などにはその声かけすらも邪魔になってしまうこともあるので、その辺りは経験で感じるしかありません。
記事の題名にありますが、干渉しすぎは子どもの成長を考えた場合は、かえって子どもの考える力や交渉力を高める機会を奪ってしまうわけですから、逆効果となります。
2.介入タイミングを図り注意深く見守る場合
見守りにもレベルがあります。
なにもなさそうでも、低年齢ほど状況が急に変わるのが子どもなので油断はできません。
しかし大丈夫な度合いが高い状態では、ある程度緩めに見ていても大丈夫です。
それとは対照的に、【少しも目を離せない】か、【目を離すにしても、会話の内容を背中越しにでも聞いていて注意しないといけないような怪しい場合】は区別する必要があります。
重点的に注意して見守らないといけない場合をいくつか挙げてみると
①問題の多い子がメンバーにいる場合 |
②直近でトラブルがあったグループ |
③やられやすい子が中にいる場合 |
④言い合っているとか、不穏な雰囲気 |
⑤騒ぎすぎやじゃれ合い |
⑥乳幼児 |
順に見ていきましょう。
①問題の多い子がメンバーにいる場合
- 大人の目を盗んだり隠れてなにかをする傾向のある子
- 手出ししやすい
- 弱い子を言いくるめる
- 勝手に物事を進めて反感を買いやすい
特徴を挙げればきりがありませんが、こういった傾向のある子がそのグループにいる場合は、注意が必要です。
何かあったあとに慌てて介入するのは、"普段の様子から予測できる程度のことに対策をしていない"と言われても反論できません。

②直近でトラブルがあったグループ
直前のトラブルは解決したにしても、理論では分かっていても感情的にイライラしていたり、落ち込んでいて少しの事にも自虐的にとらえてしまうような状態も多いためです。
③やられやすい子が中にいる場合
子ども同士の関係で、この子には何を言ってもいいなどの力関係には、は三年生にもなると特に敏感になってきます。
やられやすい子と、口の悪い子が物理的に近くにいる場合は注意が必要です。
やられる側のとらえかた次第では、本人が「嫌なことをされた」と家で話をし、保護者としては我が子がいじめられたと思うことになります。

④言い合っているとか、不穏な雰囲気
主張をしあっている段階ではまだ介入のタイミングではありませんが、普段温厚な子でも怒るときは怒ります。
また何人かいれば仲介役に回ってくる子も出てきますが、まとまらなくて一人が悪者にされていても、「それで解決した」とするなど、子どもの解決の仕方は本人たちがそれで納得したと言ってもダメな解決もよくあることです。
誰かが泣き出すまでいかなくても、そういった事態に陥っていることは多いので、会話の内容をよく聞き、個々の表情をよく見るなどの配慮が必要になってきます。

⑤騒ぎすぎやじゃれ合い
子どもの喧嘩の多くはじゃれ合いから出てくるといえます。
年齢がある程度行った高学年くらいでも、じゃれ合いの最中に手が顔に当たって、やられたと思ってやりかえすなどして喧嘩に発展するのは日常茶飯事です。
それでなくても寝転がってじゃれ合ってその辺にぶつけたり、立っている状態でも転んで怪我をするなどなよ危険がいくらでも潜在的にあるため、子どもはじゃれ合いが好きなので許したい反面、管理面から許してあげられない事情もあります。
また男の子と女の子が混じっている場合には、管理面からも教育面からも許容できません。
騒ぎすぎも同様で、子どもの行動はエスカレートしてしまい、時に本人たちのコントロールできない状態までいってしまうこともあるため注意すべき状態です。

⑥乳幼児
乳幼児については年齢的に保護の対象なので、施設では基本的には目は離せません。
家庭でも出先でも、特に他の人や子どもがいる状態で目を離す人はあまりいないと思います。
目を離す人に限ってトラブルになったときに、相手方の子や保護者に怒る傾向があるので困ったものです。

3.ここが介入のタイミング
年齢によっても介入タイミングが違いますが、基本的なところを列挙してみます。
- 泣き出して話にならない子がいる
- 不適切な言葉を言う子がいる
- 不要なちょっかいをやめない子がいる
- 泣いているのに回りが無視している
- 暴力が出ていたり、危険行為がある
- 一対多数の構図になっている
- 多数対多数の構図になって対立している
- 知らない子や人への良くない行為や迷惑
一番目の泣き出して話にならない子がいる以外では、仲介に回っている子がいたとしても介入が必要です。
学童クラブなどの施設では特に必要で、介入しないと管理責任を問われる場面です。
不適切な言葉に対してなど、様子見の必要がなくすぐ介入するものについて一番いいタイミングは、一発目にすぐに声かけをすることです。
しばらく時間がたってしまっている場合でも、"さっきから見てて、やめるかなと思ってたけどやめないから注意するよ"など、実際は気づくのが遅れていてもこれは方便です。
こう言っておくことで、しばらく泳がされていたんだとか、黙認されていた訳ではなかったんだなど子どもたちが感じて自制する方向になりやすくなります。
しかしボランティア頼みの放課後子ども教室などでは、このような事態になっても場合によっては放置されることもありますし、気づいていたとしても適切な介入は期待できないかもしれません。
子ども教室の見守り募集の要綱をネット検索で見てみると、道具の貸し出しや怪我の対応程度しか書かれていない、有償ボランティアとして出ているところがとてもたくさんあります。
余談ですが、子どもとの関係によってはたまにうその泣き真似をして注目されようとすることがあります。まあ悪いようにからかわれているのでなければ付き合ってあげましょう。

4.介入の仕方
4-1.介入のレベルや関わり
見ている(子どもからしたら見られている)ことをアピールして自制を期待する程度から、がっつり介入して個々に話を聞きトラブルを大人がきっちり解決するレベルまでです。
前提として、対等な喧嘩は悪いことではありません。子どもはその繰り返しで人間関係の機微を学んでいくため、よい悪いの大人の判断をいきなり押し付けないように気を付けましょう。
普段の関わりも大切で、声かけする時は注意する時だけなんて関係の上で見守りをしていると、子どもからしたら見張られていると感じるでしょう。
実際に口のたつ子に"いつも○○さんって俺らのこと見張ってるよね"と言われたとエピソードを話してくれた指導員の方がいました。
このくらいなら話してもわかる、元々わかっているだろうなどある程度の期待をもって話をしたり見守りか介入か決めることもあると思います。
道徳や他者理解に関しては、分かっているだろうと思っていると的はずれになることが多いため、感覚的に分かってないだろうと思う方面にシフトするくらいでちょうどよいです。

4-2.年齢によって違う介入の仕方
年齢によっても介入の仕方は違ってきます。
幼児は次の節に書きますが、小学生やそれより上の場合はものの感じ方や考え方などあらゆる面で成長しています。
保育園では"仲良くしようね"とか"貸して→いいよ"とか"入れて→いいよ"とかみんな一緒に仲良くしようという方向に進めることが多いと思います。
しかし小学生も2~3年生ともなると、いつも喧嘩になるような子や相性の悪い子が入れてと言ってきても入れないのが普通です。
大人のように、付き合いとか建前とかで仕方なく入れるなどはありません。
もっとも、気を遣う子のなかにはたまにありますが、そういった場合はだんだんストレスを抱えてきます。
学童期の子どもは、いろんな人と係わりをもって世界を広げていくことと、遊びの中で信頼できる仲間を作っていくことが同時に進行してきます。
年齢が上がるとともに、特定の仲間を作ることがより重要なものになってくるため、保育園のようにみんな一緒にという指導は的はずれとなります。
- 子どものケンカの対応1-基本的な考え方
- 子どものケンカの対応2-状況別
- 子どものケンカの対応3-前兆から収めかた
- 子どものケンカの対応4-解決や落としどころ
- 子どものケンカの対応4保護者への対応と親としての対応
4-3.乳幼児

幼児は遊びが生活の大半です。
お気に入りのおもちゃを見つけて時には一人で創造力を働かせて遊び、時にはおもちゃを仲介として人と関わってみたりします。
幼児でよくあるのがおもちゃの取り合いですが、貸して→いいよを大人が指示して強制のようにやってしまうのはよくありません。
基本的には初めに遊んでいた子に決定権があります。子どもが寛大に育つには、自発的に貸してあげたり譲ってあげる経験が大切です。
自発的にというのがポイントで、大人がじゃあこの時間までねなんて決めてしまうのはその場は収まりますが、強制的におもちゃをとられてしまった子どもにはいい影響はなく、次はとられまいと、逆に固執してしまうかもしれません。
順番は決めておいて、いつまでも待たされている子が文句を言って、じゃあもうちょっとだけ待っててなどで貸してあげるのも自発的の範囲です。
ただしそれは同じ保育園で何回も顔を合わせるような関係のなかです。
出先でその場で出会った子とのやりとりでは、公共性の性格から、じゃあそろそろ次の人の番ねといったような、ある程度のコントロールする介入は必要となります。

5.見守りも介入も、結果を見届ける
子どもの行動ややりとりから、見守りにするか介入するか迷うような場面や、実際に介入した場合は最後まで見届けましょう。
特に"2.注意深く見守るとき"に挙げた行為があった場合は、口だけだしてその場を離れてしまうというのはいけません。
何か他に用ができたとしても、役割を放棄したことになります。
電話が鳴ったとしても、目の前の怪しい雰囲気を放置してまで出ないといけないのか判断が必要なところです。
学童クラブは事務仕事なども大切ですが、最優先は目の前の子どもです。電話や来客、保護者の迎えなどは次点です。
解決するまでその場を離れない。他の用事は他の人に頼むが原則となります。

見守りで介入はとりあえずしないで経過を見てみようと決めた場面については、最後まで介入しなかったにしても、どうなったのかは把握しておきましょう。
解決したように見えても子ども同士の、本当の解決ではなく場が収まっただけの場合もよくあります。
こちらも、その場を離れずに近くで別の作業や他の子の相手をしているように見せておいて、耳だけはそのやり取りを聞いているといったのが理想形です。

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