1.時間にルーズか?は子どもの時間感覚や大人の価値観に左右される
時間にルーズな子への対応をお話する前に、

本当に時間にルーズなのか?、前提をお話しようと思います。
1-1.ジャネの法則〜子どもの時間感覚は大人とは違う
子どもの頃、学校の一学期がとても長かった思い出はありませんか?
始業式な4月〜夏休みの7月後半、たった3ヶ月くらいだけど、子どもの頃は永遠とも思える日々。
一方で、大人の3ヶ月はあっという間。
この年齢による時間感覚の違いは「ジャネの法則」と言われています。
主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を心理学的に説明した。ジャネの法則とも表記する。
簡単に言えば生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例する(年齢に反比例する)と主張したものである。
ウィキペディア
- 5歳の子の1ヶ月は、人生の1/60
- 30歳の大人だと人生の1/360
- 年齢5倍➞主観的な感覚は1/5
👆お話的には分かる気がしますね。
また夢中になってる時間は短く、つまらない時間は長い。
時間間隔は個人的なもので、特に子どもと大人では大きく違うということ。
子どもが時間にルーズに見えたら全てだらしないか?短絡的には決められません。

1-2.「早くしなさい」は大人側の感覚、時間にルーズも価値観次第
人間の五感とは別の「時間感覚」は個人差が大きく、文化にも左右されます。
大人では時計も読めるし、時間感覚を他人と合わせる経験も子どもに比べたら圧倒的に多い。

👆大人でも感覚の違いが大きいので、「早くしなさい!」の「早く」とは抽象的な概念。
時間にルーズの「ルーズ」も同じこと。
子どもの性格には、たくさんの要素があります。
優しさ、物事への気付きの感度、好きなこと嫌いなこと、集中するもの、怒るポイント、
それと同列の時間に関係する
- ゆっくり
- おおらか
- 細かいことを気にしない
- マイペース
「早くしなさい」はこれら性格のうちの、一つを変えようとする行為。
親の時間感覚と合うよう、思い通りに動かそうとしているのです。
性格って簡単に変わると思いますか?

「時間についての課題は、子どもだけにあるのか?親の方にはないのか?」
について疑問を投げ掛けました。
概念としての時間は何を考えていても、何をしていても同じ早さ、学校に行く時間、寝る時間は決まっています。
「時間にルーズ」「悠長」とは「本来、急がなければいけない状況にあっても、のんびりとしてちっとも急ぐことがない様子」という意味です。
急がないといけない場面、決まった時間が差し迫っているときに子どもを動かしたい。
次の章から、この問題解決のいくつかの方法についてお話していきます。

2.時間にルーズな子への対応~時計の読み方と使い方を教える
時間の概念は"ちょっと"とか、"早く"などは抽象的な概念とお話しました。
「ちゃんとしなさいと」と教えた気になって具体的には1つも教えていないのと同じ。
そのため時間を教えるには、時計を教えのが必須条件です。
デジタルでもアナログでも、数字として具体的に教えるわけです。
時計の読み方を教える
数字は4〜5歳くらいに覚えますが、10までの数字を覚えたら「長い針が5にいったらね」とよく教えます。
時計を見て動けるまでじゃなく、見通しを持つため。
数字が読めて4の次は5、数字の序列が分かる5歳以降ならデジタル時計でもOK

行動の起点となる時間を教える
「~までに片付けましょう」は時間を逆算する高度なワザ、初めからは難しい。
8:30に学校につく、では一体8時なん分に家を出たらいいのか、8時なん分までに着替えをしてご飯を食べ終わればいいか?
1つだけ起点「8時15分に家を出る」を教えます。
「~になったら片付けですよ」と行動の起点となる時刻を示しましょう。

3.時間にルーズを改善するため、時間のメリハリをつける
子どもはレゴをやってると思ったら、次の瞬間に塗り絵をやり出す。
遊びならいいけど、ご飯を食べながら遊び始める、朝急いでるのに別のことをやり出す、
👆親はイライラ
場面の切り替えが苦手な子はたくさんいますが、「今は~の時間」とハッキリとしましょう。
わかりにくい場合は
✔今は話を聞く時間
✔今はあなたが話す時間
普段からやると過剰コントロールで駄目だけど、急ぐ必要のあるときだけ。
一日の流れが決まってれば、時間にチャイムを鳴らして条件反射的に行動を促すという方法👈学校方式
また集中できる時間は低年齢ほど短いので、考慮すべき。
ご飯の時間が30分も続いたら、メリハリも集中力もなくなる。
怒られて泣きながら食べるにならないよう、予告して片付けるとかね。
幼児の場合、集中できる時間は約「年齢+1」分といわれています。5歳なら約6分です。
小学校低学年なら約15分、中学生なら30分程度ですが、最近はもっと短い子どももいます。
実は大人でも長くて約50分、さらに集中力のピークは約15分程度なのです。
子どもの集中力はトレーニングと環境で育てることができる | アルパイン ALPINE Japan

4.ルールを決めておく~ゲームをやり過ぎるなど
親が気になる生活習慣に関わる部分
- 寝るのが遅い
- 起きられない
- 決まった時間に間に合わない
- 宿題が終わらない
娯楽に費やす時間
- ゲームをやり過ぎる
- テレビをだらだら見すぎる
- いつまでも遊んでいる
- 決まった時間に帰ってこない
後者の娯楽に関する部分は、必要なことに使う時間がなくなるので、習慣になるまでのルール化が必要。
子どもが自分で納得すること
ごほうびはアリ
罰やペナルティはなし
「目の隈ができてるよ」子どもと話して納得するよう、とにかく一旦決めてしまう。
決めたら、

それでも守れない場合は、守れたら褒美シールとか。
習慣化のご褒美は徐々に減らしていき、(たまにシールをあげるのを忘れるとか)約束を守ることが普通にするのが追加のテクニック。

5.自分で管理は納得が必要~説得の要素を使う
早くしてほしい時は余裕がないけど、できれば否定じゃなく肯定的な言葉を使いたい。
感情でなく戦略を使うと、親も余裕が生まれますよ
・親が焦らない
・失敗経験も必要
・説得の戦略
・価値観を変える
5-1.一度言ったら待つ〜親が焦らない
何度もまくし立てるのは逆効果、言っている方もイライラしてきます。

言い返されようものなら、言い訳に聞こえてドカン!
切羽詰まった場面以外では、待つことも必要です。
何度も言わないことを意識するだけで余裕ができますよ。
遅れて困るのは親ではなく、ほぼ子ども本人だけ。
言っても動かないのは自分の責任です。
5-2.予測援助と、時には負の経験は時間にルーズへのショック療法
「間に合わなかったらこうなるよ」など、未来を予測する手助け。
間に合わなかったら実際にそうします。
具体的に「〜までに用意できなかったらお出かけは無し!」
実際に中止なるのを経験したら引き締まる。
叱るでなく、電車が行っちゃったから仕方がないね、時間がないよって何度も言ったでしょと、こちらは冷静に言い聞かせる。
泣いてもわめいても中止。

ママじゃないよ
次は簡単、「また電車行っちゃうよ」
学習理論から、人の経験は強さ、頻度で作られます。
「楽しみにしていたお出掛けの中止」は強さが強烈です。
まあ無理なのを期待させ、中止前提でできない目標を立てるなどはやりすぎだけど・・
子どもの感情に引っ張られ、大人も感情を出しがちだけど、意図をもって計画的にやるのも必要です。

5-3.説得の要素を使う
人を説得する要素を使います。
- ベネフィット
- 恐怖、デメリット
- やり方
ベネフィット
早くしたら良いことがある、利益を示す。
恐怖、デメリット
間に合わなかったら損すなど。
ノウハウ
やり方を具体的に教え、少しだけなら手伝ってあげてもいいでしょう。
5-4.価値観の教育~親も意識が必要
遅刻はダメの刷り込みは、特に日本では将来のために大切。
イタリア人は1時間人を待たせるのが普通だというのをテレビでやってたけど、ここは日本。
5分の遅刻もNGどころか、ギリギリに着くのすらダメです。
仮に親が「少しくらい遅れて人を待たせてもいいや」👈こんな価値観があるなら、それは子どもに移ります。
都合のいいときだけ急かせても、根本的なところは親と同じ。保護者が自分を正すことが必要です。
一貫性が子どもに何か教える場合に大切です。
言う事が場面や親の気分でコロコロ変わるのは、子どもの不安定さ要因です。

6.規則的な生活は管理する必要あり
"子どもには自分で判断して、自分で決めてもらいたい"といった信念を持つことは悪いことじゃない。
でも
- 夜寝るのが遅すぎ
- 朝起きられない
- 学校に行けない
ここまで子どもの自発に任せるのは、大きな問題があります。
子どもは成長過程で必ず大人の助け、「世話を焼いてもらう」必要があります。
それらまで自発に任されてしまった子を、私は学童保育で働いている時に何人か見てきました。
小学一年生なのに目覚ましが壊れて鳴らなくても起こしてもらえない、お弁当も自分で作らせる、遅刻するのも自分のせい、何日かお風呂に入らなくて臭ってきてもかまわれない。
そのうちにその子は学校に行かない日が増え、学童クラブに土曜日など来たときは、お昼ご飯に具のない白飯を丸めただけのおにぎりを、恥ずかしそうに食べていました。
思い通りにならないことがあると、泣き叫んで暴れ、
お母さんにお迎えに来てほしくて、学童クラブから帰る時間になってもなかなか帰れませんが、お迎えには来ない。
👆極端だけど実際の姿、ネグレクトという虐待に当たります。
価値観は家庭によっても文化によっても大きく違うけど、子どもに必要なことはあまり変わりません。
基本的な生活の時間は、ある程度大人の管理する必要があります。
年齢に相応の自立が、「できたらいいな」と願って、できなくても期待しすぎないことですね。

7.まとめ~時間感覚を育てる対応を理系保育士が教えました
いかがでしたか?
時間にルーズな子への対応ですが、
まず「それはルーズなのか?親の価値観じゃないのか?」の前提をお話しました。
時間を守らなくて困るのは、親ではなく本質的には子ども本人です。
親子と言っても違う人間なので、思い通りにはなりません。
その辺りを感覚的に持っていないと共依存や子離れできない親、過干渉、過保護などさまざまな問題が起きることになります。
- 成長には時間がかかる
- 行きつ戻りつ成長するのが子ども
- 気分によっても大きく違う
時間にルーズなのは対応の必要あるけど、気を張らないでほしいと思います。
また子どもには何かを飽きるまでやれる環境も大切、意欲や好奇心は時間で区切られるのは最小限にしたい。
子育ては、ある程度の寛容さを持っておおらかにいきましょう。

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