自閉症スペクトラムの子へ学童クラブでできること
興味本位でも、自閉症スペクトラムについてこの記事を見つけたあなたの悩みや知りたいことは
・自閉の子ってどう接したらいい?
・支援で気をつけることは?
・個別対応が毎日大変すぎて困る!
こんな感じでしょうか?
私もそんな子達に仕事で何十人と関わり、好きで放課後支援のボランティアまでやってたのでよく分かりますよ。
経験20年の東大出身
理系保育士ジャムです。
セラピストでもある私(プロフィール)(@jamgakudoツイッター)の視点から、
【自閉症スペクトラム(ASD)の子へ学童クラブでできる支援】
👆今回はこれについて、あなたにお話していこうと思います。
ASDの子はそれぞれ特徴的なので、課題や支援必要ポイントを踏まえつつ具体的に支援していきます。
別に奇をてらったものはなく、経験的にお話できるものはよく言われる
・急な変更は避けて予告する
・視覚に訴える
・学童の周りの子へ理解を求める
・集団行動はできる範囲で参加など
しかし学童クラブの環境は自閉症スペクトラムの子にとって良いものではなく、支援員も障害児保育の専門家ではなく療育機能もなし。
「発達障害があってもストレスなく学童で過ごす」👈なんていくら頑張っても無理な場合があります。
普通の子も障害児も関係なく、というインクルーシブ的な考え方は今の福祉の主流ですが、学童クラブの物的・人的環境はその理想に追いついてないからです。
だから無理な場合は状況をしっかり発信し、退会後の受け皿探しなどを含めて支援していく、抱え込まない視点も必要です。
とるべき行動をキャリア20年以上の視点から理由付きでコツも書いているので、方針がハッキリとし、あなたの悩みが解決に向かうと思います。
1.自閉症スペクトラム(ASD)へ対応するには特徴を知る
1-1.ASDの特徴
「自閉症スペクトラム」とは少し昔は
- 自閉症
- アスペルガー症候群
- 広汎性発達障害
などいろんな呼び名で言われてたのが、虹のように境界が曖昧(スペクトラム)なものとして統合された名前です。
細かい点はさまざまですが、特徴としては大きく2つです。
✔ コミュニーケーションや対人関係の難しさ
✔ 何らかのこだわりや囚われがある
学童クラブくらいの低学年で、自閉症スペクトラムに関してよくある特徴として・・
コミュニーケーション含む対人関係の難しさ
・低学年の空気の読めなさに輪をかけている
・怒られてるのにニヤニヤしてさらに怒られる
・静かにするときに一人だけ立ち歩いてしまう
・独り言が多くてよくわからない人に見える
・明らかに変わった話し方
・冗談が通じない
・全体への話は自分への話じゃない
・人との物理的距離が近すぎ
・異性に近寄り過ぎな場合も
何らかのこだわり、囚われがある
・感覚過敏は最たるもの
・耳をふさいだり
・安心できる同じ行動をするなど
・切り替えがとても下手
・やりたくないことには一切動かない
・未経験なことには一切近づいてこない
・同じ遊びばかりしている
・儀式的に見える行動をする
その他
・発達の凹凸と言われる、得意不得意が極端になりがち。
・LD(学習障害)やADHD(注意欠陥・多動症)併発もよくあります。
集団行動や集団へ指示などは苦手だけど穏やかで静かな子も多いので、「傾向」のある子が学童クラブなんかだと見逃されることも少なくありません。
出現率は100人に一人、男の子が女の子の4倍と言われています。
DSM-5における自閉症スペクトラムの診断基準
以下のA、B、C、Dを満たしていること。
A:社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害(以下の3点で示される)
①社会的・情緒的な相互関係の障害。
②他者との交流に用いられる非言語的コミュニケーションの障害。
③年齢相応の対人関係性の発達や維持の障害。
B:限定された反復する様式の行動、興味、活動(以下の2点以上の特徴で示される)
①常同的で反復的な運動動作や物体の使用、あるいは話し方。
②同一性へのこだわり、日常動作への融通の効かない執着、
言語・非言語上の儀式的な行動パターン。
③集中度・焦点づけが異常に強くて限定的であり、固定された興味がある。
④感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性、あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心。
C:症状は発達早期の段階で必ず出現するが、後になって明らかになるものもある。
D:症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている。
(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル)
DSM-5 児童・青年期診断面接ポケットマニュアル | ||||
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1-2.自閉症スペクトラムは脳の機能障害
自閉スペクトラム症は病気というより持って生まれた特性、脳の作りの話なので、育て方やしつけによるものではありません。
自閉スペクトラム症の原因はまだ特定されていませんが、多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる、生まれつきの脳の機能障害が原因と考えられています。
胎内環境や周産期のトラブルなども、関係している可能性があります。親の育て方が原因ではありません。
厚生労働省e-ヘルスネット
健常児に対するマイノリティとして障害とみなされますが、私は数限りなくそんな子どもと接してきたので、変わっているけど別に子どもということに変わりない、といった感覚があります。
治療というか、教育的な支援は療育(治療教育)と呼ばれます。
虐待やマルトリートメントによって発達障害が引き起こされる場合もありますが、そんな子は私の経験的に衝動性の高さと自制心のなさなどADHD系の特性になることが多く、自閉系にはなりにくい気がしています。
不安障害やパニックなど、自閉の特徴から環境に適応しづらいものを抱え込んでいる子に対して、薬物療法も行われます。
2.学童クラブで自閉の子を支援するためのマインド
学童クラブにはASDの子を計画的に段階を経て、教育的に成長させる「療育」の機能はありません。
支援員のうち個人的に勉強や経験を重ねた、質の高い知識と支援が可能な方はごく僅かで、基本的には障害児保育の専門家はいませんね。
だからこそ言葉は悪いかもしれませんが、身の程を知ることが大切です。
福祉的な「やってあげたい!」「力になりたい!」と思ったとしても、学童クラブの機能的にできることは限られているという話です。
2-1.抱え込まないで、できる範囲の取り組みだけ行う
昔は障害を抱えた子の行き場が学童クラブしかなかったため、福祉的に「困ってるなら助けたい」という思いだけで預かっていたのが昭和〜平成半ばくらいまでの話。
ですが近年「放課後等デイサービス」が量的には増えてきています。
そちらも支援の質は取り沙汰されるので十分じゃないかもしれませんが、それでも前提として「療育」を謳っているので並の学童クラブよりは余程良いはず。
放課後デイも定員オーバーなど、学童クラブでの障害児受け入れは依然必要ですが、今後は減る方向に行くと思っています。
受け入れはしても、自閉症スペクトラムなど障害を抱えた子は預かるだけでは不十分、本来は療育が必要です。
頑張ったところで不十分、というのを知っておかなくてはいけません。
2-2.無理なら無理と発信する
私が学童クラブでみていた自閉症スペクトラムの子で、不安が募って自分を守るために他の子へ攻撃的になり、暴言暴力が目立つ子がいました。
運動してれば発散しますが、学校内の一室の学童だったので体を動かせる時間も限定的。
一年生の頃はまだ良かったけれど、3年生になったら下級生が非常におそれ、「○○君が怖いから学童行きたくない」と複数声が挙がりました。
職員は40人に対して常勤2人+補助員でしたが、補助員では手に負えず。
常勤一人がマンツーマンで室外に連れ出して時間を過ごさざるを得ず、数字的には常勤一人が残り39人を見る。
39人いれば支援が必要な子はたくさんいるので、立ち行かず運営が非常に困難でした。
一度受け入れたものの育成が困難、保護者と度重なる面談の結果、系列のより安定した学童クラブへ移らざるをえなかった子もいました。
このように無理は無理と、はっきりと発信の必要があります。
保育園とは違うので、「保育園では見てくれていた」というのにも反論できなくてはいけません。
現場支援員の仕事ではなく、施設長や運営者の仕事ですが。。
加配職員がつける予算があっても募集が来ないとか、並の加配職員じゃ対応できないとか、大きくなった子の暴力で骨折した職員すら何人も見てきました。
運営困難なのに保護者には言わずに受け入れている学童、たくさんあります。
危機管理的にもNGだと思います。
3.学童クラブでできる自閉症スペクトラムの本人への支援は環境面から
学童クラブでは本人の成長のための支援は不十分ですが、できることもあります。
3-1.物理的な環境
●見通しを持ちやすくする
●感覚過敏への配慮
見通しを持ちやすくする
予定が分かりやすく示されてるのは、時間の使い方を自分で決められる自立へ向けた支援として必要です。
自閉症スペクトラムの子に限りません。
また予定をなるべく変更しないこと、都合で変更せざるを得ない場合は予告をしてあげる。
ASDの子には全体への話は通りにくいので、個別に理解できるよう伝えるのが必要になります。
感覚過敏への配慮
自閉症スペクトラムには感覚過敏の子も多いため、個別に配慮してあげましょう。
聴覚過敏が多く、学童クラブの騒がしさが相当ストレスな場合にヘッドホン装着を許可してあげるくらいは問題なし。
またパニックになった場合に逃げられる環境も大切で、無理なら簡易テントでも十分役立ちます。
一人用の簡易テントの例👇
ポップアップテント MOSCO モスコ お着替えテント 簡易トイレ 簡易シャワー室 | ||||
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3-2.自閉症スペクトラムを抱える本人の課題への支援
●集団行動にはできる範囲で
●待ってあげる
●個別に伝える
集団行動にはできる範囲で
自閉症スペクトラムの子って、集団行動はできる時とできない時がありますよね。
防災の本番で避難する時は言ってられませんが、それ以外での集団行動ほ学童職員の都合によるのがほとんどです。
集団行動を強いるために叱る、そしてパニックにさせる👈そもそも大人の都合なのに意味がありません。
待ってあげる
切り替えが難しく、行動を強いると不快感からパニック、落ち着くまで10分以上・・というのがよくある対応失敗。
ルールを「公平さを保つためにみんな一緒」に大人がこだわると、相手が要配慮の自閉症スペクトラムの場合はそんな結果になります。
感覚過敏だと思いますが、全く違う遊びに集中してると思ってテレビを消したら「なんで消すの」と即反応👈自閉あるある。
意外に耳が良いので、指示をしたら聞こえたか?確認して待ってあげるのも必要です。
待つにも限界がある場合は「このタイマーの数字が減って、ゼロになったらおしまいですよ」見てわかりやすくしてみましょう。
動かないとき多いけど
個別に伝える
学童クラブだと「全体への話」でおしまいにしてしまいがちですが、個別に伝えなければ理解できないなら伝えるべき。
前に立って話してる支援員は全員聞いてるつもりで話してるけど、補助の立場で自閉症の子が明後日の方を向いて、並んでるレゴ作品を見てるのをよく見つけました(^^)
3-3.自閉症スペクトラムの特徴を周りの子や他家庭へ理解を求める働きかけ
周りの子に理解してもらう取り組みは可能な限りやりたいけれど、十分できてる学童はそんなに無いと思います。
一人だけ特別支援学校に行っていて言葉も出ない、明らかに違う子なら理解を得やすいかもしれません。
しかしそんな分かりやすい子ばかりではなく、
- 怒りっぽい
- 理屈っぽい
- 工作が得意
- 優しい
ポジティブ・ネガティブ含めていろんな感覚と同列に自閉症スペクトラムの特徴があるので、同世代の子どもには難しいのです。
理解してくれる子もいますが、学童クラブに来る低学年の子は基本的に自分の世界の住人。
人の心を分かろうとしない、衝動性が高いのですぐにケンカになってしまう、家庭的に不安定で本人も発達的な課題がある子などASDと診断されてる子より、よほど手のかかる子はいくらでもいます。
そこに集団行動の苦手なASDの子がいて
理解を求めたところで「ズルい!、僕だってやりたくない」という声だけが挙がり、学童クラブ全体の雰囲気が悪くなるだけ。
そこを含めての環境改善ですが、全体の雰囲気作りに失敗している場合は、障害児一人のために全員の理解を求めるどころじゃありません。
また面倒見の良さそうな子に、○○君対応を任せるのは避けましょう。
助けてもらう分には良いですが、完全に任せてしまうのは大きな負担になります。
高学年が低学年の世話をしなくちゃいけない訳でなく、手助けしたいときにする程度の負担感のない環境にとどめておくべきです。
4.自閉の子が学童合わないなら、退会勧めるもやむ無し
学校ではインクルーシブ教育が進められていますが、障害のある子はその他大勢の経験を上げるダシではありません。
学童クラブで受け入れたものの、その子にとって合わない環境で、大人が頑張っても改善できない場合もあります。
分かりやすく一部屋しかない学童クラブでの聴覚過敏の子、常に耳栓して過ごしてるのは明らかに不自然かつ良い環境ではありません。
環境が合わなくて頻繁にパニックになり、そのたびに他の子が怯える・・他の子にとっても悪い環境です。
保護者が他に預け先なく、やむを得ず合わないのを分かって預けてくる場合もあります。
しかし他の選択肢があるのなら学童クラブにこだわらず、そちらを勧めるのもやむ無し。
親の身としては「いろんな子と関わってほしい」と願いを持って預けてくれる方もいて、適応できる子もいますができないこもいます。
インクルーシブを学童クラブ業界で完璧に実践するのは無理ですよね。
冒頭付近でお話した「身の程をわきまえること」が必要になります。
5.まとめ
自閉症スペクトラムの子への学童でできる支援は本人への働きかけと環境面の整備です。
・急な変更は避けて予告する
・視覚に訴える
・学童の周りの子へ理解を求める
・集団行動はできる範囲で参加など
しかし療育の機能がなく障害児保育の専門家もいない学童クラブでは、どう頑張ってもその子にとってよくない環境で育成せざるを得ない場合もあります。
その時はちゃんと現状を保護者にお知らせし、退会を勧めるのもやむ無しだと思います。
こう伝えると追い出すの?と捉える方もいますがそうではありません。
無理に受け入れて現状維持の方がよほど避けるべきで、支援員が大変なのはもとより、自閉症スペクトラムというハンデを抱えた本人が余計な負担を強いられるのです。
次の受け皿を全力で探すとか身の程をわきまえて、できることを行う姿勢が大切だと思います。
ありがとうございました
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本の紹介👇
DSM-5 児童・青年期診断面接ポケットマニュアル | ||||
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文中で紹介したリンク👇️
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転職に関しては、私も登録してみた信頼できる転職サイトがあるのでこちらから。
【はじめての学童指導員】登録した感想はかなり好印象、相談のみでもOK
スキルアップに関しては、
子ども心理/一般知識/事例/管理ポイント・・
個別にいくらでも学ぶことがあるので、それらを網羅して私ジャムがたくさん記事を書いています。
でも実は個別知識ばかり増やしても、根本的なものが足りないんです。
人間そのものを毎日相手にする学童クラブの仕事には、別次元のスキルや知識が必要、
というのが20年以上の経験と理系的思考による結論です。
・・では何が根本的に足りず、どうすればいいのか?
根本的に足りないもの
➔経営的な視点での基礎的な考え方、真の人間理解などのビジネススキル。
どうすればいいのか?
➔人に物を売るマーケティングを学ぶことで可能。
と思いましたか?(^^)
分野が全く違うように思えますがマーケティングを学ぶとは、人へ物を売ったり価値提供のために
✔ 人間を真面目に理解して読み解き、
✔ 発生した問題へどう対処すればいいか、
✔ お金/時間/情報/人材資源をどう使えばよいか?👆こんなのを学ぶ事になるので、結果的にあらゆる仕事に通じるスキルが身につきます。
これらが保育現場でも必要と言うのは、賢明なあなたには理解していただけるでしょう。
つまりマーケティングを学ぶと、どんな仕事にもつぶしが効く知識やスキルが身につくので、
保育に活用できるのはもちろん、ついでに副収入を得る程度は容易になり、収入面の不安もなくなってきます。
保育業界は価値観が偏りがちで、経験を積めば積むほど一般常識から離れてしまうジレンマがあります。
(経験が浅いと実感がないと思いますが、真面目に保育現場だけで経験を積むと必ずぶち当たる壁です)
特に現場リーダーや管理職になった時、一般的なビジネス知識やスキル有り無しは非常に大きな差となります。
良い主任や施設長は長い経験によって、自覚なしに身に着けているのですが、
あなたはその正体がマーケティングにより得られる知識やスキルということを知ったため、
それを学ぶことで、真面目に取り組めば1年ちょっとで10年以上の時間をショートカットして身につけられるわけです。
と言ったところで、私の学んだオンラインビジネススクールを紹介しておきますね。
名前は「次世代起業家育成セミナー」
●友達追加するだけで、20万円分の教材が無料でもらえ、巷に溢れている単発のビジネス動画でなく体系的に学べる。
●また私のウェブサイト(「学童クラブ指導員と保護者の部屋」または、「保育士の3大お悩み解決所」)経由で登録すると、私からも「保護者対応虎の巻」などを差し上げています。
「次世代起業家育成セミナー」のライン友達追加だけでかなりの特典が貰え、お金は最短2週間たたないと1円も払えないのでお試しのみで退会可能。
登録のみのデメリットはありません。
ここまで読むくらい熱心なあなたには、ぜひレベルアップして子どものために生かして欲しい(^^)
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