学童クラブで気を付けたい熱中症の予防と対策
この記事では
- 熱中症の危険度
- 原因と、それによる予防や対策について
- 子どもについて気を付けること
- 学童クラブなどで特に気を付けること
についてわかりやすいように書いています

- 1.熱中症とは、その危険性
- 2.熱中症の種類とメカニズム
- 2-1.日射病・熱失神
- 2-2.熱けいれん
- 2-3.熱疲労
- 2-4.熱射病
- 3.熱中症の原因・時期など
- 4.子どもの特性
- 5.マスクには気を付けよう
- 6.熱中症の症状
- 7.熱中症予防
- 7-1.水分補給
- 7-2.熱対策
- 7-3.体を慣れさせる
- 7-4.夏バテ防止
- 8.発症したときの対応
- 9.学童クラブなどでの動き
- 9-1.熱中症を疑えるように
- 9-2.企画やプログラム
- 9-3.子どもの行動管理
- 9-4.子どもの自己申告を待たない
- 10.まとめ
子どもは小さな大人ではありません。健康面では子どもの特性に合わせた配慮が必要です👇️👇️
1.熱中症とは。危険性・後遺症も
東京消防庁2017年の統計によると、熱中症で救急搬送した患者約4700人のうち、Ⅰ度が56%、Ⅱ度が40%、Ⅲ度が4%

人間の体はタンパク質でできていますね。
お肉をゆでたり焼いたりすると、赤みがかっている生の状態から形が定まって固くなります。

これはタンパク質の変性といって、構造が熱によって変わる不可逆過程(どうやっても元に戻らない)状態です。焼いた肉は生肉にはなりません。
例えば風邪で熱が出たような場合、それは自分の体内で自力で出した熱なので、タンパク質が変性してしまうほどの高温にはなかなかなりません。
しかし熱中症は外の熱が取り込まれてしまい、しかも水分が足りなくなるため、体にとっては想定外の高温になる場合もあります。
人間の体では40度を越えた辺りに危険な境目があり、これが上の画像でⅢ度になってしまうような方の一部に起こり得ます。
内蔵は代謝により治ることもあるかもしれませんが、障害が残ることもあります。
また脳がほんの一部でもその状態になると様々な後遺症が出るのは明らかですね。
だから熱中症では初期の段階での対策や、そもそも予防がとても大切になってきます。
2.熱中症の種類とメカニズム~熱射病・日射病の違い
熱中症とは暑い環境が元で起きる健康障害をひとまとめにしたものです。
2-1.日射病・熱失神→主に脱水(Ⅰ度)
お日様が照っている中で運動していると、当然汗が出ますね。水も飲まずに続けていれば、脱水症状になります。
これが日射病
日射病は炎天下にスポーツや激しい労働をしたようなときに汗がたくさん出て、体の水分が足りなくなってしまい、心臓へ戻ってくる血液が少なくなって心臓が空打ちをしてしまう病気です。
血圧が下がり失神してしまうものを熱失神と呼びます

2-2.熱けいれん→脱水とミネラル不足(Ⅰ度)
脱水対策に水ばかり飲んでいてもなるのが熱けいれんです。
筋肉にけいれんが起きます。しびれやこむら返りです。
筋肉を動かすにはカルシウムや塩分などのミネラル分が必要です。
しかし汗でいろんなものが出てしまい、水だけ飲んでそれらを補給しないと筋肉を動かせずに痛みとなって現れます。
2-3.熱疲労→脱水と熱(Ⅱ度)
体の正常な機能により体温が上がるのに対して汗をかき、それがやり過ぎになってしまった状態。
また汗をかいただけでは体温が下がらずに、熱がこもってしまっている状態。
体の水分は多くが血液なので、脱水を起こす=血が減ること。熱とともに脱水によってめまいやダルさ・頭痛、時には失神を含む様々な症状が生じます。
熱射病の前段階とも言われています。
2-4.熱射病→熱や脱水による脳の機能不全(Ⅲ度)
運動したり、布団をかぶって遊んでいたり、冬場で服をたくさん着込んで暖房の効いた部屋にいると、体がだんだん暑くなってきます。
そんなとき、汗が出ないことありませんか?
この状態がいきすぎたり、熱疲労の状態がいきすぎると熱射病になります。
熱射病は汗をかくなどの脳の体温調節機能が熱や脱水・ミネラル不足などで一部おかしくなった病気、非常に危険です。
体温が異常に高いけれど汗が出ていない、意識もないなど危険なものです。

3.熱中症になる原因・時期や場所
熱中症は運動中に起こるとは限らないのは、よく知られてきたところです。
熱中症の増える時期
- 梅雨明け
- 気温が急に上がった日
- 夏場
体が暑さに慣れていない時期が特に危険です。
自律神経の働きにより、暑くなってから3日程度で体温調節がうまくなってくる(昇熱順化)ので、それまでが危ないと言うことです。
梅雨明けに限らず、5月の陽気など気温が急に変わる時期も注意が必要です。
熱中症の起こる時や場所
- 運動中
- 室内や車内など狭い空間で気温の高い時
- 特に湿度が高いと起こりやすい
- アスファルト
- 意外なところではプールでも

6歳~12歳(平成27年6月~9月)
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/201505/heat.html
(東京消防庁)
どのケースでも共通しているのは熱中症の起こる原因の
- 熱がこもること
- ミネラル分を含んだ脱
を起こすことです。
湿度が高いところは汗をかきにくく、汗をかいたとしてもべたついてしまいます。
汗は体温を下げるために出るものですが、それは蒸発するときに皮膚から熱を奪うためです。湿度が高いと蒸発しないので、体温は下がりません。
夏場にお湯のようなプール、たまにありますよね。水温が36度などの体温と似たような時は熱がこもってしまいます。水に浸かっているからといっても冷えず、夏に外でお風呂に入っているのと同じです。
もちろん室内のお風呂も同じですね。
また子どもは背が低いため、アスファルトの照り返しにもやられてしまいます。👇️

特に注意がいる人や状態
- 体調が悪い
- 持病
- 子ども
- 高齢者
体の働きが鈍ってしまうような疲れていたり調子が悪いとき・そもそも持病がある場合は自律神経の働きも鈍くなり、熱に対応できにくくなります。
高齢者は感覚が鈍ってくるので体の異変を感じにくいですね。
子どもについては次の章で詳しくかいていきます。👇️👇️
4.熱中症になりやすい子どもの特性
- 体が小さい
- 機能が未熟
この理由から子どもは熱中症のリスクが高くなります。
体が小さいこと
子どもは体が小さいので、当たり前ですが体の中の水分は少なく、すぐ減ってしまいます。
それだけでも忘れないでおきましょう。
照り返しを受けやすい(地面からの輻射熱)

上の図を見てもらうと、背が低いと地面からの照り返しが頭までくるため、余計に熱にさらされやすくなります。
背が低いだけで、見るからに危険ですね。
私の勤めていた学童クラブでは車イスの子がいました。
いつも車イスに乗っているわけではなく、降りて他の子と遊んでいましたが、他の子が立ってたり座ったりして遊んでいる中でその子だけはずっと地べたにいるわけです。
熱中症リスクがとても高いのを注意していましたが、見ている大人は地べたにいるわけではないため、なかなか分かりにくいですね。
発汗機能が未熟→水分補給は有効でない
体温調節の方法は二種類ありますが、血管拡張は小学生くらいで大人と同じになります。

汗せんの数は大人も子どもも同じですが、発汗機能での体温調節する力はとても弱いそうです。
子どもは頭に集中してたくさん汗をかきますね。汗びっしょり、といっても実は十分に発汗機能が働いているのはそこだけです。
しかも汗をかいて体温を調節する機能は、18才くらいにならないと大人と同じにはならないそうです。
👇️👇️👇️
つまり水分補給は"体温を下げること"について大人ほど効果がないということ。
水を飲んでも暑いところで動き続けていたら意味がないということですね。
自分の状態に気づきにくい
自分の体調はなんとなく分からないですね。
子どもは遊んでいればトイレに行くのも忘れ、漏れる直前にかけこむくらいです。
子どもの自己申告を待たず、時間を決めて休憩してもらうなど、大人が子どもの行動そのものを促す必要があります。
5.気を付けようマスクをつけたままの熱中症
毎日新聞の記事で使われていたイラストが分かりやすいのでを紹介します(2020.5.18)

この記事を書いている2020年5月現在、新型コロナウイルスの影響で、どんな状況でも暑い外でもマスク着用している人がたくさんいます。
子どもも例外でなく、くそ暑いのに運動中などもマスク着用を余儀なくされています。
マスクで顔を覆ってしまうと
- 喉の乾きに気づきにくい
- 顔からの熱放射の機能が弱まる
マスクの中は湿度が高く、喉が潤っている状態ですね。いつもより喉の乾きにくく、水分が足りないことを自覚しにくくなります。
また顔は鼻があったり唇があったり、表面積が広くなっているため、普段はそこから放熱されています。
マスクて覆ってしまえば、その機能がなくなってしまうのは当たり前ですね。
マスクをしていると外すのが億劫になり、水を飲まなくなるというのもありそうです。
6.熱中症の初期症状~頭痛やめまいなど

いろいろ探したら、👆️のこの絵が分かりやすいですね。
いろんな季節や状況で起こり得ますが、単なる頭痛なのか、熱中症になりかけているのか、素人だと疑えないこともありそうです。
こんな図をいつも目につくところに掲示しておくのも効果があると思います。
7.熱中症の予防~スポーツや室内で防ぐ・夏バテ予防も?
ここまで書いてきたように熱中症の原因は
- ミネラル分を含んだ脱水を起こすこと
- 熱がこもること
- 体が熱に慣れていないこと
以上三点ではっきりしているので、予防は分かりやすいと思います。
子どもについては特性(5章)を踏まえた対応も大切になります
・無理をせず徐々に身体を暑さに慣らしましょう
・室内でも温度を測りましょう
・体調の悪いときは特に注意しましょう
環境省 https://www.wbgt.env.go.jp/doc_prevention.php

7-1.15分に一度水分をとること
熱射病を含み、熱中症が発症した場合の多くは「脱水状態」と考えればよいでしょう。十分な水分の補給が必要です
水分と言ってもカフェインを含むお茶や、大人だとアルコールを含むようなものは利尿作用があるため逆効果です。
水分を取ると汗が余計に出る、トイレに行く頻度が増えるなどを気にして水分をとらないのはだめです。
必要な水分量はそれぞれの年代ごとに異なり、目安の量は
- 乳児:150ml/kg/日
- 幼児:100ml/kg/日
- 学童:80ml/kg/日
- 成人:50ml/kg/日
これは食事でとる量も入っています。

体重20㎏の学童期の子どもだと、だいたい1.6リットル。
子どもが携帯する水筒は大きくても1リットルですね。
朝から学校や学童クラブに行く場合、帰ってくる夕方までには水筒は空になっている必要があるわけです。
水分補給にはスポーツドリンクが最適です。
しかし中高生の部活とは違って、小さい子どもの場合はミネラルが足りなくなるくらい汗が出てしまうまでの激しい運動はあまり考えられません。
登山など長時間に渡って動き続けるような場合を除き、通常の塩分などのミネラルは食事でとれるため当面は水でよいでしょう。
水分補給で体温を下げるというよりは、脱水を防ぐ目的です。
7-2.熱がこもらない工夫と運動制限・管理
WGBT指数と言うのを知っていますか?
熱中症の危険度を示す一つの尺度と目安です。
実際の測定となると専用の計測器がないと測れませんが、要は温度と湿度を測っているだけです。
この値の時は運動ではこう気を付ける、などの表があるため参考程度に。

行動面については"我慢しないこと"が大切です。
クールビズだからとクーラーをつけない、汗をかくからと水を飲むのを我慢する。
👆️書き出してみると熱中症にはよくなさそうですね。実際、よくありません。
室内ならクーラーをつける、衣服の調節、日差しを避ける、水をまく、連続した運動をしないこと(強制的に休憩を10分などとる)などを気を付けましょう
子どもについては大人がコントロールすることが必要になります。
グッズもたくさん出ているので、探してみるのもよいでしょう。
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7-3.体を慣れさせる
暑くなりそうな時は、事前にランニングなどをして体が汗をかくのに慣れさせることが有効です。
子どもは運動を普段からしていますが、家にばかりいると子どもでも運動不足になります。
軽い汗をかくくらいの運動習慣は、大人なら生活習慣病予防になるなどデメリットはないと思います。

7-4.夏バテ予防
体調が悪いときには熱中症だけでなくいろんな病気になりやすいですね。
夏場はアイスばかり食べて栄養をとらなかったり、夜寝苦しいことでの寝不足など。
また朝ごはんをちゃんと食べる、よく寝る、調子の悪いときは運動は控えるなども熱中症予防には有効です。
8.熱中症の手当て・対応
調子が悪い人の手当てや自分で対処したいところですが、まずは熱中症を疑うことが必要です。
熱中症で頭痛になっているのに、頭痛薬を飲んでもだめですね。
同じようにダルさ、めまいなどは他の病気でも起こりますね。熱中症を疑いもしないと、「風邪だろうから様子を見ておこう」となにもせずに放っておき、熱中症が進んでしまうこともありそうです。
でも「熱中症の症状ってどんなだったかな?」とか医者でもないためいちいち覚えられませんね。
だから掲示物が有効です。
こんな掲示物でも、なんだもいいので熱中症の起こりやすい季節は目につくところに設置しておきましょう。

疑ったときの流れ
熱中症の基本的な対応としては確立されています。
症状の例とともに、こんな対応フローチャートも一緒にしておけばよいでしょう。

できるだけ覚えておくと言うよりは、"これを見れば分かる"ということを覚えておくだけでよいので間違いも起こりにくくなります。
応急措置としては木陰など涼しい場所に移し、水を飲ませて休ませてやりましょう。意識がおかしくなるような重症の場合は直ちに病院へ運んで下さい。
十分に熱を逃がしてやれば良いわけですから、冷たいタオルで拭いたり風を送ったりしてやりましょう。
9.学童クラブなどでの熱中症についての留意点
9-1.熱中症を疑える環境にしておく
これは子どもがたくさんいるため、風邪なのか疲れてるのか、個々の状態は分からないためです。
子どもがたくさん来る施設では、家で一人二人を見ているのとは訳が違い、熱中症疑いの子が出てくる確率はかなり高くなります。
8章で書いたように、症状や対応フローチャートなんか覚えていられないのと、生半可に覚えていても間違って覚えている可能性もあります。
掲示物を作りましょう。
表面に症状チェック、裏面に対応フローチャートを印刷してラミネートし、壁にかけておけばいいと思います。
対応の基本は可能性を疑うことです。
頭痛を訴えてきた→布団に寝かせるは、オーソドックスな対応ですが、
もしそこで
「日の当たる窓際でずっと遊んでいて、頭痛を訴えている。たしかいつも見ている熱中症掲示物に、頭痛ってあったな。」
と熱中症を疑えた場合は対応がまるで違いますね。そういうことです。

9-2.企画や運営について
夏場は外出イベントを企画しないのがよいでしょう。
高温注意報が頻繁に地域なら、時間をかけて企画しても実施不可能となる算段です。
仕事の余裕を持たせるため、無駄な仕事をしない意味でも夏場の外出イベントはできるだけ避けましょう。
9-3.子どもの行動管理
たくさんの子を見ていると、どうしても一人一人の対応は薄まります。
一斉に遊んでいるときに「水を飲んでね~」と声をかけたときに一部の子は従います。
しかし特定の子はずっと遊び続けている。
一時間の外遊び時間中に三回言ってもある一人はずっと校庭にいて、いっさい休憩を取っていなかった。
👆️なんてのに、人数が多いと気づけません。
子どもの行動を管理する意味で、一定時間は必ず休憩をとるために室内に全員入れるなど、個別対応とならない管理がいります。
子どもの主体性うんぬんより、安全管理は大人の仕事です。
9-4.子どもの自己申告を待たない
個人差はありますが、なにかに夢中になればそれ以外をすべて忘れるのが子どもの特性です。
また自分のことを分からず、説明も難しいのが子どもの特性と言えます。
これを忘れて「何かあったら大人に言ってね」
こう伝えるのとはわるいことではないですが、それだけではいけませんね。
「何で言わなかったの?」と責めてもその子が悪いことにはなりません。子どもの特性を忘れた大人側の責任となります。

10.まとめ
熱中症は熱が原因となる健康被害をまとめたものです。
それは主に
- 脱水
- 温度が発散できない
- 体が慣れていない
ことで起こります。
原因がはっきりしているため、予防や対策はしやすいですが、なってしまうと死んでしまったり後遺症が残ったりと決して油断できません。
気を付けたい子どもの特性として
- 発汗による体温調節機能が弱い
- 体が小さいことで罹患しやすさ
- 理解や行動を自制できないこと
などの理由から大人よりもリスクが高くなります。
子どもを見ている大人は、よく理解して予防と対応に当たっていほしいと思います。
そのためには子どもに症状がでたときに風邪かな?ぶつけたかな?精神的なものかな?と疑うときに、熱中症かな?と追加で疑えることが大切です。
そのために8章や9章で書いたように掲示物を作っておきましょう。
暑い季節を安全に乗りきっていきましょう。
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