
目次【本記事の内容】
1.障害児受け入れに必要なこと-保護者への説明と同意
記事のタイトルは障害児の「保育」という題名ですが、学童クラブは通常保育ではなく「育成」です。
なぜあえて「保育」としたかについて始めに書いておきしょう。
学童クラブは自立へ向けた支援の場でもあるため、子どもたちを一人立ちさせるために育てる意味合いが強いのですが、障害児については施設側で保護していくという意味合いが強くなります。
特に支援学校の子に関してはそうです。
もちろん子どもなので成長はしていきますが、他の子に比べてゆっくりめです。
また一人で留守番などをするという意味での自立が難しい子も多い(あくまでも個人差が大きいところ)ため、通常は三年生までのところを障害児は六年生まで受け入れている施設が多い理由でもあります。
学童クラブで障害児を受け入れるとなった場合、保護者の方にどこまで施設側ができるかを理解はしていただくのは必須です。

こちらで全てお任せくださいは、何かあったときに、「こんなはずじゃなかった」、「ここまではしてくれると思ってた」などと不信感につながります。
場合によっては訴訟にもなりかねず危険です。
"このような場合はすぐに連絡を入れるので、連絡がとれる状態にしてください"などのお願いも、持病がある子どもでは必要でしょう。
また、誰がどのように受け入れて日常を過ごしていくかも知らせていかないと行けません。
親としてはこうしてほしい、ああしてほしいは絶対にありますが、できることできないことは、受け入れる前にはっきりさせておく必要があります。
見る人は人は加配のパート職員でしょうが、その辺りも保育に入る前に知らせておかないと、入所して何かあった際に"いつもベテランの常勤職員がついてくれると思っていた"、では先が思いやられます。
もちろん親の要望に対して、施設として対応できることを増やしていく努力は必要ですね。
またパニックや他害のある子を受け入れるとして、手出しや暴れたりした時の拘束も必要だと考えられる子には、この辺りの同意をとることも必須となりますす。
特に拘束は身体的虐待にあたったり、その気がなくても職員が子どもの体にかすり傷程度でも傷をつけてしまうことも十分予想されます。
自分の子が自分でうまく主張ができないということで、"何かされた"ということにかなり過敏に反応する保護者も少なくありません。
普段の関係がよくなくて事故をおこし、同意もとっておらず被害届をだされたら、ほぼ100%で「怪我をさせた」という一点で過失として刑が下ります。
同意をとっていてもどうなるか分かりませんが、保護者への説明と日常的な関係についてはとにかく細心の注意がいります。
また他の子や他の家庭へ必要に応じてその子の特性などについて話をすることも、他人の情報を仕事のなかで話すわけですから確認しておかないといけません。
勝手に話をするのは守秘義務に違反します。
まあしかし、事前に保護者へうまく説明して相談をすれば、だいたいはいい返事をもらえると思います。

2.受け入れ体制など
親御さんに明示する同意書とは別に、内部的にその子をどうみていくかのマニュアルも作る必要があります。
なぜならほとんどの施設で、加配のパート職員が保育にあたるためです。
特にパート職員は入れ替わりも激しいことが多いですね。日頃から職員間のコミュニケーションをとることはもちろんです。
しかし細かい点は、自由に見られる状態になっているマニュアルを見れば誰が見返しても明確にわかるものが必要です。パートの方も、同じようなことを何度も人に聞くのは気が引けるものです。
このように想定していなかった不測の事態は仕方ありませんが、ある程度は場合を網羅したマニュアルにしておき、必要に応じて改訂も必要です。

受け入れ時点から確認すること、トイレの時は、おやつのときは、自由遊びの時は、などできるだけ細かく記載していくのがよいでしょう。
一読で終わらせるのではなく、週に一度など定期的に読み返す機会を作っておきます。
先ほど書いたように、自由に見返せるように決まった場所に置いておくこと、子どもの状況が変わったら見直していくのも大切です。
またその子の状態が悪いときに使う場所や、通常は危険はないけれどその子にとっては危険だというような、施設側の環境も見直せるところは見直していくことも必要でしょう。
こういったことをせず、何となく受け入れをしてその日その日を何となくやり過ごしている学童クラブはとても多いです。
昔はそんな施設ばかりでした。
学童クラブは別に障害児専門の施設でもなく療育の機能もないけれど、子どもが他にいくところがないからという理由で福祉的に受け入れをしてきたという経緯があります。
善意で受け入れてあげているから、親との信頼関係があればなんとかなるという考えで、実際それでも大丈夫だったためです。

しかし情報化が進んだせいか分かりませんが、一筋縄でいかない保護者が増えてきて、問題が発生した結果としてマニュアル等を整備する施設も少しずつ増えてきています。
受け入れをしたからにはしっかりみてもらわないと困るという保護者、実際その通りです。
あなたの施設もそんなだったら、一日も早く対応していかないといけませんね。
職員側の準備としてはどうでしょうか。
資格や知識はある程度は必要ですが、学童クラブ職員としては専門的な療育の知識があったとしても、放課後等デイサービスのように常勤職員がマンツーマンでつけない環境です。
障害児に対しては学童クラブとしてはなんとか安心して過ごしてもらう、可能な範囲で自立を促していくことくらいです。
療育の機能はもともとないため、日々を安全に過ごせるような環境設定と、保護者へのクラブとしてできることはこれくらいだということを理解してもらう働きかけが必要です。
障害児の自立支援については、軽度ならある程度は考えられます。学校から学童クラブまで一人で来る・学童クラブから一人で帰るなどです。その場合は学校との連携を図る必要も出てきます。そうでなくても、子どもの情報の共有を学校と日常的にしていくことが、指導員側の悩みや心配事の解消に繋がります。

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