1.子どもを褒めたら調子に乗っちゃう理由は、能力を褒めたから
子どもを褒めたら調子に乗って天狗になっちゃう、悪くすると他の子を見下す場合のほとんどが👇️
・結果だけを褒めた
・能力、体格等生得的な部分を褒めた
・人と比べて褒めた
結果や能力を褒めるとは
もともと勉強できる子に「100点取れてすごいね」とか、
大して頑張りもせず一番になった時「勝てたね」「力強いね、さすがお兄さん」
👆みたいな感じ。
なにも努力してなくて、元々持ってる能力だけで達成したものを褒められても嬉しいと言えば嬉しいけど、それは"俺、すごい"って感じの自信になります。
褒める自体は悪いことじゃないけれど、"できない人を相対的にダメなやつ"みたいに思う子もいる点が落とし穴。
例えば普段同じ年齢の子の中では能力が劣っていてバカにされてる子。
周りがみんな1学年下で自分が一人だけ上の立場の集団に入ったら、「俺は学年が上だから逆らうな」って言う子がけっこういます。
鳥なき里の蝙蝠、という諺がそっくりそのまま当てはまる。
"自分だけ学年が上"なのは、別に何かを頑張った結果じゃないのに、「さすがお兄さん」的な褒め方を下手にすると、同年代で虐げられてる反動から「上級生に逆らうな!」へ変換されることもあります。
人をバカにし出すと
話が違ってきます。
褒めて増長したのは、その子の生育歴や家庭環境が関係して褒める内容がよくなかったからです。
付け上がりやすいとか、コンプレックスを持っている場合に褒める内容が"結果や能力に片寄った時"、意図しない増長が出てきやすい。
能力系の自信をもつのも大事だけど、自己肯定感が低い子が、生き抜くため、自分を保つために自分の能力を頼みにして、そこだけを大人にすら認められると、
裏返って人をバカにする・増長してわがままになる可能性が高くなります。
【子どもの自己肯定感☆】自分を大切にし、自己効力感も高めるポイント
2.天狗にならない褒め方と内容
自己肯定感が低い卑屈な子ほど、褒めて自分を取り戻してほしいけれど、能力的な部分を褒めると弊害が出るというお話しをしました。
別に自己肯定感が低い子に限らず、幼児〜小学生の頃から能力面や何かを頑張った結果ばかり褒められ続けて育った子は、愛着障害っぽい感じになります。
そこで大切なのが「存在承認をする感じで褒めること」です。
2-1.結果や能力じゃないところを褒める
- 人格を褒める
- 行動を褒める
- 人とは比べない
- 結果ではなくてプロセスを褒める(条件付き)
察しのいいあなたには、1章で説明したことの逆をやればいいと気づくでしょう。
人格を褒めるとは、人格を直接褒めるのではなく諦めない性格や考えてること、人への気遣いやちょっと見せる優しさみたいなのが、行動として現れてきたものを褒める。
人と比べないは、褒めるのに比べられた相手は相対的に低くなる。
叱るときも「お姉ちゃんはできるのに、あなたはダメね」とは、この記事をここまで読むくらい熱心なあなたなら言わないでしょう。
結果じゃない行動を条件付きで褒めるとは、
行動はいつでも褒めていいですが、それに対して"結果"は、それがどうやって得られたかに関係した条件。
テストで100点取っても褒めちゃダメなの?って、そんなわけありませんよ。その疑問の答えは4章で解説します。
2-2.褒め方とタイミング
褒める内容はお話してきた通りですが、褒め方にも抑えるポイントや取り入れると有効なコツがあります。
タイミングはすぐ
褒めるタイミングは"その場ですぐ"。
良く分からないタイミングで褒めても効果半減です。
名前をつけるのは「人として認める」第一歩
人格を褒めるとは、人として認めるってことです。
だけど"優しいね"みたいに形のないものを褒めるって感じで難しいので、人格を簡単に褒めるなは「名前をつける」だけ。
「◯◯ちゃんのそういうところイイネ!」
具体的に何かを褒めてるんじゃないけど、言われたら嬉しくないですか?
名前を呼ぶのは、人として認める一番手っ取り早い方法です。
共感的に褒める
褒めるのは別に"すごい"系だけじゃなくて、"できたね""やったね"みたいなものでもOK。
共感的に褒めるとは先生・大人など上の立場から褒めるよりは、横から一緒のものを見て同じ目線で感じたことを言葉にする感じ。
「褒められた」より「認められた」を感じてもらえます。
その子に理解できる、効く言葉で褒める
じゃ、せっかく褒めたのにもったいないので、分かる言葉で褒めましょう。
案外忘れてる人多いから大事ですよ。
褒めたつもりでも全然響かなければ意味ないので、表情や伝えるときの声のトーンとかも工夫したいところ。
叱ると褒めるを区別。叱るをを薄めない
叱った後に「分かってくれたんだね」みたいに褒めて終わる人がいますが、叱る場面と褒める場面は区別しましょう。
叱って伝えた内容が薄まります。
叱って伝えたい内容、褒めて伝えたいこと、両方ともやったつもりだけど、どっちも伝わらないのが、「叱る場面でなぜか褒め要素を入れる」
👆新人の学童クラブ支援員が必ずやるミスと言えます。
【学童の子どもの叱り方】ベテラン指導員が教える外せない10要素
3.褒めることで何を狙うかを意識する
ここまで褒める褒めるって話してきたけど、根本的な問題をスルーしてました。
そもそも何で子どもを褒めるんですか?
おそらく意識してないと思いますが、プロの保育士や学童支援員は明確に意識しているので道を外れた褒め方をしにくくなります。
- 正の強化を行う
- 負の行動を転換する
- 信頼を築くため
- 子どもが安定する
- 次への前向きエネルギー
- 自己肯定感を上げる
- 自信をつけるため
👆だいたいこんな感じ。
まあ具体的に目的なく褒めるてるのが大半でしょうけど、この目的のどれかを無意識に考えているのだと思います。
この目的のどれかを、意図的に狙って褒めてみると効果は上がります。
無意識だと特別な何かが起こったときしか基本的には褒めないから、ぜひこれら目的のうち一つでも狙って意図的に褒めてほしいと思います。
ちなみに子どものやる気を引き出すには
叱るよりも褒めるのがよいという心理実験のデータもあるので、何かを教えたい場合にも"意図的に日常的に褒めていく"のはかなり有効ですよ。
意図的に褒めるとしても、強制的にやらせてできたら褒めるのは違います。
おもちゃを貸したくないのにさんざん説得されて嫌々貸したのに「貸せたね、偉いね」
なんか誘導して、「私の思い通りに動いてくれて偉いね」👈世にいう毒親の発想、小学生だと高学年にもなれば反発として返ってきます。
いいことは褒めて悪いことは叱って、いいところを増やしていく考え方は間違っていません。
だけど本人の意思とは関係なく誘導されると大人の方にも違和感があります。
あくまでも日常の、自然の流れで褒めていくのが基本です。
4.結果や能力を褒めても大丈夫なとき
褒められて天狗になったり調子に乗るのは、結果や能力を褒めるから、とお話しました。
だけど子ども目線だとテストで100点を取ったのに褒めてくれないと、逆に悲しくなりますね。
結果や能力を褒めちゃいけない訳じゃありません。
その結果や能力が
- ・頑張って得られた時
- ・楽しんでやった結果
プロセスがあっての結果かどうか?がポイントです。
自分で頑張って結果が出た。自分でも「やった!」それを認めてあげる感じの褒め方です。
子どもによっては安定してて、そういうのを無条件で褒めても増長しないなら積極的に褒めても大丈夫ですけどね。
あとは自分でアピールしてきたときも褒めてあげましょう。
「俺、100点とったんだよ」
「やったね、すごいじゃん」
自分でアピールしてくるのはある意味素直。
応えてあげないのは逆に人として不義理。
頑張った結果や能力も、たまにプロセス抜きに褒めてもいいんです。
褒める場面が毎回"努力なしに得られた能力系"に偏って、その他の場面で頑張っても結果がでない限り一切褒められない。
共感的に認められもしない。
素直な子でも次第にひねくれてきそうな、こんな褒め方は良くないって話でした。
あくまでも2章で話した褒める内容がメインになるようにしましょう。
5.褒めることが思い付かないとき
褒めよう褒めようって構えてると、"褒めることってないな"となりませんか?
ひねり出す必要はありません。
褒める目的が3章で書いたようなことだから、それが達成されるなら別に褒めることにこだわる必要がないわけです。
それでも褒めたいなら、
自発的にやったことにその場でお礼
昔と比べて褒めてみる
遊びのなかで共感的に褒めてみる
一発を大げさにしてみる
好きなことや夢中なことから始める
こんな感じでどうでしょうか?
おすすめは遊びのなかで褒めていったり、「楽しいね」みたいに共感しながら関わること。
褒めるだけが「認めてもらっている感覚を得てもらう」目的を達成する唯一の手段じゃないから。
存在承認が目的なので、敢えて頼まなくてもいい頼み事をして、やってくれたら「いいね、ありがとう!」
学童クラブでは、自己肯定感の低い子へ褒める機会を増やすため、意図的に狙ってやることもありますよ。
6.褒め言葉フレーズとしての「いいね」
ここで日常のなかで自然に使えるフレーズ「いいね」を紹介します。
「これできたよ!」➔「いいね!」
「片付けたよ」➔「いいね、ありがとう」
「100点取ったんだよ」➔「いいね、それいつも宿題頑張ってるからじゃない?」
別に変に持ち上げるわけでもなく、認めつつ肯定し、共感的に褒めている感じも出てきます。
「おー、いいね」「そうかぁ、いいじゃん」
みたいにバリエーションも簡単。
SNSの"いいね"は人の承認欲求を満たし、たった三文字で満足できして前向きになれるこの効果を狙ってるのかもしれません。
フレーズって「いいね」だけかよって突っ込みがあるかもしれないので、こちらの本も紹介しておきます。👇️👇️
言ってはいけない呪いの言葉と、親も子どもも幸せになる魔法の言葉が読みやすい解説やエピソードとともに紹介されています。
さらって読めちゃう反面、学びが深くなるのと、具体的に何て言えばいいのかもこの一冊読むだけで十分分かります。
子どもにかける言葉についてで、何冊も読む必要はありません。
7.小学生の子どもが調子に乗らないで伸びる褒め方のまとめ
褒めたらわがままになるとか、調子に乗るとか、増長するのは褒めるのとは別問題です。
ダメなことを放置してるとか、褒める場面と叱るべきことを分離してないような、早い話が普段のスタンスが原因です。
まあ本人の気質も関係してくるから、気質と関わり方は4:6。
(もともと素直な子でも関わり次第で変な方向に進んじゃうから、どちらかと言えば関わり方に比重があります。)
- 人格を褒める
- 行動を褒める
- 人とは比べない
- 結果ではなくてプロセスを褒める
結果を褒めてもいいんだけど、それに片寄りすぎるとよくないって話でした。
結果を褒めてもよい場合は4章
逆に結果しか褒めないのは、"結果を出さないと認めてもらえない"、"結果を出せない能力が低い人は劣っている"
みたいな考え方に繋がってしまいます。
だから変な方向で「できない人よりも自分は偉くてすごいんだ!」と増長したり天狗になったりする。
褒めることにこだわらなくても、褒める目的も考えておくことで(3章)「褒めなきゃ褒めなきゃ」って構えることもなくなりますよ。
日常も長いので、あくまでも大人の方が無理なく自然な形で関われるのがベースになってきます。
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